【 ヒーリングルーシー 癒しの仙人女子 〜私、タイ古式マッサージで世界を癒します〜 】 週刊少年マガジン原作大賞・企画書部門応募作
キャッチコピー
フリーター女子が両親の死の真相を追い求めながら世界一のセラピストを目指すサスペンスサクセスストーリー
あらすじ
自宅でタイ古式マッサージサロンを営む主人公の母、月野明子(つきのあきこ)がひき逃げに遭い亡くなる。
何故か真冬の季節にはあり得ないTシャツ短パン姿で。
サロンを継ぐ事になった主人公、月野光(つきのひかり)は内気でオシャレとは無縁なメガネ女子。
未熟な施術で客を怒らせ売上も上がらない。
ひき逃げ犯を探す為、チラシ配りに街頭に立つ日々。
独りぼっちで疲れ切った光は自暴自棄に。
タイ古式マッサージ講師との出会いでタイに留学する事になった光。
自分に不思議なヒーリング能力がある事に気付き、スイスで行われる世界大会で世界一のセラピストを目指す。
光は不思議な能力で世界一のセラピストになれるのか?
また両親の死の真相とは⁈
第一話
とある暗い部屋の一室。
「あ〜僕の明子さ〜ん」
数百枚の盗撮写真が床一面に広がる。
「美味しいよ〜明子さんが僕の中に入ってくる〜」
写真をどんぶりの白米の上に乗せ、泣きながらムシャムシャと食べる異常な光景。
そう、彼は月野明子のストーカー。
「僕は今ね〜すごく悲しくて〜すごく怒ってるんだ〜」
「絶対にね〜絶対に許さないからね〜」
ある日の深夜、自宅でタイ古式マッサージサロンを営む主人公の母、月野明子(つきのあきこ)が住宅街の裏路地でひき逃げに遭い亡くなる。
季節は真冬。
強い雨の中、傘も持たずTシャツに短パン、素足という不可解な格好で発見される。
母の死後、フリーターだった主人公の月野光(つきのひかり)はサロンを継ぐ事に。
それが母の夢だった事を知っていたから。
父の顔を知らない光。
父は母と入籍前に病気で亡くなったと聞いていた。
明子はシングルマザーで光を大切に育てた。
内気な光は接客も苦手。
趣味程度に母から習った技術では客を怒らせる毎日。
「オマエ愛想悪いしマッサージ下手だな!二度と来ね〜よ!」
「ごっ、ごめんなさい」
ひき逃げ犯探しのチラシを配る為に街頭に立つ日々。
疲れ果てた光は自暴自棄に。
「私もうダメだ・・・楽になりたいよ」
「そっち行ってもいいよね・・・お母さん」
その様子を影から覗く怪しい人影・・・
心の支えは親友の星野流美(ほしのるみ)。
タイ古式サロンで働く流美は超美人の人気No.1セラピスト。
素の流美はガサツで大食い、ゴリゴリの関西弁で見た目とのギャップがエグいオッサン女子。
でも常に光を気にかける優しい一面も。
「ウィ〜ッス光いてんの〜?ケーキ食おうや」
「流美⁈ 仕事中なんだけど!」
「かまへんかまへん」
「なんで・や〜ねん」
「関西弁バカにしてんのか⁈」
「そんなつもりじゃ」
「うわっ、これウマ!世界一ちゃう⁈ 知らんけど」
「チョット玄関で食べないでよ〜」
「犯人見つけたらボコボコにしたるから元気出しや!」
「うん、ありがと」
光は客として訪れた澄田空(すみだそら)と出会う。
「ウィ〜ッス光いてんの〜?ってヤダ〜空先生なんでいるの?」
「やぁ流美さん」
「ヤダ〜空先生?やぁ流美さん?って、はあっ? 」
空はタイ留学から帰国後、スクールを立ち上げ流美を教えた師匠。
超イケメンなタイ政府公認の講師。
「空先生、光にマッサージ教えてやって〜」
「じゃあ僕と一緒にタイへ行きませんか?」
光はタイへのマッサージ留学を決意する。
第二話以降
空が学んだ「恩田(おんだ)タイマッサージスクール チェンマイ校」で資格取得講習を受ける為、タイの古都チェンマイへ。
「よし行くぞ〜!ってなんで流美居るの⁈」
「実はウチもな、ごっつい高みを目指しとんねん」
「旅行したいだけでしょ⁈」
チェンマイ国際空港に到着。
「夜も遅いですし、ソンテウ探して宿舎に行きましょう」
「そんて う? 空先生それってウマイの?」
「流美、食べ物ちゃいまんねんがな〜」
「光、絶対バカにしてるやろ」
「照れますがな〜」
「褒めてへんし!」
ソンテウとは、タイでオーソドックスな赤い乗り合いバス。
「えっこれトラックの荷台やん!ウチはブタか?ニワトリか?」
「流美、そう言わずに乗ろうよ!」
「え〜タクシー無いの⁈」
「さあ流美さん乗りましょう!」
「は〜い!空先生〜」
「流美マジか・・・」
ブォーン!ガタンッ!キキーッ!
「キャ〜運転荒いね〜!」
「コラァ!オッサンええ加減にせえよハゲ!胃下垂なるわ!」
乱暴な運転の胃下垂ソンテウに揺られ、乱暴な流美の叫びを聞きながら宿舎へ到着。
そこは空が留学中に世話になった日本人オーナー山倉蓮(やまくられん)の宿舎。
「よ〜空ちゃん久しぶり!長旅お疲れ様」
「蓮さんまたお世話になります」
「チョット流美!あの人ごっつイケメンやん!」
「そっ、そうだね」
「連絡先聞こうかな⁈」
「あれ?流美は空先生じゃ?」
「空先生はただの師匠やん!」
「ハハハそうなんだ」
翌朝、恩田タイマッサージスクールへ。
恩田校長、妻のメイ副校長が出迎える。
「やあ空くん元気だったかい?」
「ソラ、サワディーカー」
「恩田先生、メイさんお久しぶりです!」
和やかな雰囲気のスクールには世界各国から大勢が資格取得講習を受けに来ていた。
「こちらは月野光さんと星野流美さんです!」
「えっ⁈・・・」
「恩田先生、どうかしました?」
「いっ、いやなんでも・・・ようこそ校長の恩田光治です」
「サワディーカー!メイ デス」
「恩田先生、メイ先生宜しくお願いします」
「よっ、宜しく」
なぜか明らかに動揺している二人。
レッスン中、物陰から覗く恩田校長とメイ。
光の事が気になるらしい・・・
タイ古式マッサージはゆったりとしたリズムで、受け手は半覚半眠の心地良い状態に。
また施術者は自分の身体もストレッチしながら行う為
「世界で一番気持ちいいマッサージ」
「二人で行うヨガ」
などといわれる。
ユネスコ無形文化遺産に登録された「タイ伝統医学」で、高度な技術が必要だ。
そんな奥の深いタイ古式マッサージと真剣に向き合う光。
ある日の事、光はレッスン中に不思議な力を発揮する。
マッサージを始めると手のひらがカイロの様に温かくなり、瞬く間に硬くなった筋肉が緩んでいくのだ。
「何⁈この感じ・・・」
「光さん、みんな凄いって言ってますよ!」
「空先生・・・私にも分からなくて。急に手が熱くなって身体がフワフワして、鼻水が止まらないんですけどなんだか心地良いんです」
「ハハハ鼻水垂れるのはツライですね!多分、相手のバッドエナジーを吸い取ってるんですよ。深呼吸して吐き出してみたらどうですか?」
「やってみます!」
鼻水は光のトレードマークとなり、ズルっと吸い込んで止まった時、施術を受けている者は心と身体が整って楽になる。
「めちゃくちゃ気持ちいいですね!」
「ありがとうございます」
「今日は腰が痛かったけど、すごく楽です」
「良かった〜」
光の不思議な能力はスクール内で噂に。
その後、深呼吸しても鼻水が垂れるのは止められない。
「ハハハなんなのよあの子!鼻水垂らしながら施術してるじゃない」
「ヤダ〜汚い〜!風邪ひいてんの?」
「日本に帰ればいいのにねー」
そう言ってバカにするのは、日本から来た有名な大型店舗の人気セラピスト、榊原楓華(さかきばらふうか)、山川歩美(やまかわあゆみ)、森畑菜々(もりはたなな)たち。
「チョットあんた!風邪ひいてるならレッスン来ないでよ!」
「これは・・・」
「手が温かいって、熱でもあるんじゃないの?」
楓華たち三人は、レッスン生や講師に凄いと言われる光の事が気に入らない。
「光!顔がいいだけで客取ってるような奴らに好き勝手言わせといてええの⁈」
「流美、大丈夫だよ」
「あんなもんホンマに顔だけやん!」
「流美もまあまあかと・・・」
「えっ、なんて⁈」
「あっ、いや別に エヘヘ」
「光さん、気にしなくて大丈夫!本当は光さんのような心のキレイな人がタイ古式マッサージをやるべきなんです!」
「空先生・・・」
少しずつ空の優しさに惹かれて行く光。
試験当日。
光の試験を担当するのは恩田校長。
スー、ハー。
ワイクルー(師に合掌)して深呼吸。
タイでは「医学の父」と崇められている、その昔インドでブッダの主治医であった「シヴァゴ師」をはじめ、医術の先人達に感謝の意を、そして受け手の健康、施術の安全を祈る。
まずはエネルギーラインが集中している脚からの施術。
タイ古式マッサージでは基本だ。
"スッ、スゴイ!なんだこの手の温かさは!尋常じゃない!"
恩田は味わった事のない感覚に驚いた。
そのうち光の鼻水がタラーっと垂れてきた。
スー、ハー。
光は鼻水を垂らしながら、ゆっくりと丁寧にツボを押す。
"緩んで行く!そして凄く眠い"
恩田は心地良さと強い眠気に襲われながら採点を続けた。
続いてストレッチの大技。
"なんだこれは⁈全く苦しくない!逆に・・・眠くて仕方ない!"
"どんどん身体が緩む"
"えっ⁈この子、身体中から癒しのオーラが出ている!"
最後に座位でマントラ(真言)を唱えながら背中からバッドエナジーを払って行く。
「ナア、ナワ、ロカ、パヤティ、ヴィナサンティ」
「コップンカー(ありがとうございます)」
試験終了。
身体が軽くなり放心状態の恩田。
「あの〜・・・大丈夫ですか?」
「あっ、光さんお疲れ様!後で合否の発表しますね!」
光たちは皆無事合格した。
帰国の日。
「恩田先生、メイ先生お世話になりました」
「光さんは手技だけでなく、癒しの力も身につけたようですね」
「帰国しても頑張ります!」
「ご両親も喜ぶ事でしょう」
「両親は居ません。父は私が産まれる前に病気で、母は交通事故で2年前に亡くなりました」
「亡くなった⁈ そんな・・・」
「えっ?」
「あっ、いや・・・」
「光〜ソンテウ乗るよ〜」
「あっ、は〜い!では恩田先生、メイ先生お元気で!また来ます!」
帰国後。
「光!チョット玄関出て来て〜!早く!」
「流美⁈どうしたの?」
慌てて玄関の外に出てみると
"ここはインチキマッサージ"
"ぼったくりサロン"
"この街から出て行け"
などと書かれた紙が玄関一面に貼られていた。
「ひどい・・・なんで」
「誰やねんこんな事するやつ!」
光と流美は急いで紙を剥がすが相当な枚数だ。
「あれ〜嫌がらせ?可哀想にね〜ハハハ」
タイで出会った楓華たちだ。
「これお前らがやったんか!」
「流美やめて!もういいよ」
「は〜⁈失礼ね〜私達は知らないわよね〜」
そんなやりとりを物影から覗く怪しい人影・・・
ある日。
ボコッ!バタンッ!
「うぅ〜・・・だっ、誰だお前・・・」
夜道を歩いていた空が、何者かに鈍器で頭を殴られる。
「キャ〜!誰か救急車!」
頭から血を流し倒れていた空は救急車で運ばれた。
不思議なヒーリングオーラをまとった月野光は、世界一のセラピストになれるのか⁈
空や流美、楓華たち三人は敵か味方か⁈
光は両親の死の真相を見つける事は出来るのか⁈
驚愕の真実を知る事となる光の運命は⁈
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