恋する後輩マドンナの愛萌さん.9
あれから俺は死ぬほど練習をした。
雨の時も暴風の時も、猛暑の時も
全て”あの子の為に”俺は頑張っている
部活中
○○)んしょっと
俺の放ったボールはいつも通り曲線を描きゴールに入る
黎人)兄さんそろそろ……
○○)………あと百本、黎人は先に帰っていいから
愛萌)先輩………
○○)ふぅ………まだまだ
柊斗)はかどってんじゃん
○○)お前に負けたくねぇからな
柊斗)はぁ、お前らしいな
○○)お前もやったらどうだよ
柊斗)影で努力してるタイプなんで俺
○○)そうだったな
柊斗は去り際にこう言った
柊斗)言っとくけど、負ける気ねぇからな俺も
俺は放ったボールを見ながら言った
○○)そうじゃねぇと俺が勝つからな笑
柊斗)なんだよその変な自信は笑
部活終了してから10分後
○○)ふぅ……外も暗いし、終わるか。
??)ボール、しまうの手伝いますね先輩
○○)美穂か、黎人と帰ってなかったのか?
美穂)黎人に『兄ちゃんはどうせ夜までやるから手伝いしてあげて』って言われまして
○○)アイツ、過保護さ母さんに似てきたな
美穂)先輩は、愛萌のこと好きなんですよね
○○)どうしたんだよいきなり笑
美穂)いや、先輩って不器用で鈍感だから気付くの遅いなぁって思いまして
○○)美穂はいつの間にそんな冷たい言葉言えるようになってるんだよ笑
美穂)なんでだと思います?
○○)ん〜、それは君が”3番目の元カノ”だからかな?
美穂)ご明察、あの時の先輩って私の気持ち理解してないですもんねぇ〜笑
○○)悪かったよあの時は
美穂)いいですよ、今は黎人の彼女で幸せですから
○○)そっか、なぁ美穂
美穂)なんですか?
○○)美穂から見て、今の俺は愛萌ちゃんのこと幸せに出来ると思う?
美穂)ん〜、無理ですね
○○)あっさり言われたな今
美穂)先輩と愛萌の2人で幸せを掴むんだったら絶対イケますよ
○○)2人で……っか、良い意見ありがと。
美穂)そうですか?ならその報酬でアイス買ってください
○○)やっぱり目的はアイスか笑
美穂)あはは〜、バレちゃった笑
こうして月日は経っていった
あ、そうそう大会は勿論優勝したよ笑
珍しく柊斗が俺と合わせたおかげで楽に出来たし
そうして、約束の日
○○)待たせたな柊斗
柊斗)遅せぇよバカ○○
○○)ルールは3P対決な
柊斗)5本先取な
○○)んじゃあ先はいただく……よっと
俺はそう言いながらもボールを放ちゴールに入った
柊斗)相変わらずの安定さだなっと
そのまま柊斗もゴールを決めた
○○)言っときながらお前も決めてるじゃねぇかよっと‼️
俺もまたゴールを決める
柊斗)お互い様だろっつーのっと‼️
また柊斗も決める
○○)うるせぇよ……っと‼️
また決める
柊斗)お前はあの子の何処を好きになったんだ……っと
また柊斗も決める
○○)……今までの元カノ達には無かった感情があの子と会って溢れたんだ
柊斗)感情?
○○)あぁ、最初はただの後輩だと俺は思ってたけど
俺は静かにボールを放ちゴールを決める
○○)段々あの子と居るうちに”もっと愛萌を知ってみたい”って思ったんだ
柊斗)探究心ってやつか
柊斗も冷静に決める
○○)あぁ、それでその探究心が俺にとって全てを変えてくれた
○○)まだ何にも分からなかった俺はやっとその答えにたどり着いた
柊斗)答え?
○○)俺は愛萌ちゃんのことを………
俺は前を向き、ボールを放った
俺の想いは綺麗にゴールに向かいそして……
○○)”心の底から愛しているんだってな”
そしてゴールを決めた
柊斗)お前は、宮田さんからの愛が嘘でも愛するのか?
○○)あぁ、たとえ嘘の愛だって俺自身が彼女を愛しているならそれでいいんだ。これがわがままってやつだろ?
柊斗)ふっ、そうかよ
柊斗はボールを放った
柊斗)俺の負けだな、帰るわ
○○)は?結果見ねぇのかよ
柊斗)なもん結果は最初から決まってんだよ
そして柊斗のボールはゴールに入らなかった
柊斗)俺は1度でもお前に勝ったことはない、なぜならお前自身の覚悟に俺は勝てないからだ
○○)柊斗……
柊斗)言っておくが、お前自身のその愛が薄れるなら
柊斗はそのまま俺の胸ぐらを掴み
柊斗)そん時はお前をぶん殴るからな?
○○)あぁ、そん時はぶん殴れ笑
柊斗)じゃあな
そう言って柊斗は去っていった
○○)………なんかスッキリすると腹減ってきたな、飯でも食うか
○○)愛萌ちゃん誘うか
俺はそのまま愛萌ちゃんの家に行こうとした時1本の電話が鳴った
○○)『もしもし?』
愛萌母)『もしもし、愛萌も母親ですけども……』
○○)『愛萌ちゃんのお母さん、どうしたんですか?』
愛萌母)『田嶋君、落ち着いて聴いてくれるかしら』
○○)『はい、なんでしょう?』
愛萌母)『愛萌が車に轢かれたの』
○○)『えっ、愛萌……ちゃんが?』
愛萌母)『命に別状は無いんだけど、もしかしたら……』
○○)『もしかし……たら?』
愛萌母)『二度と目を覚まさなくなるかもしれないの』
○○)『二度と……』
その時、俺の中で嫌な予感がした
もう2度とあの子の笑顔が見れないのでは
あの子と過ごす日々が訪れない
○○)『……あの、病院は?』
愛萌母)『日向総合病院って所よ』
俺はそのまま電話を切って走り出した
病院にて
○○)愛萌ちゃんのお母さん……
愛萌母)来てくれたのね、さぁ入って
俺は言われるがまま病室に入った
そこには横になって目覚めないあの子がいた
○○)愛萌ちゃん……
愛萌母)愛萌はね、ボール遊びしていた子供達を庇ったの
○○)そう……ですか。
愛萌母)昔のあの子ならそういうのしないのに……変わったのね
○○)………あの、しばらく2人だけにしてくれても?
愛萌母)構わないわ
そう言って愛萌ちゃんのお母さんは病室を出た
そして病室はしんと静まっていた
○○)まったく君って子は…………
俺の手の甲に1粒の涙
○○)早く起きてくれないと、あの時の約束果たせないじゃないか……
俺は不思議と涙を流した
○○)俺を1人にしないでくれ………愛萌ちゃん。
俺は不思議と愛萌ちゃんの頬を触っていた
○○)また、来るからね。
そして俺は病室を出た
愛萌母)もういいのかしら
○○)また明日も来ます、いいですかね?
愛萌母)えぇ大丈夫よ、君ならいつでも大歓迎だわ。
○○)ありがとう……ございます。
そして俺は愛萌ちゃんのお母さんに一礼をして病院から出たのだった
あれから数ヶ月、俺は毎日愛萌ちゃんのお見舞いに来ていた。
最近のことや、部活のこと学校生活ことなど。俺は毎日あの子との時間を失いたくないと愛萌ちゃんに話しかけていた。