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君のために。

朝日が登り蝉が鳴く季節、暑さが充満している今日1本の電車が駅に止まる

1人の女性は重い荷物を持ちながら電車を降り駅を出た

???)ここも懐かしいな………

??)よっ、久しぶりだな……沙耶香。

沙耶香)久しぶり、水島君。

掛橋沙耶香、元乃木坂46の4期生

水島○○、大学生

○○)荷物持つよ

沙耶香)ありがと、何年振り?

○○)さぁな、覚えちゃいねぇよ

沙耶香)そっか、水島君がこっちに来てるとは思ってなかった。大阪で頑張ってるんじゃなかったの?

○○)沙耶香が卒業するって聴いて、もしかしたら里帰りを1回すんじゃねぇかと思ってな

沙耶香)ホント、水島君って沙耶香のことになると全部分かっちゃうね笑

○○)沙耶香の親友だからな

2人は暑い日差しを浴びながら誰もいない道を進んだ

掛橋家

○○)おばさ〜ん?沙耶香連れてきたよ〜

沙耶香母)あら、わざわざありがとう○○君。おかえり沙耶香

沙耶香)うん、ただいまお母さん。

沙耶香母)今お昼ご飯の準備してるから○○君連れてお部屋に行っといで

沙耶香)うん、そうする

○○)そっちの荷物も持つわ

沙耶香)ありがと水島君

沙耶香母)(○○君、沙耶香のことまだ想ってくれてるのかしら……)

部屋

クーラーの効いた部屋で俺と沙耶香はアルバムを眺めていた

沙耶香)あははっ、懐かしいね小学校の体育祭笑

○○)こん時に沙耶香は泣き虫だったもんな

沙耶香)それ、言わない約束でしょ?

○○)これ、沙耶香が2年の時に道場で優勝した時のやつか

沙耶香)この時、沙耶香に負けて水島君泣いてたよね

○○)誰が沙耶香に泣くかよ笑

沙耶香)懐かしいね………

○○)…………だな。

沙耶香)…………聴かないの?なんで戻ってきたの?って

○○)ばーか、誰が聴くかよ笑

○○)沙耶香の決めたことだろ?誰にも拒否権なんてねぇんだよ

沙耶香)そっか……

○○)怪我、ちゃんと治ってんのか?

沙耶香)うん、大丈夫だよ。

沙耶香母)お昼ご飯出来たわよ〜‼️

○○)先、降りてるからな

沙耶香)うん………

俺は重い腰を持ち上げ部屋を出た

しばらくして、部屋からすすり泣く音が聞こえた

○○)(泣くならもうちょっと頑張ってからにしろや………ばか沙耶香め。)

昼食後

沙耶香母)そう言えば、○○君明日ここを出るのよね?

○○)えぇまぁ……

沙耶香)そうなの?

○○)まぁな、貴重な休みを沙耶香にくれてやったよ笑

沙耶香母)今度はいつ会えるのかしら?

○○)あ〜しばらくは無理っすね笑

沙耶香)なんで?

○○)俺、しばらく海外で活動することになったから

沙耶香)そう………なんだ。

沙耶香母)………せっかくだし、2人で散歩でもしてきたらどうかしら?

○○)そうっすね………やることないんでそうしますね。行くぞ沙耶香

沙耶香)うん、行ってくるねお母さん

散歩中

沙耶香)水島君……変わったね笑

○○)そうか〜?具体的にどこが?

沙耶香)見た目とかビジュアルとか?

○○)なんで疑問形なんだよ笑

沙耶香)別にいいじゃん笑

○○)よかねーよ笑

そんな他愛もない話をしていた

沙耶香)海外……行くんだね

○○)俺は望んじゃねぇけどな

沙耶香)え?

○○)だってそうだろ?海外行ったら沙耶香と会えねぇじゃん笑

沙耶香)えっ?

○○)海外行ったら誰が沙耶香をいじるんだよ笑

沙耶香)な、なんだよ〜もう………(変にドキドキしちゃった。)

○○)つーのはウソ

沙耶香)え?

○○)ホントに、沙耶香に会えなくなるのが嫌だから今日きたんだ

沙耶香)水島……君?

○○)まだ……水島か

沙耶香)え?

○○)なんでもねーよ、ほらもう暗いしさっさと戻ろ〜ぜ

沙耶香)う、うん………(水島君、なんか悲しそうな目してた)

次の日

沙耶香母)もう行っちゃうのね

○○)えぇ、沙耶………いや、もう掛橋には俺は必要ないですし。それに………

沙耶香母)それに?

○○)いつまでも俺がここに居ては”変われないですし”

沙耶香母)………そっか、元気にしてね

○○)おばさんこそ笑

俺はキャリーケースを持って沙耶香の家を出た


沙耶香)おはよ…………水島君は?

沙耶香母)彼ならもう出たわ

沙耶香)そっか………

沙耶香母)このままでいいの?

沙耶香)何が?

沙耶香母)まったく…………これ、沙耶香にって○○君が

沙耶香)水島君が?

拝啓、掛橋沙耶香様
蝉が鳴く季節、あなたは光ある表舞台から役者を降り久方ぶりの故郷に戻る時あなたは何を考えていましたか?
あなたがテレビの向こうで踊る姿は私にとって誇らしく、なにより心から笑顔になれました。そんなあなたが怪我をした時、私は誰よりもあなたを心配した花を送ったことを知っていますか?私は陰ながらあなたの為に全てを捧げ来ました。
あなたが卒業した時、本当は泣くんじゃないかと心配していたけど、あなたは泣かず笑顔に私と居てくれた
私はそんなあなたを心の底から愛していた。
愛してしまっても、あなたは気づかないでしょう。
私のわがままであなたを縛りたくない、なので私はあなたとは別の道を進み、あなたが誇れるような人間になれるように頑張っていきます。      水島○○より

沙耶香)水島君………

沙耶香母)後悔しない?

沙耶香)お母さん………

沙耶香母)お父さんに車用意してもらってるわ、はいこれ荷物

お母さんはキャリーケースを持って渡してきた

沙耶香)…………お母さん、私………行ってくる‼️

私はキャリーケースと鞄を持って家を出た

沙耶香母)ふふっ、行ってらっしゃい。

○○)ふぅ…………(泣くなよ、俺)

アナウンス)まもなく〜電車が参ります

沙耶香)待って‼️

○○)………なんだよ。

沙耶香)…………みず、いや○○君に伝えたいことがあるの‼️

○○)………言ってみ?

沙耶香)○○君はきっと私が頑張ってるから○○君自身が頑張れるって思ってるかもしれないけど………本当は私が君にエールを貰ってたんだよ?

沙耶香)ここに戻ってきたのも………○○君に会えるんじゃないかって半分期待してたの‼️

○○)…………

沙耶香)○○君、私………私は………

○○)もういい、それ以上は言うな………沙耶香。

沙耶香)…………(やっぱり今の私には……)

○○)沙耶香、俺と一緒に来ないか?

沙耶香)えっ?

○○)つまりだな………これからもずっと俺の隣で俺を応援しないかって意味だよ‼️なんべんも言わせんな……恥ずかしい……

沙耶香)…………うん‼️

私はキャリーケースと鞄を持って電車に乗った



○○)まったく………気付くのが遅せぇんだよ沙耶香は

沙耶香)ごめんって…………でも、これからは一緒にだよ?

○○)わーってる。ちゃんと好きって言ってねぇけどそれもそれでいいだろ笑

沙耶香)うん、お互いが好きだって思っていればそれでいいよ。

私はそっと○○の手を握り夕日に照らされた電車に揺られながら故郷を出た。




𝑭𝒊𝒏.

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