点描の唄
中2の夏休み
同級生のユウトと
はじめての、デート
はじめての、浴衣
花火大会の宵
はじめての、
二人きり
少ないお小遣いを出しあって買った、
チョコバナナとりんご飴
そして、ひとつを分け合って食べた、
屋台の焼きそば
笑いあっては沈黙‥の
繰り返し
楽しいはずなのに
切なくて
悲しい
幼い二人の時間には
限りがあった‥‥
花火大会の1週間後
父親の仕事の都合で
杜の都へ行くことが
決まっていた、
ユウト
「忘れないで」の代わりに
買ってくれた、
おもちゃの指輪
18年経った今でも
リコは、大切に持っている
李朱
𓂃◌𓈒𓏲𓆸