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教室運営で思うこと(0)それ、プログラミング教育ですか?
2020年度から小学校でもプログラミング教育が始まりました。
遅きに失した感は否めませんが、やらないよりはまし。
今日は2024年3月22日。
地方の片隅で消えそうなプログラミング教室のオーナーが感じている
プログラミング教育の違和感をお伝えしたいと思います。
これもデジタル・ディバイド?
プログラミング教室を運営して8年目を迎えました。
企業研修講師を担当していたため土日しか授業できなかったので、
宣伝することもなく細々とやってきました。
最近になって競合するプログラミング教室も
ポツリ、ポツリ、
立ち上がり、
チラシなんかも見かけるようになりました。
首都圏・都市部のプログラミング教室の競争が激化して、
その余波がやっと地方に届き始めたようです。
これ「デジタル・ディバイド」(デジタル格差)ってやつですね。
通常は光ファイバーや5Gなどの通信インフラが
整備されていく中での地域間格差を表す言葉です。
どうやらサービス(コンテンツ)レベルでもあるってことを実感します。
教育内容にもデジタル・ディバイト
実は、プログラミング教育の内容についても
デジタル・ディバイドが発生しているんじゃないかと感じています。
例えば
プログラミング教室がオープンするときにチラシが配信されます。
そこには、
「論理的思考」
「問題解決能力」
「創造性」
という言葉が躍っています。
これは、私が加盟している「エジソンアカデミー」の
8年前のチラシと同じ内容です。
運営当初から違和感を感じていたので、
体験会の時に保護者様には
「プログラミングを学んで習得するスキルは、こういうことですよ。」
と私が違和感を感じる部分と、
その部分を私の教室はきちんと教えます
とお伝えしていました。
私の感じていた違和感、
それはずばり「目標設定」に触れないことです。
目標の重要性を説かないプログラミング教育
「プログラミング」って、
コードを記述する作業のことだと思っている方が多いようです。
実はプログラミングってコードを記述する前が重要なんです。
プログラミング開発を仕事にしている方なら同意してもらえると思います。
中でも重要なのが「目標設定」です。
どういうプログラムを作るのかということを明確にするということです。(専門的には「要件定義」といいます。)
残念なことに、
同業者のプログラミング教室のチラシ、
プログラミング教育の記事において、
目標設定の重要性が十分に強調されていません。
むしろ、
暗黙の了解であるかのようにスルーして、
いきなり「論理的思考」や「問題解決能力」の話題になってしまいます。
”何を実現するための論理的思考なのか?”
”何をもって問題と規定して解決をはかるのか?”
” 論理的思考=コードの順番・並び
問題解決能力=コードの種類、過不足、順番の誤りを修正すること
創造性=1回作ったんだから応用できるよね。
ってこと?”
私の頭には疑問符が並びます。
国語力の問題なのかもしれませんが、そのように言っているようにしか見えないのです。
目標を明確にすることの意味
例えば
「学校から家まで走るロボットのプログラムをつくる」
とすれば、目的・目標ともに明確です。
何通りもある学校から家までの帰り道のルートを調べ、
その中から選択し、
まっすぐなところ、曲がり角の位置を把握し、
走るスピードもそれに合わせて早くしたりゆっくりにしたりと考えて
プログラムのコードに落とし込めます。
期待した通りに動かなくても、
動き方をあらかじめ決めているので
誤りを見つけて修正するのも簡単です。
しかし、
目的・目標があいまいなまま
「走るロボットのプログラムをつくる」
だったらどうでしょう。
どこまで走るのか、
どのルートを走るのか、
まっすぐ走らせればいいのか、
曲がり角は走って曲がるのかなど、
わからないことが多すぎてプログラムを作ることができません。
どこに論理的思考を発揮すればいいのでしょう?
問題点をどのようにピックアップして解決策を考えればいいのでしょう?
「目標設定」の重要性を説かずに次の話をする。
それが私の感じる違和感の正体です。
プログラミング教育の価値とは
私の運営するロボットプログラミング教室は、
私が教えているので目標をきちんと意識させています。
「目標を立てて、
その目標を達成するための過程を考え、
そして実行し、
完成するまで試行錯誤する」
プログラムを完成させるまでの一連の作業工程を通して訓練し、
スキルとして身につけさせるのが
私たち民間のプログラミング教室の役割だと考えています。
保護者様は気づかれたと思いますが、
このスキルは応用範囲も広く、
受験勉強でも、お仕事の案件でも、趣味の分野でも活用できます。
このスキルは子供たちにとって、
自分の未来を切り開く強力な武器になります。
これこそがプログラミング教育の目指すところであり、
プログラミング教育の価値だと信じます。
余談:あまり受けが良くないような
私の教室運営への思いを体験会にご参加いただいた保護者様に説明するのですが、あまり受けが良くないように感じています。
ウザすぎるんでしょうか?
松陰先生はおっしゃっています。
「一誠、兆人を感ぜしむ」
まだまだ、修業が足りないようです。
ところで、よその教室ではどのように指導しているのでしょう。
気になるところです。