「家族解体路線」に終止符を打て

保守とは何ぞや。このことが今、問われている。岸田自民党は左翼世論に踊らされて伝統的家族観を崩壊せしめる「リベラルLGBT法」を何の躊踊もなく制定させた。このまま放っておけば、「選択的夫婦別姓」「同性婚」「民法改悪」といった家族解体路線を突っ走りかねない。9月には党総裁選を控えている。保守勢力は「家族を守る」の旗の下に結集していく必要がある。

民法の家族条項が安寧な社会を保障


こんな話から考えてみたい。「里山資本主義」で知られる藻谷浩介氏(日本総合研究所主席研究員)は外国人観光客が過去最多を更新する理由について次のように語っている。「日本が、相対的に(世界で)最も安全で心安らぐ社会を、庶民レベルの自律自制を基盤に実現していると、世界の同じ庶民は本能的に感じ取り、そこに希望を見いだしているのだ」(毎日新聞2024年7月22日付「時代の風」)。
円安だけが外国人観光客が増えている理由ではないと、世界136カ国を自腹で巡り無数の一般庶民と話してきたという藻谷氏が経験からこう語っているのである。
「この良さを未来に続け、曲がった部分(氏によれば、自律なく他責に終始する政治家や隠蔽体質の組織)の是正に尽くしたいと、筆者は心から願っている」とも言う。我々もまた、日本の「良さ」を守り、後世につないでいくことを心から願っている。
それこそ保守の使命ではないか。藻谷氏とは見解を異にするかも知れないが、自律自制を基盤とした安全安心な社会をもたらしてきたのは歴史と伝統とりわけ「家族の価値」を重んじてきたからであると我々は考える。
家庭における親子、兄弟、祖父母、さらに近隣の人々との織りなす人間関係から基本的な生活習慣、豊かな情操、他人に対する思いやり、倫理・道徳心や利他心が育まれ、そこから公民(国民)が生み出されて安定した社会と国家が形成されてきたのである。
世界人権宣言は「家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位であって、社会及び国の保護を受ける権利を有する」としているが、それをわが国で体現しているのは民法の家族条項(第4編・親族)にほかならない。民法は婚姻については男女の一夫一婦制に基づき、届け出によって成立し(法律婚)、夫婦の氏(姓)は「夫又は妻の氏を称する」(750条)とする。姓は夫(男性)のものでも妻(女性)のものでもよく、どちらかを選んでファミリーネームを一つにする。それが長年、わが国が培ってきた家族の絆や一体性を重んじる姓の在り方である。さらに親族の扶け合いを責務とし(730条)、重婚を禁止し(732条)、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」(752条)とし、夫婦財産、親権などの権利と義務を明示する。配偶者に不貞な行為があったときは離婚の訴えを提起できるという守操義務も課すのである(771条)。こうした規定は性倫理を保ち、家族と社会の安定を図るためである。これこそが安全かつ安心して暮らせる日本をもたらしてきた理由である。この民法の伝統的家族観をリベラルは(ことに共産主義者らは)破壊しようと画策しているのだ。彼らは家族や信仰より、その束縛からの解放、人権や平等、自己決定を強調する。人を歴史・文化・伝統から切り離し、自由を獲得した「個人」が自己の欲望を最大化することが人の生き方とする。そこには倫理・道徳、犠牲と奉仕、愛などの言葉は存在しない。これこそが性の欲望を
最大化しようとするLGBTの本質である。とりわけL(レズ)G(ゲイ)B(男女いずれともの性交欲望者)は従来、変態(性的倒錯)、異常性欲とされてきたものである。倒錯とは「本能や感情の異常および人格の異常によって、社会的規範に反する行動を示すこと」(広辞苑)を言い、これに対して性倫理を問う宗教はすべからず厳しい姿勢で臨んできた。伝統的なキリスト教社会ではこれを「不自然な肉欲」とし、とりわけ同
性愛をソドミズム(旧約時代の淫乱の町ソドムに由来)として禁じてきたのである。ソドムを振り返ったロトの妻は塩柱にされたというほど厳しく戒めた。仏教もそうで在家信者に邪淫(よこしまな性関係を結ぶこと)を禁じ、破れば焦熱地獄に堕ちると諭しているのである。その意味でLGBT法は「ソドム是認法」と呼んでもよい。

「性逸脱」は家族破壊と自覚すべし



「性の交わり」は愛と生命と血統の源泉であり本来、神聖なものである。だから「不倫」や「性の逸脱」は夫婦の愛を破壊し、家族の絆を断ち切り、悲嘆のどん底に落とすのである。性犯罪が「魂の殺人」とされるのは、性が「魂」の基底をなしているからにほかならない。これを破壊する行為が許されない所以である。
リベラル勢力はこのような言説も「不当な差別」と魔女狩りのごとく訴え、沈黙を強要する。だが、安寧な社会を守るために黙しているわけにはいかない。自民党が「家族破壊路線」を容認するようでは保守とは呼べない。そう自覚すべきである。

国際勝共連合 機関紙 思想新聞 主張より


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