それでも進み続ける依存症の息子
夫の底つき体験から遡ること1年半、大学卒業した次男は、一昨年の2月実家へ戻ってきました。
当初は、在学中から続けている、ゲーム開発の作業をひたすら続けていました。
それ以外には、絵の依頼を受けたり、小説も書くので読書をしたりと、創作に役立つこと中心の生活を過ごしていました。
暮らし始めて、市販薬や自傷行為などは少し減っている様子でしたが、それも日に日に様子が怪しくなってきて、そのうち、海外からの小箱に入った宅配が届くようになり、それは薬だとわかりました。
あきらかに自傷行為も増え、部屋からは怪しい音楽が聞こえ、室内も日に日に荒れていきました。
大学時代から、絵をSNSに上げたり、無料のゲームも制作して配信していたのですが、その作風は、自身の病みの実体験も含まれるもので、もしかしたらその創作も、精神的に病む原因の一つなのではないかと密かに思っていました。
ただ、病んでいる若い世代の気持ちを代弁するかのような、根の深い絵や描写に、彼の世界観に惹かれる人たちが多く、かなりのファンが増えていきました。
フォロワーも今では10万人近くいますが9割が外国人です。
彼の部屋からは時々、英語で通話する声が聞こえてきました。
信じるしかないのかな、という思いと、精神を病みながらも、休まずに作業し続ける日々で、日に日に青白くやつれていきました。
その姿を目の当たりにしていると、離れて暮らしていた時とは違った苦しさで、私自身も少しづつ余裕がなくなっていったのです。
息子が戻ってきて2か月後、ある依存症の病院に、息子と夫のことを電話で相談してみました。
すると、家族会や勉強会などのことを教えていただき、1度出席してみることにしました。
最初は半信半疑でしたが、そのことが私にとっては、大きな1歩になったのです。