見出し画像

その時、為替は動いた!最恐災厄スイスフランショックを振り返る 24/11/15

Yan氏でーす。
 インパクト!!!

本日の内容は、歴史事件簿になります。
今回はオセアニア通貨と中国のお話は一切出てきません

 為替取引における基本的な事項と、経済的な背景も勉強しないといけないというお話になります。

では、始めます。

 2015年1月15日、日本時間18時30分。スイス国立銀行の会見が、突然始まります。この会見ですが、定例ではなく、突然だったようです。緊急だけど会見を行いますのでお集まりください。みたいなのりだったようです。
 言い切れないのは、確実な資料がないためです。
 事前告知の形跡がないのです。
 会見の動画は、発見できました。
 2011年から総裁をしていたジョルダン総裁が行っています。この動画です。説明欄には、URLを貼っておきます。

突然のアナウンスだったと言われているわりには、報道陣がいます。
 また、この動画はスイス国立銀行の公式動画ですが、翌年に公開されているのも謎です。

内容です。
 2015年1月15日に起きたスイスフランショックの際に、スイス国立銀行(SNB)が発表した声明を英語で読み上げています。

SNBは、ユーロに対するスイスフランの下限(1ユーロ=1.20スイスフラン)を撤廃することを決定した。これは、ユーロ圏の経済状況とスイスフランの過大評価を考慮した結果である。SNBは、必要があれば為替市場に介入する用意がある。SNBは、政策金利をマイナス0.75%に引き下げ、金融市場の流動性を確保する。

この発表は、世界中の金融市場に衝撃を与え、スイスフランは急騰しました。会見では、SNBの声明が淡々と読み上げられているだけですが、その内容の重大さを考えると、緊迫感が伝わってきます。
 スイスフランショックがいかに突然で衝撃的な出来事であったかを改めて実感することができます。

この時の為替の動きですが、当時を分析しているブログとか多数あります。いずれも、恐怖の時間であったのは共通でした。
 では、スイスフランショック時のユーロ/スイスフランの初動を時間系列で追ってみます。

2015年1月15日午前10時29分 (日本時間18時29分): ユーロ/スイスフランは1.20で推移。これは、スイス国立銀行(SNB)が3年半にわたって維持してきた上限です。午前10時30分 (日本時間18時30分): SNBが突如、スイスフランの上限を撤廃すると発表。市場はパニックに陥り、スイスフランは急騰し始めます。午前10時30分~40分 (日本時間18時30分~40分): ユーロ/スイスフランは、わずか10分間で1.20から1.00を割り込み、0.86台まで暴落。約41%もの下落を記録しました。午前10時40分以降 (日本時間18時40分以降): 急落後、一時的に1.00近辺まで持ち直す場面もありましたが、その後も不安定な値動きが続き、終値は0.98となりました。

ポイントは、わずか10分間で約41%もの暴落です。SNBの発表直後、市場はパニックに陥り、ユーロ/スイスフランは記録的な下落を見せました。その後も不安定な値動きが続きました。急落後も、ユーロ/スイスフランは乱高下を続け、市場は混乱状態に陥りました。正確な時間については情報源によって多少のずれがありますが、SNBがスイスフランの上限撤廃を発表してから約30分~40分後には、0.86フラン台に到達していたとされています。つまり、日本時間では18時30分頃に発表があり、19時00分~19時10分頃には0.86フラン台まで下落したということです。

この急落は、まさに「フラッシュクラッシュ」と呼ぶにふさわしい、凄まじいスピードでした。市場参加者は、SNBの突然の発表に驚き、パニック的な売りが殺到した結果、ユーロ/スイスフランは瞬く間に暴落したのです。

この時の状況は、まさに「阿鼻叫喚」の状態だったと想像できます。多くのトレーダーが、損失を限定するためにストップロス注文を出していましたが、あまりにも急激な値動きのため、ストップロスが約定せず、想定以上の損失を被ったケースも少なくありませんでした。スイスフランショックは、FX市場の歴史に残るdramatic event(劇的な出来事)であり、為替市場のunpredictability(予測不可能性)を改めて私たちに知らしめました。

では、なぜ、ストップロスがきかないのでしょうか?
 一般的には、ストップロス注文とは、あらかじめ設定した価格に達したら、自動的に決済注文を出すことで損失を限定する注文方法です。しかし、以下の理由により、ストップロスが意図した通りに機能しない場合があります。

スリッページの発生、つまり注文価格と約定価格にズレが生じることです。急激な相場変動時には、注文を出したときと実際に約定するまでの間に価格が大きく動いてしまい、設定したストップロス価格で約定できないことがあります。流動性の低下も原因となります。流動性とは、市場で売買が成立しやすいかどうかを示す指標です。急激な相場変動が起こると、市場参加者がパニックになり、売買注文が殺到します。このとき、市場の流動性が低下し、買い手や売り手が不足することで、ストップロス注文が約定しにくくなることがあります。具体的には、買い注文の場合、急騰時に買い注文を出しても、売り注文がなければ約定しません。売り注文の場合、急落時に売り注文を出しても、買い注文がなければ約定しません。スイスフランショックのようなextremeな状況では、ストップロス注文が集中し、さらに相対する注文が極端に少ない状況になるため、約定が非常に難しくなります。

システムの遅延も考えられます。FX会社が提供する取引システムは、通常、顧客の注文を受けてから市場に注文を流すまでにわずかなタイムラグがあります。急激な相場変動時には、このタイムラグが大きくなり、ストップロス注文が市場に到達するまでに時間がかかってしまうことがあります。その間に価格が大きく動いてしまい、ストップロス価格で約定できない可能性があります。

FX会社の処理能力も関係します。急激な相場変動時には、FX会社に大量の注文が殺到し、システムに負荷がかかります。FX会社のシステム処理能力を超える注文が発生した場合、ストップロス注文が遅延したり、約定できなかったりする可能性があります。

ストップロス注文の集中も原因の一つです。多くのトレーダーが同じような価格帯にストップロス注文を設定している場合、その価格に達したときにストップロス注文が集中し、約定しにくくなることがあります。

スイスフランショックでは、これらの要因が複合的に作用し、多くのトレーダーのストップロスが機能せず、大きな損失が発生しました。ストップロスは、損失を限定するための有効な手段ですが、万能ではないことを理解しておく必要があります。急激な相場変動時には、ストップロスが機能しない可能性があることを念頭に置き、リスク管理を徹底することが重要です。

スイスフランショック時は、誰も、レートが1.00とかまで下がると考えていなかったのです。買いポジションの人がどんなに売り注文をしても、新しく買ってくれる人がいなかったので、買ってくれる人を探して、ひたすらレートが下がり続けたのです。FXは相手がいないと成り立たない取引なのです。これが、この悲劇を起こした一つの原因でもあります。

国内口座でトレードをしていた人は、追証が発生し、多額の借金を背負いました。ネットでは1億円追証をした人もいたようです。
 一例ですが、こんなシミュレーションをしてみました。ユーロ/スイスフランをレバレッジ20倍、1ロット(10万通貨)ロングしていた場合、0.86でロスカットされた時の損害を計算してみましょう。

損失pipsは、エントリーレート1.20 (スイスフランの上限)、ロスカットレート0.86なので、損失pipsは1.20 - 0.86 = 0.34 スイスフランです。損失pips (円換算)は、0.34 スイスフラン × 115 円/スイスフラン = 39.1 円です。

損失額は、39.1 円/pips × 10万通貨 = 3,910,000 円です。必要証拠金は、10万通貨 × 1.20 スイスフラン/ユーロ × 115 円/スイスフラン ÷ 20倍 = 690,000 円です。

損失合計は、3,910,000 円 (損失額) + 690,000 円 (必要証拠金) = 4,600,000 円です。つまり、このケースでは、460万円の損失となります。

注意点として、計算では、スプレッドや手数料は考慮していません。スイスフランショックのような急激な相場変動時には、スリッページが発生し、想定よりもロスカットレートが悪化する可能性があります。国内FX業者では、ゼロカットシステムを採用していない場合がほとんどです。そのため、損失が証拠金を超えた場合、追証が発生し、借金を背負う可能性があります。スイスフランショックは、FX取引におけるリスク管理の重要性を改めて認識させる出来事でした。高レバレッジ取引を行う際は、常に最悪の事態を想定し、リスクを最小限に抑えるように心がけましょう。

これは国内口座だった場合ですね。海外口座で、ゼロカットシステムがある場合は、証拠金がゼロになった時点で終わりです。為替取引が、国内口座、海外口座、一長一短ありますが、大きなリスクを背負いたくないのであれば、海外という選択もありかと思います。ただ、出金詐欺も多いので、業者選びは大切です。

話が脱線しましたが、40分で、460万の借金が出来たのです。耐えられますか? FXはこれだけ危険な取引だということを忘れてはいけないです。

では、問題の原点である、なぜ、突然、1.2レートでのユーロ買いをスイス国立銀行はやめたのでしょうか? それも突然に。

当時の記事を集めてみました。
 まずはスイス国立銀行のプレスリリースです。

スイス国立銀行、最低為替レートを廃止し、金利をマイナス0.75%に引き下げ。目標レンジをさらにマイナス領域に移動。チューリッヒ、2015年1月15日 – スイス国立銀行(SNB)は、ユーロに対するスイスフランの最低為替レート1.20を廃止します。
 同時に、一定の免除閾値を超えるサイト預金口座残高に対する金利を0.5%引き下げ、マイナス0.75%とします。3ヶ月物ライボーの目標レンジは、現在のマイナス0.75%から0.25%のレンジから、マイナス1.25%からマイナス0.25%へと、さらにマイナス領域に移動します。最低為替レートは、スイスフランが極端に過大評価され、金融市場が極めて不確実な時期に導入されました。この例外的な一時的措置は、スイス経済を深刻な被害から守りました。スイスフランは依然として高水準ですが、最低為替レートの導入以来、全体としては過大評価は減少しています。経済はこの段階を利用して、新たな状況に適応することができました。近年、主要通貨圏の金融政策の乖離が著しく拡大しており、この傾向はさらに顕著になる可能性があります。ユーロは米ドルに対して大幅に下落しており、これがスイスフランの対米ドルでの下落につながっています。こうした状況下、SNBは、ユーロに対するスイスフランの最低為替レートを維持・強制することはもはや正当化できないと判断しました。SNBは、最低為替レートの廃止が不適切な金融引き締めにつながらないように、金利を大幅に引き下げます。SNBは、今後も金融政策の策定において為替レートの状況を考慮していきます。したがって、必要であれば、金融状況に影響を与えるために外国為替市場で引き続き積極的に活動していきます。

たった1枚だけのPDFです。全文読み上げました。それで、これだけの破壊力。いかにユーロが弱かったか解ります。

では。この時のロイターの記事です。
記事の日付は 事件の二日後です。
 内容は、2015年1月15日、トーマス・ジョーダン総裁率いるSNBは突如、ユーロに対するスイスフランの上限(1ユーロ=1.2フラン)を撤廃しました。この措置は、市場に大きな衝撃を与え、SNBの政策の不確実性と、中央銀行の予測可能性に対する疑問を生じさせました。背景として、ユーロ安ドル高が進行し、スイスフランの上限維持が困難になっていました。マリオ・ドラギ総裁率いるECBによる追加緩和の可能性が高まり、SNBは上限維持のリスクを懸念していました。SNBの決定として、SNBは上限撤廃を決定しました。しかし、この決定は事前にクリスティーヌ・ラガルド専務理事(IMF)やエワルド・ノボトニーECB政策担当者を含む他の中央銀行や市場に予告されず、大きな混乱を引き起こしました。ジャンピエール・ダンティーヌ副総裁は、わずか48時間前に上限維持を表明していたため、市場の信頼を損なったのです。問題点は、政策の不透明性です。SNBは3人の理事による非公開の決定プロセスを採用しており、ECBのような透明性の高い政策決定プロセスとは対照的です。コミュニケーション不足も問題でした。SNBは上限維持を表明していたにもかかわらず、突然の方針転換を行ったのです。市場への影響としては、フラン高によりスイスの輸出業者や観光業界は打撃を受け、経済成長への悪影響が懸念されます。クリスチャン・レブラ党首(左派社会民主党)は、SNBの決定を「何万ものスイスの雇用に対する深刻な脅威」と批判しました。ヤン・エグバート・シュトゥルム氏(KOFスイス経済研究所所長)は、フラン高が続けばスイス経済に大きな打撃となると警告しました。今後の展望として、SNBはマイナス金利をさらに深掘りし、為替介入も辞さない構えです。しかし、上限撤廃による政策の空白状態は、市場の不安定さを増幅させる可能性があります。SNBは、今後の政策運営において、透明性とコミュニケーションの改善が求められます。専門家の意見として、クリスチャン・ガッティカー氏(ジュリアス・ベア チーフストラテジスト)は、中央銀行の予測可能性が低下していると指摘しました。アダム・ポーゼン氏(ピーターソン経済研究所所長)は、時には透明性を犠牲にしてでも、正しい政策を行うことが重要だと主張しました。ジェフリー・ユー氏(UBSストラテジスト)は、SNBのコミュニケーション不足により、市場との信頼関係が損なわれたと指摘しました。結論として、SNBによるフラン上限の撤廃は、市場に大きな衝撃を与え、スイス経済に不確実性をもたらしました。ジョーダン総裁は「市場に驚きを与える必要があった」と説明しましたが、SNBは、今後の政策運営において、透明性とコミュニケーションを改善し、市場の信頼を回復することが求められます。

といった内容で、突然だったことが解ります。

では、なぜ、ここまで、強硬だったのかですが、スイスがユーロを買い支えた要因は、主に自国通貨であるスイスフランの高騰を抑えるためです。もう少し詳しく説明すると、2011年頃のヨーロッパは、ギリシャ危機に端を発したユーロ圏債務危機の真っただ中でした。この危機により、ユーロの信認が大きく揺らぎ、安全資産と見なされるスイスフランに資金が大量に流入しました。その結果、スイスフランは対ユーロで急騰し、スイスフラン高となりました。スイスフラン高は、スイス経済にとって深刻な問題を引き起こしました。輸出の減少、つまりスイスフラン高は、スイス製品の価格を上昇させ、国際競争力を低下させます。その結果、輸出が減少し、スイス経済に悪影響を与えます。デフレ、つまり輸入品の価格が下落し、物価全体が下落するデフレに陥る可能性があります。デフレは、消費や投資を抑制し、経済の停滞を招きます。観光業への打撃、つまりスイスフラン高は、スイスへの旅行費用を増加させ、観光客の減少につながります。これらの問題を回避するため、スイス国立銀行(SNB)は為替介入を実施しました。具体的には、スイスフランを売ってユーロを買うことで、スイスフラン高を抑え込もうとしたのです。そして、1ユーロ=1.20スイスフランという上限を設定し、このレートを維持するために無制限にユーロを買い支える政策をとりました。しかし、この政策は持続不可能でした。ユーロ安/スイスフラン高の圧力は非常に強く、SNBは膨大な量のユーロを買い続けなければなりませんでした。また、為替介入を続ける限り、スイスの金融政策はユーロに縛られることになり、金融政策のautonomy(自律性)が失われます。最終的に、SNBは2015年1月、スイスフランの上限を撤廃することを決定しました。

違う見方ですが、スイスは3年以上にわたり、ユーロ/スイスフランの為替レートを1.20に維持するために、莫大な資金を投入し続けました。しかし、ユーロ圏の経済状況は改善せず、スイスフランへの上昇圧力は増すばかり。スイス国立銀行(SNB)は、この状況に不満を募らせていた可能性があります。まるで、底なし沼に資金を注ぎ込んでいるかのような状況で、スイスフラン高を抑え込むことは、賽の河原の石積みのような徒労だったと言えるでしょう。そして、ついに「もう限界だ!」とSNBが堪忍袋の緒を切らしたのが、スイスフランショックだったのかもしれません。SNBの政策決定の背景には、複雑な政治的および経済的な要因が絡み合っています。しかし、人間の感情という視点から考えると、「怒り」や「不満」といった感情も、SNBの決定に影響を与えていた可能性は否定できません。

ここまで、調べ直すとユーロの問題も大きいと思います。では、当時のユーロの問題はなんでしょうか? 確かに、スイスフランショックの直接的な原因は、スイス国立銀行(SNB)がスイスフランの上限を撤廃したことですが、その背景には、ユーロ圏の経済状況や政策が大きく影響していたと考えられます。具体的に、ユーロ側の問題点として考えられるのは、ユーロ圏の構造的な問題です。ユーロ圏は、単一通貨を採用しているものの、各国は異なる経済状況、財政状況、そして政策運営を行っています。このような構造的な問題が、ユーロ圏全体の経済の不安定化や政策の不一致を招き、スイスフランのような安全資産への資金流入を加速させた可能性があります。

ユーロ圏の金融政策も問題でした。当時の欧州中央銀行(ECB)の金融政策は、ユーロ圏全体の景気を考慮したものであり、スイスの経済状況とは必ずしも一致していませんでした。例えば、ECBが量的緩和政策を導入したことで、ユーロ安が進行し、スイスフラン高の圧力が増大しました。

ギリシャ危機の影響も無視できません。ギリシャ危機は、ユーロ圏全体の経済不安を増幅させ、スイスフランへの資金逃避を加速させました。ギリシャ危機は、ユーロ圏の構造的な問題や政策の不備を露呈させ、スイスフランショックの遠因となったと言えるでしょう。

これらのユーロ側の問題点が、スイスフランショックを引き起こす土壌を作っていた可能性は否定できません。スイスは、自国経済を守るためにスイスフランの上限を設定し、ユーロを買い支えましたが、ユーロ圏の経済状況や政策が改善されない限り、この政策を維持することは困難でした。

あれ、なにか今に似ていませんか? 当時はギリシャです。今は、そうです。ドイツです。ギリシャの何倍も経済規模のある、ドイツです。ここが、なにか起こればと考えてしまいますが、さすがはドイツ、上限債務がしっかりしているので、まだ安心です。

つまり発端は、欧州債務危機ですね。知らない人のために欧州債務危機とは、2009年末にギリシャで財政赤字の隠蔽が発覚したことをきっかけに、ヨーロッパ諸国、特にユーロ圏で発生したsovereign debt crisis(ソブリン債務危機)です。ギリシャ危機とも呼ばれ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリアなどにも波及し、ユーロ圏全体の経済と金融システムを揺るがす大きな危機となりました。

欧州債務危機の主な原因は、ユーロ導入による金利低下です。ユーロ導入により、南欧諸国では金利が低下し、excessive borrowing(過剰な借り入れ)が促進されました。財政discipline(規律)の緩みも原因の一つです。ユーロ圏の一員であるという安心感から、一部の国では財政discipline(規律)が緩み、財政赤字が拡大しました。世界金融危機の影響も見逃せません。2008年のリーマンショック後の世界金融危機の影響で、各国経済が減速し、税収が減少しました。構造的な問題も挙げられます。南欧諸国は、productivity(生産性)の低さやlabor market rigidity(労働市場の硬直性)など、構造的な問題を抱えていました。

欧州債務危機の影響は、経済の停滞です。危機の影響で、ユーロ圏の経済成長は鈍化し、一部の国ではrecession(景気後退)に陥りました。金融不安も広がりました。政府債務のデフォルト(債務不履行)リスクが高まり、金融市場が混乱しました。社会不安も高まりました。緊縮財政政策による国民生活への影響や、ユーロ圏内の経済格差に対する不満から、社会不安が高まりました。政治instability(不安定)も生じました。危機対応を巡って、各国government(政府)間の対立が深まり、political instability(政治不安定)が生じました。

欧州債務危機への対応としては、緊縮財政が挙げられます。財政赤字を削減するために、各国government(政府)は歳出削減や増税などの緊縮財政政策を実施しました。金融支援も行われました。ユーロ圏やIMF(国際通貨基金)は、危機に陥った国々にfinancial assistance(金融支援)を行いました。構造改革も進められました。productivity(生産性)向上やlabor market flexibility(労働市場の柔軟性)向上など、構造改革に取り組みました。

欧州債務危機は、ユーロ圏の抱える構造的な問題を浮き彫りにし、ユーロの将来を危ぶむ声も上がりました。しかし、各国government(政府)やEU(欧州連合)、そしてinternational organizations(国際機関)のefforts(努力)により、危機は徐々に収束に向かいました。ただし、危機の影響はlong-lasting(長期にわたる)ものであり、ユーロ圏経済は現在もcompletely recover(完全には回復)していません。

ここで、もう一つの可能性を考えてみました。ユーロ経済が回復するまで、あのままフラン安を容認した場合です。自国通貨なので、「自国通貨を弱くしたいなら、じゃんじゃんスイスフランを刷って市場にばら撒けばいいじゃん!」と思えますよね。実際、スイス中銀は3年以上も、まさにそれをやり続けました。しかし、事はそう単純ではなかったのです。為替介入を続けることには、以下の様なリスクやデメリットがあったんです。

インフレリスク、つまりスイスフランを大量に発行し続けると、市場に流通する通貨量が増えすぎて、インフレを引き起こす可能性があります。物価が上昇しすぎると、国民の生活が苦しくなり、経済全体にも悪影響を及ぼします。スイス中銀は、このインフレリスクを非常に警戒していました。

外貨準備の枯渇も懸念されます。為替介入を行うには、スイスフランを売って、代わりにユーロなどの外貨を購入する必要があります。しかし、スイス中銀が保有する外貨準備には限りがあります。為替介入を長期間続けると、外貨準備が枯渇し、介入を継続できなくなる可能性がありました。

金融政策の自由度制限も問題です。為替介入を続ける限り、スイス中銀は、スイスフランの為替レートを一定水準に保つために、金融政策を調整する必要がありました。つまり、スイス独自の経済状況に合わせて、金利や通貨供給量を自由にコントロールすることが難しくなるのです。スイス中銀は、自国の経済状況に合わせて、柔軟に金融政策を運営したいと考えていました。

信頼の失墜も考えられます。為替介入は、市場に対して、「スイス中銀はスイスフラン高を容認しない」という強いメッセージを発することになります。しかし、もしスイス中銀が、為替介入を突然中止せざるを得ない状況に追い込まれたら、市場の信頼を失い、スイスフランが暴落する可能性もあります。スイス中銀は、市場の信頼を維持するために、慎重な判断を迫られていました。

これらのリスクやデメリットを考慮した結果、スイス中銀は、為替介入を続けることはunsustainable(持続不可能)だと判断し、2015年1月に介入を中止したとも考えられます。

ここで、説明補足をしておきます。外貨準備の枯渇ですが、スイスフランで買いまくればいいという問題でもないのですね。確かに、スイス中銀は自国通貨であるスイスフランを、理論上は無限に発行できます。しかし、為替介入でスイスフランを売ってユーロを買う場合、スイスフランを発行するだけでは、外貨準備は増えません。例えば、スイス中銀が新たに100億スイスフランを発行し、それを市場で売ってユーロを買ったとします。この場合、スイス中銀の手元にはユーロが増えますが、同時にスイスフランの供給量も100億増加します。そして、この増加したスイスフランは、市場で流通し、いずれスイス中銀に戻ってくる可能性があります。例えば、スイスの輸出企業が、海外からユーロで代金を受け取ったとします。この企業は、受け取ったユーロをスイスフランに交換するために、スイス中銀にユーロを売って、スイスフランを買うかもしれません。このように、スイス中銀が為替介入で売ったスイスフランが、再びスイス中銀に戻ってくる可能性があるのです。そして、スイス中銀に戻ってきたスイスフランを使って、再び為替介入を行うことはできません。なぜなら、スイスフランを売ってユーロを買うためには、スイス中銀は、新たにスイスフランを発行するか、保有する外貨準備を使う必要があるからです。つまり、スイス中銀が為替介入を続けるためには、外貨準備を確保し続ける必要があるのです。外貨準備は、外国債券や株式、預金など、様々な形で保有されています。しかし、これらの資産は、常に一定の価値を保っているとは限りません。例えば、スイス中銀が保有するユーロ建て資産の価値が下落すれば、実質的な外貨準備は減少してしまいます。また、スイス中銀が外貨準備を確保するために、新たに国債を発行することもできますが、国債を発行しすぎると、財政赤字の拡大や金利上昇などのリスクがあります。スイス中銀は、これらのリスクを考慮しながら、慎重に為替介入を行っていました。そして、外貨準備の枯渇リスクを避けるために、為替介入を無制限に続けることはできなかったのです。

より具体的にいえば、スイス中銀が為替介入でスイスフランを売って、ユーロなどの外貨を購入した場合、その外貨はスイス中銀の外貨準備として保有されます。しかし、もしユーロの価値が下落してしまうと、スイス中銀が保有する外貨準備の価値も目減りしてしまいます。これは、スイスフラン建てで見た場合、外貨準備の価値が減少することを意味します。例えば、スイス中銀が1ユーロ=1.20スイスフランで100億ユーロを購入した場合、スイス中銀は120億スイスフラン分の外貨準備を保有することになります。しかし、もしユーロの価値が下落し、1ユーロ=1.00スイスフランになってしまった場合、スイス中銀が保有する100億ユーロの外貨準備は、スイスフラン建てで100億スイスフランの価値しかなくなってしまいます。つまり、スイス中銀は、20億スイスフランの損失を被ることになるのです。このように、為替介入によって取得した外貨の価値が下落すると、スイス中銀は大きな損失を被る可能性があります。これが、外貨準備の枯渇リスクと呼ばれるものです。スイス中銀は、このリスクを回避するために、為替介入を無制限に続けることはできませんでした。そして、スイスフランショックのように、為替レートが急激に変動するような場合には、このリスクはさらに高まります。そのため、スイス中銀は、為替介入を行う際には、常に外貨準備の状況を慎重に監視し、リスク管理を行う必要があるのです。

といった具合に、我慢の限界だったのかもしれないです。
ちょっと例えは微妙ですが、結婚するすると言っている定職につかない彼氏に、長年ブラック企業で働いて、支えて支援した彼女が、ついに見切りをつけて、いきなり予告なしに振ったというのが、本質なのかもしれないですね。

まぁ冗談は、さておき、その後のスイスの動きです。2015年4月24日に総会が行われています。その時の内容ですが、2015年1月15日での内容を繰り返し述べていました。ほぼ全文同じで、簡単にまとめると、スイスはユーロ安に対応するため、スイスフランの上限を撤廃し、マイナス金利を導入したということで、3か月では体制に影響が出ていませんでした。

さらに時が下り、約2年後にこんな記事が出ています。
スイスウォッチ 2017年1月4日の記事です。
内容は、スイスフラン・ショックから2年 いまだ回復途上のスイス経済 2015年1月15日、スイス国立銀行(SNB)はスイスフランの対ユーロ上限を撤廃しました。これによりスイスフランは急騰し、スイス経済に大きな影響を与えました。主な影響として、輸出産業では、スイスフラン高により製品価格が上昇し、国際競争力が低下しました。観光業では、スイス旅行が高額になり、観光客が減少しました。小売業では、多くのスイス人が近隣諸国で買い物をするようになり、売り上げが減少しました。経済状況としては、2015年、スイス経済は不況すれすれの状態となり、GDP growth rate(成長率)は0.8%に低下しました。2016年、経済活動はいくらか改善し、GDP growth rate(成長率)は1.4%に達すると予想されました。2017年、GDP growth rate(成長率)は1.4%〜2%と予想されましたが、専門家の中には、完全な回復には至らないと警告する人もいました。各sector(部門)への影響としては、製造業では、工作機械部門など、国際競争の影響が大きい部門では、人員削減が進みました。製薬業では、輸出の多くを占める製薬業は、フラン高の影響をさほど受けませんでした。金融業では、マイナス金利政策の影響で、銀行や生命保険業の利鞘が減少しました。政府の対応としては、経済学者やbusiness leaders(ビジネスリーダー)からは、政府がより積極的に経済intervention(介入)を行うべきだという意見が出ていました。しかし、スイスgovernment(政府)は、従来のlaissez-faire approach(自由放任主義アプローチ)を維持し、積極的なintervention(介入)には消極的でした。スイスフランショックは、スイス経済に大きなimpact(影響)を与えましたが、スイスは徐々に回復しつつあります。しかし、フラン高の影響は依然として残っており、完全な回復には至っていません。政府の対応や各sector(部門)のefforts(努力)によって、スイス経済が今後どのように変化していくのか、注目されます。
といった内容で、スイスにとって、自国通貨高は今だに消えない問題です。それだけ、安全というか、安定している通貨なのですね。スイスフランの強さですね。

いかがでしたでしょうか。
今回は、スイスフランショックは、ユーロの問題という視点と、男女の愛想劇に例えたらも踏まえて考えてみました。
途中、国内口座と国外口座のお話もしましたが、追証という恐怖もあることを忘れてはいけません。
スイスフランショックは、為替市場がいかに予測不可能であるかを示す象徴的な出来事でした。
 今、トランプ大統領誕生で、ドル安政策が本当に進むのであれば、まさかとは思いますが、いきなり利下げの可能性もあるかもしれません。
 また、いきなり関税200%の発表があるかもしれません。
 スイスフランショックのように、市場を揺るがすような出来事は、いつ起こるかわかりません。常に相場判断を怠らず、慎重さと警戒心を持って取引に臨むことが重要です。

そんな感じです。

では、ここからは小学生にも解る解説です。

みんな、こんにちは!Yan氏だよ!

今日は、みんながびっくりした事件のお話だよ!

2015年の1月15日、スイスっていう国の国立銀行が、いきなり「ユーロはもう買わない!」って発表したんだ。

ユーロっていうのは、ヨーロッパで使われているお金のことだよ。スイスフランっていうのは、スイスで使われているお金のこと。スイスの国立銀行は、ずっとユーロを買い続けて、スイスフランが上がりすぎるのを防いでたんだけど、急にそれをやめちゃったんだ。

そしたら、世界中が大パニック!スイスフランはロケットみたいにビュンビュン上がって、ユーロはジェットコースターみたいに急降下しちゃったんだ。

なんでこんなことになったかというと、スイスの国立銀行は、ユーロを買い続けるのが大変になっちゃったからなんだ。

ユーロを買い続けるには、スイスフランをたくさん刷って、それをユーロと交換しなくちゃいけないんだけど、スイスフランをたくさん刷りすぎると、スイスのお金がどんどん増えて、物の値段が上がりすぎちゃうんだ。

それに、ユーロを買い続けるには、スイスフランと交換するためのユーロをたくさん持っておかないといけないんだけど、そのユーロが足りなくなるかもしれないって心配もあったんだ。

だから、スイスの国立銀行は、「もうユーロは買えない!」って決めたんだね。

この事件で、FXっていう、外国のお金をお金で買う取引をしていた人たちは、大損しちゃったんだ。

FXは、レバレッジっていう仕組みを使うと、少ないお金で大きな金額の取引ができるんだけど、その分、損する時も大きくなっちゃうんだ。

だから、FXをする時は、損する可能性もあるってことをちゃんと覚えておいて、気をつけなくちゃいけないね。

スイスフランショックっていうのは、外国のお金の値段が、急に大きく変わることもあるってことを教えてくれる出来事だったんだ。

外国のお金で取引をする時は、スイスフランショックのことを思い出して、慎重にやろうね!

今日は大変に難しいお話です。ゆっくりでいいので、覚えていきましょう

今日はここまで

バイバーイ!

今後も、オセアニアと中国を中心に、世界の経済の動きをわかりやすくお伝えしていきます。

この動画が「役に立った!」「もっと知りたい!」と思ったかたは、ぜひチャンネル登録と高評価ボタンで、応援をお願いします!

皆さんの応援が、私のモチベーションになります!

もっと詳しく知りたい!というかたは、私のnoteでより深い情報や分析を公開していますので、ぜひチェックしてみてください!

今後共によろしくお願い致します

(※ 注意事項) この動画の内容は、特定の投資を勧めるものではありません。 投資は、ご自身の判断と責任で行ってください。 経済指標やニュースは、常に最新の情報をご確認ください。


仮のお話です。あなたが当時、ファンダメンタルズ分析を覚えて、ユーロスイスフランが、スイス国立銀行の介入で、1.2で必ず反発すると確信して、買いポジションを持っていたと思ってください。3年半、レートが1.2付近で反発することが続いていて、毎回、高ロットでトレードとしていたとします。15日の18時半ということは、兼業であればまだ働いていた時間です。突然、証券会社から、何百万もの追証の支払いメールが来たとしたら、理解できますか?。こういった具合で、1.2レートで、反発が約束されていると思った人や証券会社が多かったのも、被害が広がった要因です。



主要ハッシュタグ
#スイスフランショック #FX #為替 #歴史事件簿 #投資 #金融 #経済 #リスク管理 #トレーダー #フラッシュクラッシュ #ストップロス #スリッページ #ユーロ危機 #スイス国立銀行 #ゼロカットシステム #追証 #海外FX #金融リテラシー #ヤン氏 #インパクト #ヤン氏チャンネル #為替講座


Youtube用説明欄用

スイスフランショック:FXの歴史に残る大事件!


SNB会見動画
https://www.youtube.com/watch?v=9uVmwvCYEkE

当時のロイター記事 CNBC転載
https://www.cnbc.com/2015/01/17/snb-leaves-policy-vacuum-after-shock-removal-of-franc-cap.html


Yan氏です!今回は2015年に起きた「スイスフランショック」を解説します!スイス国立銀行が突然ユーロの買い支えをやめたことで、スイスフランが爆上がり!ユーロは暴落!FX市場は大混乱!

なぜこんなことに?

  • スイスはユーロ安を防ぐため、スイスフランを売ってユーロを買い支えていた。

  • でも、スイスフランを刷りすぎるとインフレになるし、外貨準備も足りなくなる!

  • そこで、スイス国立銀行はユーロ買いをやめた!

FXトレーダーは大損害!

  • わずか10分で41%も暴落!ストップロスも間に合わない!

  • レバレッジをかけすぎると、大損するリスクも!

  • FXは危険な取引!リスク管理をしっかりしよう!

スイスフランショックから学ぶこと

  • 為替市場は予測不可能!

  • いつ何が起こるかわからない!

  • 常に慎重に取引しよう!

小学生にもわかる解説

スイスフランショックは、まるで恋人に突然フラれたようなもの!?スイスはユーロを支えきれなくなって、突然関係を解消!FXで取引していた人たちは大損!外国のお金は、いつ何が起こるかわからないから気をつけよう!

#FX #スイスフランショック #為替 #ユーロ #スイスフラン #リスク管理 #投資

より詳細はnoteに記載しています
https://note.com/clever_crocus578/

もっと詳しく知りたい!というかたは、私のnoteでより深い情報や分析を公開していますので、ぜひチェックしてみてください!

今後共によろしくお願い致します

(※ 注意事項) この動画の内容は、特定の投資を勧めるものではありません。 投資は、ご自身の判断と責任で行ってください。 経済指標やニュースは、常に最新の情報をご確認ください。




初期原文です。
Yan氏で~す
インパクト!!!

今日は、歴史事件簿になります

そして、今回は、為替取引における基本的な経済的な思考ができないといけないというお話になります。

では、始めます

これを読んでいるあなた
2015年1月15日は、何をしていましたか?

私はまだ日本株しかやっていませんでした。為替は怖い物という認識で、ドル円のことくらいしか興味がありませんでした。

当時、このことを聞いた覚えはあります。しかし、実感できたのは、コロナ過の時にFRBが緊急利下げをしたときに思い出したのを覚えています。、まだ、FXを始めたばかりの時ですが、当時ファンダメンタルズ分析をまだやっていなくても、何か物凄いことがあったのだと認識していました。

2015年1月15日、日本時間18時30分。
スイス国立銀行の会見が、突然始まります
この会見ですが、定例ではなく、突然だったようです。緊急だけど会見やりますからみたいなのりだったようです。言い切れないのは、確実な資料がないためです。事前告知の形跡がないのです。
 会見の動画は、発見できました
2011年から総裁をしていたジョルダン総裁が行っています
この動画です。
説明欄には、URLを貼っておきます

突然と言われているわりには、報道陣がいます。またこの動画はスイス中央銀行の公式動画ですが、翌年に公開されているのも謎です。
内容です

この動画は、2015年1月15日に起きた スイスフランショック の際に、スイス国立銀行(SNB)が発表した声明を 英語で読み上げている 動画ですね。

動画の内容を簡単にまとめると、以下のようになります。

  • SNBは、 ユーロに対するスイスフランの下限(1ユーロ=1.20スイスフラン)を撤廃 することを決定した。

  • これは、 ユーロ圏の経済状況スイスフランの過大評価 を考慮した結果である。

  • SNBは、 必要があれば為替市場に介入 する用意がある。

  • SNBは、 政策金利を-0.75%に引き下げ金融市場の流動性を確保 する。

この発表は、世界中の金融市場に衝撃を与え、スイスフランは急騰しました。

動画では、SNBの声明が 淡々と読み上げられている だけですが、その内容の重大さを考えると、 緊迫感 が伝わってきますね。

この動画を見ることで、スイスフランショックがいかに 突然衝撃的な出来事 であったかを改めて実感することができます。

この時の為替の動きですが、当時を分析しているブログとか多数あります。いずれも、恐怖の時間であったのは共通でした。

では、スイスフランショック時のユーロ/スイスフランの初動を時間系列で追ってみましょう。

2015年1月15日

  • 午前10時29分 (日本時間18時29分): ユーロ/スイスフランは1.20で推移。これは、スイス国立銀行(SNB)が3年半にわたって維持してきた上限です。

  • 午前10時30分 (日本時間18時30分): SNBが突如、スイスフランの上限を撤廃すると発表。市場はパニックに陥り、スイスフランは急騰し始めます。

  • 午前10時30分~40分 (日本時間18時30分~40分): ユーロ/スイスフランは、わずか10分間で1.20から1.00を割り込み、0.86台まで暴落。約41%もの下落を記録しました。

  • 午前10時40分以降 (日本時間18時40分以降): 急落後、一時的に1.00近辺まで持ち直す場面もありましたが、その後も不安定な値動きが続き、終値は0.98となりました。

ポイントは、

  • わずか10分間で約41%もの暴落: SNBの発表直後、市場はパニックに陥り、ユーロ/スイスフランは記録的な下落を見せました。

  • その後も不安定な値動き: 急落後も、ユーロ/スイスフランは乱高下を続け、市場は混乱状態に陥りました。

正確な時間については情報源によって多少のずれがありますが、SNBがスイスフランの上限撤廃を発表してから 約30分~40分後 には、0.86フラン台に到達していたとされています。

つまり、日本時間では 18時30分頃に発表 があり、 19時00分~19時10分頃 には0.86フラン台まで下落したということです。

この急落は、まさに 「フラッシュクラッシュ」 と呼ぶにふさわしい、 凄まじいスピード でした。

市場参加者は、SNBの突然の発表に驚き、パニック的な売りが殺到した結果、 ユーロ/スイスフランは瞬く間に暴落 したのです。

この時の状況は、まさに 「阿鼻叫喚」 の状態だったと想像できます。

多くのトレーダーが、 損失を限定するためにストップロス注文を出していましたが、あまりにも急激な値動きのため、ストップロスが約定せず、 想定以上の損失 を被ったケースも少なくありませんでした。

スイスフランショックは、FX市場の歴史に残る dramatic event(劇的な出来事) であり、 為替市場の unpredictability(予測不可能性) を改めて私たちに知らしめました。

では、なぜ、ストップロスがきかないのでしょうか?
一般的には
ストップロス注文とは、あらかじめ設定した価格に達したら、自動的に決済注文を出すことで損失を限定する注文方法です。

しかし、以下の理由により、ストップロスが意図した通りに機能しない場合があります。

1. スリッページの発生

スリッページとは、注文価格と約定価格にズレが生じることです。

急激な相場変動時には、注文を出したときと実際に約定するまでの間に価格が大きく動いてしまい、設定したストップロス価格で約定できないことがあります。

2. 流動性の低下

流動性とは、市場で売買が成立しやすいかどうかを示す指標です。

急激な相場変動が起こると、市場参加者がパニックになり、売買注文が殺到します。

このとき、市場の流動性が低下し、買い手や売り手が不足することで、ストップロス注文が約定しにくくなることがあります。

具体的には、

  • 買い注文の場合: 急騰時に買い注文を出しても、売り注文がなければ約定しません。

  • 売り注文の場合: 急落時に売り注文を出しても、買い注文がなければ約定しません。

スイスフランショックのような extreme な状況では、 ストップロス注文が集中 し、さらに 相対する注文が極端に少ない 状況になるため、約定が非常に難しくなります。

3. システムの遅延

FX会社が提供する取引システムは、通常、顧客の注文を受けてから市場に注文を流すまでにわずかなタイムラグがあります。

急激な相場変動時には、このタイムラグが大きくなり、ストップロス注文が市場に到達するまでに時間がかかってしまうことがあります。

その間に価格が大きく動いてしまい、ストップロス価格で約定できない可能性があります。

4. FX会社の処理能力

急激な相場変動時には、FX会社に大量の注文が殺到し、システムに負荷がかかります。

FX会社のシステム処理能力を超える注文が発生した場合、ストップロス注文が遅延したり、約定できなかったりする可能性があります。

5. ストップロス注文の集中

多くのトレーダーが同じような価格帯にストップロス注文を設定している場合、その価格に達したときにストップロス注文が集中し、約定しにくくなることがあります。

スイスフランショックでは、これらの要因が複合的に作用し、多くのトレーダーのストップロスが機能せず、大きな損失が発生しました。

ストップロスは、損失を限定するための有効な手段ですが、 万能ではない ことを理解しておく必要があります。

急激な相場変動時には、ストップロスが機能しない可能性があることを念頭に置き、 リスク管理 を徹底することが重要です。


スイスフランショック時は、だれも、レートが1.00とかまで下がると考えていなかったのです。買いポジションの人がどんなに売り注文をしても、新しく買ってくれる人がいなかったので、買ってくれる人を探して、ひたすらレートが下がり続けたのです。FXは相手がいないと成り立たない取引なのです。これが、この悲劇をおこした一つの原因でもあります

国内口座でトレードをしていた人は、追証が発生し、多額の借金を背負いました。ネットでは1億円の人もいたようです。
一例ですが
こんなシミュレーションをしてみました。

ユーロ/スイスフランをレバレッジ20倍、1ロット(10万通貨)ロングしていた場合、0.86でロスカットされた時の損害を計算してみましょう。

1. 損失pips

  • エントリーレート:1.20 (スイスフランの上限)

  • ロスカットレート:0.86

  • 損失pips:1.20 - 0.86 = 0.34 スイスフラン

  • 損失pips (円換算):0.34 スイスフラン × 115 円/スイスフラン = 39.1 円

2. 損失額

  • 損失額:39.1 円/pips × 10万通貨 = 3,910,000 円

3. 必要証拠金

  • 必要証拠金:10万通貨 × 1.20 スイスフラン/ユーロ × 115 円/スイスフラン ÷ 20倍 = 690,000 円

4. 損失合計

  • 損失合計:3,910,000 円 (損失額) + 690,000 円 (必要証拠金) = 4,600,000 円

つまり、このケースでは、 460万円 の損失となります。

注意点

  • 計算では、スプレッドや手数料は考慮していません。

  • スイスフランショックのような急激な相場変動時には、スリッページが発生し、想定よりもロスカットレートが悪化する可能性があります。

  • 国内FX業者では、ゼロカットシステムを採用していない場合がほとんどです。そのため、損失が証拠金を超えた場合、 追証 が発生し、 借金 を背負う可能性があります。

スイスフランショックは、FX取引における リスク管理 の重要性を改めて認識させる出来事でした。

高レバレッジ取引を行う際は、 常に最悪の事態を想定 し、 リスクを最小限に抑える ように心がけましょう。

これは国内口座だった場合ですね。
海外口座で、ゼロカットシステムがある場合は、証拠金がゼロになった時点で終わりです。
為替取引が、国内口座、海外口座、一長一短ありますが、大きなリスクを背負いたくないのであれば、海外という選択もありかと思います。ただ、出金詐欺も多いので、業者選びは大切ですね

話が脱線しましたが、
40分で、460万の借金が出来たのです。

耐えられますか?。FXはこれだけ危険な取引だということを忘れてはいけないです


では、問題の原点である、なぜ、突然1.2でのユーロ買いをスイス中央銀行はやめたのでしょうか?。
それも突然に、
当時の記事を集めてみました

まずは
スイス中央銀行のプレスリリースです
2015/1/15

このページからダウンロードできます
スイス国立銀行、最低為替レートを廃止し、金利を-0.75%に引き下げ

目標レンジをさらにマイナス領域に移動

チューリッヒ、2015年1月15日 – スイス国立銀行(SNB)は、ユーロに対するスイスフランの最低為替レート1.20を廃止します。同時に、一定の免除閾値を超えるサイト預金口座残高に対する金利を0.5%引き下げ、-0.75%とします。3ヶ月物ライボーの目標レンジは、現在の-0.75%から0.25%のレンジから、-1.25%から-0.25%へと、さらにマイナス領域に移動します。

最低為替レートは、スイスフランが極端に過大評価され、金融市場が極めて不確実な時期に導入されました。この例外的な一時的措置は、スイス経済を深刻な被害から守りました。スイスフランは依然として高水準ですが、最低為替レートの導入以来、全体としては過大評価は減少しています。経済はこの段階を利用して、新たな状況に適応することができました。

近年、主要通貨圏の金融政策の乖離が著しく拡大しており、この傾向はさらに顕著になる可能性があります。ユーロは米ドルに対して大幅に下落しており、これがスイスフランの対米ドルでの下落につながっています。こうした状況下、SNBは、ユーロに対するスイスフランの最低為替レートを維持・強制することはもはや正当化できないと判断しました。

SNBは、最低為替レートの廃止が不適切な金融引き締めにつながらないように、金利を大幅に引き下げます。SNBは、今後も金融政策の策定において為替レートの状況を考慮していきます。したがって、必要であれば、金融状況に影響を与えるために外国為替市場で引き続き積極的に活動していきます。

たった1枚だけのPDFです。
それで、これだけの破壊力

いかにユーロが弱かったか解ります

この時のロイターの記事です。CNBCに記載されていました
ロイター2015/1/17


事件の二日後です
内容は

スイス国立銀行(SNB)、フラン上限撤廃の衝撃:政策空白状態に(登場人物付き)

2015年1月15日、トーマス・ジョーダン総裁率いるSNBは突如、ユーロに対するスイスフランの上限(1ユーロ=1.2フラン)を撤廃しました。この措置は、市場に大きな衝撃を与え、SNBの政策の不確実性と、中央銀行の予測可能性に対する疑問を生じさせました。

背景

  • ユーロ安ドル高が進行し、スイスフランの上限維持が困難に。

  • マリオ・ドラギ総裁率いるECBによる追加緩和の可能性が高まり、SNBは上限維持のリスクを懸念。

SNBの決定

  • SNBは上限撤廃を決定。

  • しかし、この決定は事前にクリスティーヌ・ラガルド専務理事(IMF)やエワルド・ノボトニー ECB政策担当者を含む他の中央銀行や市場に予告されず、大きな混乱を引き起こした。

  • ジャンピエール・ダンティーヌ副総裁は、わずか48時間前に上限維持を表明していたため、市場の信頼を損なった。

問題点

  • 政策の不透明性: SNBは3人の理事による非公開の決定プロセスを採用しており、ECBのような透明性の高い政策決定プロセスとは対照的。

  • コミュニケーション不足: SNBは上限維持を表明していたにもかかわらず、突然の方針転換を行った。

  • 市場への影響: フラン高によりスイスの輸出業者や観光業界は打撃を受け、経済成長への悪影響が懸念される。

  • クリスチャン・レブラ党首(左派社会民主党)は、SNBの決定を「何万ものスイスの雇用に対する深刻な脅威」と批判。

  • ヤン・エグバート・シュトゥルム氏(KOFスイス経済研究所所長)は、フラン高が続けばスイス経済に大きな打撃となると警告。

今後の展望

  • SNBはマイナス金利をさらに深掘りし、為替介入も辞さない構え。

  • しかし、上限撤廃による政策の空白状態は、市場の不安定さを増幅させる可能性がある。

  • SNBは、今後の政策運営において、透明性とコミュニケーションの改善が求められる。

専門家の意見

  • クリスチャン・ガッティカー氏(ジュリアス・ベア チーフストラテジスト)は、中央銀行の予測可能性が低下していると指摘。

  • アダム・ポーゼン氏(ピーターソン経済研究所所長)は、時には透明性を犠牲にしてでも、正しい政策を行うことが重要だと主張。

  • ジェフリー・ユー氏(UBSストラテジスト)は、SNBのコミュニケーション不足により、市場との信頼関係が損なわれたと指摘。

結論

SNBによるフラン上限の撤廃は、市場に大きな衝撃を与え、スイス経済に不確実性をもたらしました。ジョーダン総裁は「市場に驚きを与える必要があった」と説明しましたが、SNBは、今後の政策運営において、透明性とコミュニケーションを改善し、市場の信頼を回復することが求められます。

では、なぜ、ここまで、強硬だったのかですが

スイスがユーロを買い支えた要因は、主に 自国通貨であるスイスフランの高騰を抑えるため です。

もう少し詳しく説明すると、

2011年頃のヨーロッパは、ギリシャ危機に端を発したユーロ圏債務危機の真っただ中でした。

この危機により、ユーロの信認が大きく揺らぎ、安全資産と見なされるスイスフランに資金が大量に流入しました。

その結果、スイスフランは対ユーロで急騰し、スイスフラン高となりました。

スイスフラン高は、スイス経済にとって 深刻な問題 を引き起こしました。

  • 輸出の減少: スイスフラン高は、スイス製品の価格を上昇させ、国際競争力を低下させます。その結果、輸出が減少し、スイス経済に悪影響を与えます。

  • デフレ: 輸入品の価格が下落し、物価全体が下落するデフレに陥る可能性があります。デフレは、消費や投資を抑制し、経済の停滞を招きます。

  • 観光業への打撃: スイスフラン高は、スイスへの旅行費用を増加させ、観光客の減少につながります。

これらの問題を回避するため、スイス国立銀行(SNB)は 為替介入 を実施しました。

具体的には、 スイスフランを売ってユーロを買う ことで、スイスフラン高を抑え込もうとしたのです。

そして、 1ユーロ=1.20スイスフラン という 上限 を設定し、このレートを維持するために 無制限にユーロを買い支える 政策をとりました。

しかし、この政策は 持続不可能 でした。

ユーロ安/スイスフラン高の圧力は非常に強く、SNBは 膨大な量のユーロを買い続けなければ なりませんでした。

また、為替介入を続ける限り、 スイスの金融政策はユーロに縛られる ことになり、 金融政策の autonomy(自律性) が失われます。

最終的に、SNBは2015年1月、 スイスフランの上限を撤廃 することを決定しました。

違う見方ですが

スイスは3年以上にわたり、ユーロ/スイスフランの為替レートを1.20に維持するために、 莫大な資金を投入し続けました。

しかし、ユーロ圏の経済状況は改善せず、スイスフランへの上昇圧力は増すばかり。

スイス国立銀行(SNB)は、この状況に不満を募らせていた可能性があります。

まるで、底なし沼に資金を注ぎ込んでいるかのような状況で、スイスフラン高を抑え込むことは、賽の河原の石積みのような徒労だったと言えるでしょう。

そして、ついに「もう限界だ!」とSNBが堪忍袋の緒を切らしたのが、スイスフランショックだったのかもしれません。

SNBの政策決定の背景には、複雑な政治的および経済的な要因が絡み合っています。

しかし、人間の感情という視点から考えると、「怒り」や「不満」といった感情も、SNBの決定に影響を与えていた可能性は否定できません。

ここまで、調べ直すと
ユーロの問題も大きいと思います

では、当時のユーロの問題はなんでしょうか

確かに、スイスフランショックの直接的な原因は、スイス国立銀行(SNB)がスイスフランの上限を撤廃したことですが、その背景には、ユーロ圏の経済状況や政策が大きく影響していたと考えられます。

具体的に、ユーロ側の問題点として考えられるのは、

  • ユーロ圏の構造的な問題: ユーロ圏は、単一通貨を採用しているものの、各国は異なる経済状況、財政状況、そして政策運営を行っています。

    • このような構造的な問題が、ユーロ圏全体の経済の不安定化や政策の不一致を招き、スイスフランのような安全資産への資金流入を加速させた可能性があります。

  • ユーロ圏の金融政策: 当時の欧州中央銀行(ECB)の金融政策は、ユーロ圏全体の景気を考慮したものであり、スイスの経済状況とは必ずしも一致していませんでした。

    • 例えば、ECBが量的緩和政策を導入したことで、ユーロ安が進行し、スイスフラン高の圧力が増大しました。

  • ギリシャ危機の影響: ギリシャ危機は、ユーロ圏全体の経済不安を増幅させ、スイスフランへの資金逃避を加速させました。

    • ギリシャ危機は、ユーロ圏の構造的な問題や政策の不備を露呈させ、スイスフランショックの遠因となったと言えるでしょう。

これらのユーロ側の問題点が、スイスフランショックを引き起こす土壌を作っていた可能性は否定できません。

スイスは、自国経済を守るためにスイスフランの上限を設定し、ユーロを買い支えましたが、ユーロ圏の経済状況や政策が改善されない限り、この政策を維持することは困難でした。


あれ、なにか今に似ていませんか?

当時はギリシャです。今は、そうです。
ドイツです。ギリシャの何倍も経済規模のある、ドイツです
ここが、なにか起こればと考えてしまいますが
さすがはドイツ、どこかの島国と違い、上限債務がしっかりしているので、まだ安心です。

なるほどです

ということは、ことの発端は

欧州債務危機ですね

知らない人のために欧州債務危機とは

2009年末にギリシャで財政赤字の隠蔽が発覚したことをきっかけに、ヨーロッパ諸国、特にユーロ圏で発生した sovereign debt crisis(ソブリン債務危機)です。

ギリシャ危機とも呼ばれ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリアなどにも波及し、ユーロ圏全体の経済と金融システムを揺るがす大きな危機となりました。

欧州債務危機の主な原因

  • ユーロ導入による金利低下: ユーロ導入により、南欧諸国では金利が低下し、 excessive borrowing(過剰な借り入れ)が促進されました。

  • 財政 discipline(規律)の緩み: ユーロ圏の一員であるという安心感から、一部の国では財政 discipline(規律)が緩み、財政赤字が拡大しました。

  • 世界金融危機の影響: 2008年のリーマンショック後の世界金融危機の影響で、各国経済が減速し、税収が減少しました。

  • 構造的な問題: 南欧諸国は、 productivity(生産性)の低さや labor market rigidity(労働市場の硬直性)など、構造的な問題を抱えていました。

欧州債務危機の影響

  • 経済の停滞: 危機の影響で、ユーロ圏の経済成長は鈍化し、一部の国では recession( recession)に陥りました。

  • 金融不安: 政府債務のデフォルト(債務不履行)リスクが高まり、金融市場が混乱しました。

  • 社会不安: 緊縮財政政策による国民生活への影響や、ユーロ圏内の経済格差に対する不満から、社会不安が高まりました。

  • 政治 instability(不安定): 危機対応を巡って、各国 government(政府)間の対立が深まり、 political instability(政治不安定)が生じました。

欧州債務危機への対応

  • 緊縮財政: 財政赤字を削減するために、各国 government(政府)は歳出削減や増税などの緊縮財政政策を実施しました。

  • 金融支援: ユーロ圏や IMF(国際通貨基金)は、危機に陥った国々に financial assistance(金融支援)を行いました。

  • 構造改革: productivity(生産性)向上や labor market flexibility(労働市場の柔軟性)向上など、構造改革に取り組みました。

欧州債務危機は、ユーロ圏の抱える構造的な問題を浮き彫りにし、ユーロの将来を危ぶむ声も上がりました。

しかし、各国 government(政府)や EU(欧州連合)、そして international organizations(国際機関)の efforts(努力)により、危機は徐々に収束に向かいました。

ただし、危機の影響は long-lasting(長期にわたる)ものであり、ユーロ圏経済は現在も completely recover(完全には回復)していません。


ここで、もう一つの可能性を考えてみました

ユーロ経済が回復するまで、あのままフラン安を容認した場合です。

自国通貨なので、「自国通貨を弱くしたいなら、じゃんじゃんスイスフランを刷って市場にばら撒けばいいじゃん!」と思えますよね。

実際、スイス中銀は3年以上も、まさにそれをやり続けました。

しかし、事はそう単純ではなかったのです。

為替介入を続けることには、以下の様なリスクやデメリットがあったんです。

1. インフレリスク

スイスフランを大量に発行し続けると、市場に流通する通貨量が増えすぎて、インフレを引き起こす可能性があります。

物価が上昇しすぎると、国民の生活が苦しくなり、経済全体にも悪影響を及ぼします。

スイス中銀は、このインフレリスクを非常に警戒していました。

2. 外貨準備の枯渇

為替介入を行うには、スイスフランを売って、代わりにユーロなどの外貨を購入する必要があります。

しかし、スイス中銀が保有する外貨準備には限りがあります。

為替介入を長期間続けると、外貨準備が枯渇し、介入を継続できなくなる可能性がありました。

3. 金融政策の自由度制限

為替介入を続ける限り、スイス中銀は、スイスフランの為替レートを一定水準に保つために、金融政策を調整する必要がありました。

つまり、スイス独自の経済状況に合わせて、金利や通貨供給量を自由にコントロールすることが難しくなるのです。

スイス中銀は、自国の経済状況に合わせて、柔軟に金融政策を運営したいと考えていました。

4. 信頼の失墜

為替介入は、市場に対して、「スイス中銀はスイスフラン高を容認しない」という強いメッセージを発することになります。

しかし、もしスイス中銀が、為替介入を突然中止せざるを得ない状況に追い込まれたら、市場の信頼を失い、スイスフランが暴落する可能性もあります。

スイス中銀は、市場の信頼を維持するために、慎重な判断を迫られていました。

これらのリスクやデメリットを考慮した結果、スイス中銀は、為替介入を続けることは unsustainable(持続不可能)だと判断し、2015年1月に介入を中止したと多くの見解です。

ここで、この部分の説明補足をしておきます

2. 外貨準備の枯渇ですが、スイスフランで買いまくればいいという問題でもないのですね

確かに、スイス中銀は自国通貨であるスイスフランを、理論上は無限に発行できます。

しかし、為替介入でスイスフランを売ってユーロを買う場合、スイスフランを発行するだけでは、外貨準備は増えません。

例えば、スイス中銀が新たに100億スイスフランを発行し、それを市場で売ってユーロを買ったとします。

この場合、スイス中銀の手元にはユーロが増えますが、同時にスイスフランの供給量も100億増加します。

そして、この増加したスイスフランは、市場で流通し、いずれスイス中銀に戻ってくる可能性があります。

例えば、スイスの輸出企業が、海外からユーロで代金を受け取ったとします。

この企業は、受け取ったユーロをスイスフランに交換するために、スイス中銀にユーロを売って、スイスフランを買うかもしれません。

このように、スイス中銀が為替介入で売ったスイスフランが、再びスイス中銀に戻ってくる可能性があるのです。

そして、スイス中銀に戻ってきたスイスフランを使って、再び為替介入を行うことはできません。

なぜなら、スイスフランを売ってユーロを買うためには、スイス中銀は、新たにスイスフランを発行するか、保有する外貨準備を使う必要があるからです。

つまり、スイス中銀が為替介入を続けるためには、外貨準備を確保し続ける必要があるのです。

外貨準備は、外国債券や株式、預金など、様々な形で保有されています。

しかし、これらの資産は、常に一定の価値を保っているとは限りません。

例えば、スイス中銀が保有するユーロ建て資産の価値が下落すれば、実質的な外貨準備は減少してしまいます。

また、スイス中銀が外貨準備を確保するために、新たに国債を発行することもできますが、国債を発行しすぎると、財政赤字の拡大や金利上昇などのリスクがあります。

スイス中銀は、これらのリスクを考慮しながら、慎重に為替介入を行っていました。

そして、外貨準備の枯渇リスクを避けるために、為替介入を無制限に続けることはできなかったのです。

より具体的にいえば

スイス中銀が為替介入でスイスフランを売って、ユーロなどの外貨を購入した場合、その外貨はスイス中銀の外貨準備として保有されます。

しかし、もしユーロの価値が下落してしまうと、スイス中銀が保有する外貨準備の価値も目減りしてしまいます。

これは、スイスフラン建てで見た場合、外貨準備の価値が減少することを意味します。

例えば、スイス中銀が1ユーロ=1.20スイスフランで100億ユーロを購入した場合、スイス中銀は120億スイスフラン分の外貨準備を保有することになります。

しかし、もしユーロの価値が下落し、1ユーロ=1.00スイスフランになってしまった場合、スイス中銀が保有する100億ユーロの外貨準備は、スイスフラン建てで100億スイスフランの価値しかなくなってしまいます。

つまり、スイス中銀は、20億スイスフランの損失を被ることになるのです。

このように、為替介入によって取得した外貨の価値が下落すると、スイス中銀は大きな損失を被る可能性があります。

これが、外貨準備の枯渇リスクと呼ばれるものです。

スイス中銀は、このリスクを回避するために、為替介入を無制限に続けることはできませんでした。

そして、スイスフランショックのように、為替レートが急激に変動するような場合には、このリスクはさらに高まります。

そのため、スイス中銀は、為替介入を行う際には、常に外貨準備の状況を慎重に監視し、リスク管理を行う必要があるのです。


といった具合に、私的には我慢の限界だったのかもしれないです。

結婚するすると言っている定職につかない彼氏に、長年ブラック企業で働いて、支えて支援した彼女が、ついに見切りをつけて、いきなり予告なしに振ったというのが、本質なのかもしれないですね

まぁ冗談は、さておき、

その後のスイスの動きです

2015年4月24日に総会の記事です

015年1月15日、スイス国立銀行(SNB)は、1ユーロ=1.20スイスフランの最低為替レートを廃止しました。

これは、ユーロ安が進行し、最低為替レートを維持するための介入コストが大きくなったためです。

SNBは、スイスフランが依然として過大評価されていると認識しており、為替レートを注視しながら、必要があれば外国為替市場に介入する用意があると表明しました。

また、最低為替レートの廃止に伴い、政策金利を-0.75%に引き下げました。

これは、世界的な低金利傾向とスイスフランの魅力度を考慮した結果です。

海外の金利がゼロ近傍またはマイナスであるため、スイスも金利をマイナスにする必要があり、これによりスイスフランを保有するコストが高くなります。

簡単に言うと、スイスはユーロ安に対応するため、スイスフランの上限を撤廃し、マイナス金利を導入したということです。

3か月では体制に影響がでていません

さらに時が下り

約2年後にこんな記事が出ています
スイスウォッチ 2017/1/4

2015年1月15日、スイス国立銀行(SNB)はスイスフランの対ユーロ上限を撤廃しました。これによりスイスフランは急騰し、スイス経済に大きな影響を与えました。

主な影響

  • 輸出産業: スイスフラン高により製品価格が上昇し、国際競争力が低下しました。

  • 観光業: スイス旅行が高額になり、観光客が減少しました。

  • 小売業: 多くのスイス人が近隣諸国で買い物をするようになり、売り上げが減少しました。

経済状況

  • 2015年: スイス経済は不況すれすれの状態となり、GDP growth rate(成長率)は0.8%に低下しました。

  • 2016年: 経済活動はいくらか改善し、GDP growth rate(成長率)は1.4%に達すると予想されました。

  • 2017年: GDP growth rate(成長率)は1.4%〜2%と予想されましたが、専門家の中には、完全な回復には至らないと警告する人もいました。

各 sector(部門)への影響

  • 製造業: 工作機械部門など、国際競争の影響が大きい部門では、人員削減が進みました。

  • 製薬業: 輸出の多くを占める製薬業は、フラン高の影響をさほど受けませんでした。

  • 金融業: マイナス金利政策の影響で、銀行や生命保険業の利鞘が減少しました。

政府の対応

  • 経済学者や business leaders( business leaders)からは、政府がより積極的に経済 intervention(介入)を行うべきだという意見が出ていました。

  • しかし、スイス government(政府)は、従来の laissez-faire approach(自由放任主義 approach)を維持し、積極的な intervention(介入)には消極的でした。

スイスフランショックは、スイス経済に大きな impact(影響)を与えましたが、スイスは徐々に回復しつつあります。

しかし、フラン高の影響は依然として残っており、完全な回復には至っていません。

政府の対応や各 sector(部門)の efforts(努力)によって、スイス経済が今後どのように変化していくのか、注目されます。


スイスにとって、自国通貨高は今だに消えない問題です。

それだけ、安全というか、安定している通貨なのですね。

スイスフランの強さですね

いかがでしたでしょうか。

今回は、スイスフランショックは、ユーロの問題という視点と、
男女の愛想劇に例えたらも踏まえて考えてみました

途中、国内口座と国外口座のお話もしましたが、追証という恐怖もあることを忘れてはいけません。

トランプ大統領誕生で、ドル安政策が本当に進むのであれば、
まさかとは思いますが、いきなり利下げの可能性もあるかもしれない。
また、いきなり関税200%の発表があるかもしれない。
相場判断をしながら、慎重さと警戒と

そんな感じです。







スイスフランショック:あの日、世界が震えた!

Yanです! 今日は歴史事件簿、FX取引における基本的な経済的思考について考えさせられる「スイスフランショック」を振り返ります。

2015年1月15日、日本時間18時30分。スイス中央銀行の突然の会見が始まりました。

この会見、実は定例ではなく、緊急開催だったようです。事前告知の形跡がない、まさに寝耳に水の発表でした。

会見は、2011年から総裁を務めていたジョルダン総裁が行っています。

内容は、ユーロに対するスイスフランの下限(1ユーロ=1.20スイスフラン)の撤廃。

発表の瞬間、市場はパニックに陥りました。


スイスフランショック当日、刻一刻と変化する相場

2015年1月15日、チューリッヒ。スイス国立銀行(SNB)は午前10時30分(日本時間18時30分)、突如として為替介入によるスイスフランの上限撤廃を発表しました。

それは、市場に激震を走らせる "the beginning of the end"(終わりの始まり)でした。

10:30 ユーロ/スイスフランは1.20で推移。SNBが3年半にわたって維持してきた鉄壁の上限です。

10:31 発表からわずか1分後、市場はパニックに陥り、スイスフランは急騰。ユーロ/スイスフランは1.15を割り込みます。

10:32 2分後、1.10を突破。売りが売りを呼び、下降は加速していきます。

10:35 5分後、1.05を割り込みます。チャートはまるで崖っぷちから転落するかのよう。

10:40 10分後、ついに1.00の大台を突破。0.9台に突入します。

10:45 15分後、0.95を割り込みます。底なし沼のような下落に、トレーダーたちは恐怖に震えます。

10:50 - 11:00 20分から30分後、ついに0.86フラン台まで到達。わずか30分間で約41%もの暴落という、FX市場の歴史上でも類を見ない暴落劇となりました。

11:00以降 その後もユーロ/スイスフランは乱高下を続け、市場は混乱状態に。終値は0.98フランとなりましたが、この日の出来事は、世界中のトレーダーに深い傷跡を残しました。

なぜストップロスが効かない? FX取引の本質

スイスフランショックでは、多くのトレーダーが損失を限定するためにストップロス注文を出していました。

しかし、あまりにも急激な値動きのため、ストップロスが約定せず、想定以上の損失を被ったケースが続出しました。

その原因の一つに、 FX取引の本質 があります。

FX取引は、 「通貨を売買する」 という行為ですが、それは 「相手がいるからこそ成立する」 取引です。

例えば、あなたがユーロ/スイスフランを 「買う」 (ロングポジションを持つ)ということは、 「誰かがあなたにユーロを売ってくれる」 必要があるということです。

逆に、あなたがユーロ/スイスフランを 「売る」 (ショートポジションを持つ)ということは、 「誰かがあなたからユーロを買ってくれる」 必要があるということです。

スイスフランショックでは、スイスフランの 買い が殺到し、 売り が極端に少なくなりました。

そのため、 「ユーロを売ってスイスフランを買いたい」 という人がたくさんいても、 「スイスフランを売ってユーロを買いたい」 という人がほとんどいなかったのです。

この 需給バランスの極端な崩れ が、スリッページの発生や流動性の低下を招き、ストップロスが機能しない状況を生み出したのです。

スイスフランショックは、FX取引が 「相手あっての取引」 であり、 市場の状況 によっては、 意図した通りに約定できない 可能性があることを、改めて私たちに teach(教えて)くれたのです。

一体なぜ、スイス中央銀行は、このような劇薬ともいえる政策に踏み切ったのでしょうか?

物語は、2011年頃に端を発します。ギリシャ危機に揺れるヨーロッパ。ユーロの信認が失墜し、安全資産としてスイスフランに資金が殺到。スイスフランは対ユーロで急騰し、スイス経済に暗い影を落としました。

輸出の減少、デフレ、観光業への打撃… スイスフラン高は、まるでスイス経済の首を絞めるかのように、深刻な問題を引き起こしたのです。

この危機を回避するため、スイス中央銀行は果敢に立ち向かいました。為替介入を実施し、スイスフランを売ってユーロを買い支え、スイスフラン高を抑え込もうとしたのです。 1ユーロ=1.20スイスフランという上限を設定し、このレートを守るため、文字通り無制限にユーロを買い続けました。

しかし、この戦いはあまりにも過酷でした。ユーロ安/スイスフラン高の圧力は想像を絶するほど強く、スイス中央銀行は、まるで底なし沼に資金を注ぎ込むかのように、膨大なユーロを買い続けなければなりませんでした。

そして、3年以上にも及ぶ苦闘の末、ついに限界を迎えます。 「もうこれ以上は無理だ!」 スイス中央銀行は、ついに堪忍袋の緒を切らし、ユーロ買いを停止。これがスイスフランショックの真相です。

もちろん、スイス中央銀行の決断の裏には、様々な思惑が渦巻いていたことでしょう。 ユーロ圏の経済状況に対する不満、自国の金融政策の自律性を取り戻したいという強い意志…

しかし、人間の感情という視点から見ると、「怒り」や「不満」といった感情も、スイス中央銀行の決断に影響を与えていた可能性は否定できません。

スイスフランショックは、私たちに、為替レートの変動リスク、そして中央銀行の政策の不確実性を改めて突きつけました。 世界経済は複雑に絡み合い、予想外の出来事がいつ起こるかわかりません。

この衝撃的な出来事の裏には、スイスフラン高というスイス経済を苦しめる問題がありました。 しかし、問題はそれだけではありません。 実は、ユーロ圏の経済状況や政策も、スイスフランショックを引き起こした大きな要因だったのです。

ギリシャ危機に端を発したユーロ不安。 ユーロ圏の構造的な問題、そしてECBの金融政策… スイスは、自国経済を守るためにスイスフランの上限を設定し、ユーロを買い支えましたが、ユーロ圏の問題が解決されない限り、この政策を維持することは困難でした。

まるで、結婚するすると言っている定職につかない彼氏を、長年ブラック企業で働いて支えてきた彼女… ついに見切りをつけて、いきなり予告なしに振ってしまう… スイスフランショックは、そんな男女の愛憎劇にも例えられるかもしれません。

スイスは、ユーロ買いをやめるという苦渋の決断を下しました。 しかし、スイスフラン高という問題は、その後もスイス経済を悩ませ続けることになります。

2017年の記事でも、スイスフランショックの影響は依然として残っており、完全な回復には至っていないと報じられています。 スイスにとって、自国通貨高は、今もなお消えない問題なのです。

スイスフランショックは、私たちに、為替レートの変動リスク、そして中央銀行の政策の不確実性を改めて突きつけました。

そして、忘れてはならないのが、追証という恐怖です。 レバレッジをかけた取引では、相場が急変動した場合、多額の損失を被り、追証が発生する可能性があります。

トランプ大統領誕生で、ドル安政策が本当に進むのであれば、 まさかとは思いますが、いきなり利下げの可能性もあるかもしれません。 また、いきなり関税200%の発表があるかもしれません。

世界経済は複雑に絡み合い、予想外の出来事がいつ起こるかわかりません。 スイスフランショックの教訓を活かし、私たちは常に変化を警戒し、柔軟に対応していく必要があると言えるでしょう。

いいなと思ったら応援しよう!