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「伝える事、繋げる事」 その1

 仕事においても「伝える事、繋げる事」が大事だと思います。

 「報告・連絡・相談」いわゆる「ほうれんそう」と言われているような事も、確かに大事ですが、仕事においてもっと大事な「伝える事、繋げる事」を、身をもって体験したので、その話をしたいと思います。

 私は65歳まで、東京下町の5店舗ほどを経営する、創業70年を目前に控えた、スーパーマーケットの経理にいました。

 65歳で定年なのですが、60歳の定年後は契約社員として引き続き働かせていただきました。

 正直申し上げて、65歳になっても働かせていただけるのは有難いことでした。

 私の仕事には信頼がおけるということで、その後も続けて働けると言われた時も嬉しかったです。

 現場での義務で、仕入れて、それを販売するという方の仕事は、利益がどれだけ出たかという実績がいつも明確に出ます。

 ですが、私のしていた仕事は、私の出す数字に信頼がおけるということが、実績です。

 会社にいくら利益をもたらしたかということが数字で出る仕事内容ではありません。

 私が行っていた仕事は、全店の仕入れの数字を把握することで、それを一人で行っていました。

 会社の利益を出すためには、確実な数字でなければなりません。

 ですが、その仕事が行えるのは、私一人でした。

中小企業ですから、余分な人員を抱えることが出来ないのは仕方ないことです。

 私の仕事内容が重要であるということは、私が欠かせないということになってしまいます。

会社としてはそれでよいのでしょうか?

 翌年で65歳になるのにです。

 これには自分で、危機感を覚えました。

 必要とされるのは有難いですが、私の代わりを育てる事の重要性を強く感じ、引退を決意して、後継者を育てる許可を得ました。

 自分でも、まだもう少し出来るとは思っていましたが、後継者を作るには「引退」するしかないと思いました。

 自分が残ると後継者を育てても、甘えが出てしまうと思ったからです。

 責任と覚悟がお互いに必要でした。

 それだけ、仕入れの確実な数字を出すことは大事だと思いました。

 「確実な数字」を出すことはそう簡単なことではありませんでした。

 長年掛けて、支払い部門や会計事務所との連携で「確実な数字」を出すことが出来るようになったのです。

 ですから、後継者に確実に引き継がないとなりません。

 どんな仕事でも大事なのでしょうが、私は私の行ってきた「確実な数字」を出すという仕事を後継者に引き継ぐために、65歳の誕生月での引退と期間を決めて行いました。

 「伝える事、繋げる事」その重要性を、身をもって体験したのです。

 未練も本音ではありました。

 ですが、私はその会社が好きでした。

 私が辞めた後も、健全に経営が成り立って欲しかった。

 思い上がりかも知れませんが、その大事な仕事を「伝える事、繋げる事」を理念に、後継者にバトンを渡しました。

 その後継者も、その理念で自分の仕事をいつかは「伝える事、繋げる事」でバトンを渡してくれることを祈ります。

 そうやって繋がっていくことで、会社の繁栄、継続が実現していくのだと思います。

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