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胆沢の新たな古民家スポット/イワテ歴史的建造物巡り11

奥州市胆沢で5年間空き家だった古民家を活用していくプロジェクトがあり、今回プレオープンとして公開するとの情報がありました。調べてみると、“「岩手県の近代和風建築 : 岩手県近代和風建築総合調査報告書」岩手県教育委員会2007年3月出版”に掲載されている建物であることに気が付きました。
そこで図書館でその建物のことを調べてから行ってみることにしました。

旧安倍家住宅(屋号∶齊藤)は明治前期に建てられたもので分家が近隣に14軒あった有力百性の住宅だそうです。屋号は齊藤と書いてせいどうと読むそうです。
現在はおらいさあべ家という名前で使われています。

大きな柳の木の先には長屋門が迎えてくれます。まずはこの周りから見学していきます。

まずは周辺の建物から。
先程、年代は明治前期と書きましたが
「岩手県の近代和風建築 : 岩手県近代和風建築総合調査報告書」
岩手県教育委員会2007年3月出版
によると母屋、馬屋、便所は同時期に建てられたそうですが、他の長屋門、小場、板倉はその後に建てられたそうです。

長屋門周辺をグルグルと…
乳金具と呼ばれるもの

長屋門の隣には板倉、小場があります。

板倉
草をかき分けて近づきました

次に小場(こなしば)、いわゆる作業小屋です。

小場
小場の内部


後ろから見た小場と長屋門

そして今回のメインである安倍家住宅の建物は…

立派な母屋…だけでなくー

馬屋と便所が並ぶ三ツ屋型式です!
三ツ屋型式とは主にかつて伊達藩であった地域にみられた住宅の型式で母屋、馬屋(厩)、便所(厠)の3つの建物が並んだものです。しかし実際、現在も三棟とも残っている所は少なく県内では私の知る限り他に金ケ崎町の片平丁・旧大沼家侍住宅のみです。ただ、そこは便所の建物は再建されたものなので三棟とも当時のものであるのこの旧安倍家住宅はとても貴重です。(ちなみに南部藩であった地域では南部曲り家がよくみられます。)
こちらも以前紹介した旧高橋家住宅と同じ様にエグネに囲まれ、作業小屋がある点ではこちらも胆沢型住宅に当てはまると思います。

旧高橋家住宅(農場トレーニングセンター)についてはこちら↓


馬屋と便所の建物もじっくりと見ていきます。

よく見ると茅が見えます
便所
便所の裏側
便所の建物にはシャッター付き 
便器は恐らく当時のもの
馬屋

あちこち外を見て回るだけで実は1時間くらい経っていました(^_^;)
長屋門や小場、板倉だけでなく三ツ屋型式の住宅が残っていることに感動です!

そろそろ母屋を見ましょう。

母屋
縁側

外で写真を一通り撮ったのでそろそろ中に入ります(汗)

それではお邪魔しまーす(^^)/

玄関は昭和の雰囲気。しかし他の部屋は…

昔ならではの趣きが残っています!
それでは内部見学開始です〜

まずは手前の部屋から見ていきます。この部屋の特徴としては天井に2階への入口がついていることです。

天井の部分

2階は若者部屋と呼ばれる部屋で作男(雇われて耕作をする男性)を住まわせていたそうです。ちなみに奥の箪笥がある部屋の天井を見てみると、、

天井が高くなっています〜
写真だとわかりにくいかもしれないですが戸と天井までの高さを見て頂くとハッキリとわかると思います。

箪笥がいっぱい

次の部屋に移動します(((⁠⁠ ⁠・⁠ω⁠・⁠)⁠

こちらの部屋には立派な絵が描かれた欄間がありました⁠。
近づいて見てみましょう。

何か文字がありました。
「大正元…年?」
隣には名前のようなものも書いてますが読めません(汗)
ちなみにこの奥の部屋は仏間だそうです。


戻って次は板間の方に行きます。

こちらには神棚や箪笥がありますね〜
一部壁が新しいようにも見えます。恐らく昭和に玄関と同時期に増築したのでしょう。

昔はこちらの土間側が玄関として使っていたようです。

こちらの天井にも2階への入口が

今回はプレオープンでの公開でしたが、今後活用に向けて活動しているので胆沢の新しいスポットととなるのをとても期待します。

この建物達は旧高橋家住宅(胆沢トレーニング農場セミナーハウス)と共に胆沢の景観、住宅様式をよく残しています。こういった古民家活用の輪が広まってほしいと思います。

見学の際に案内していただいたおらいさあべ家の皆さんありがとうございました!

【建造物DATA】
名称 旧安倍家住宅(屋号:齊藤)
年代 明治前期
住所 〒023-0402
   岩手県奥州市胆沢小山方八丁192

【施設DATA】
名称 おらいさあべ家
住所 〒023-0402
   岩手県奥州市胆沢小山方八丁192

参考文献:「岩手県の近代和風建築 : 岩手県近代和風建築総合調査報告書」岩手県教育委員会2007年3月出版

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