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【読録】熱海の奇跡/市来広一郎

雰囲気や熱量で人を惹き付ける街ってありませんか?

私は自分自身はまったくイケてないくせに、イケてる人たちが集まる街に惹かれやすいタチです。「この街をみんなで盛り上げよう」っていう意識を持った人たちがいる場所って何故だかわかるんですよね。理由はうまく説明できませんが。

熱海はそんな街のひとつなのではないかと思っています。ほとんど行ったことないのにそう思うのは『熱海の奇跡』を読んだから。この本は読むと胸アツでオススメです。

この夏に熱海に行って自分の目で確かめてきますが事前にこの街のことを少しだけ知ることができたのでアウトプットしておきます。

■熱海の衰退

静岡県熱海市は県東端に位置していて、人口約3.5万人(2022.7時点)。全国的にも温泉街のある観光地として有名です。

そんな熱海ですが、バブル崩壊前から衰退が始まっていたそうです。1960年代には5.4万人いた人口が現在では3.5万人に、530万人いた宿泊客数は2011年には半分以下に減ったとのこと。

中心街である熱海銀座も空き店舗が目立つ状況にあったようです。

■熱海のV字回復

ところが、2012年頃を境に宿泊客数が年々増加するようになり、近年では300万人を超すまでに回復しました。(残念ながらコロナ禍で令和3年には過去最少を更新してしまいました。)

熱海に一体何が起きたのか?というよりは、熱海でどんな人がどんな想いでどんなことを実践してきたのか、ということがこの本に書かれています。

■キーマン

どこのまちづくりにもキーマンとなる人がいます。
熱海の場合はこの本の著者の市来さんである、と言っても異論のある人はいないのではないでしょうか。
市来さんは、草の根的な活動から徐々に人の輪・取組の輪を広げて、今の熱海の再生に大きく影響を与えた人です。
熱海の人が地元のコトやヒトをもっと知るために「あたみナビ」というサイトを立ち上げたり、「オンたま」という地域の人がガイド役になって地元の人たちを中心に地域の魅力を伝えているイベントを開催したりして、熱海のファンをつくり出すことに力を注いでこられました。
その後、行政とも連携しながら、空き店舗などを活用して新たなビジネスを呼び込み、エリアの価値を高めていく「リノベーションまちづくり」を進めて、コンセプトとして掲げた「クリエイティブな30代に選ばれる街」を実現すべく現在も活動を続けられています。

■まちづくりを考えるとき

「熱海の奇跡」を読んでまちづくりに取り組むときに必ず押さえておきたい、と思うポイントは大きく3つありました。

❶街の歴史と現状を知り、本質的な問題をつかむこと
過去の経過からターニングポイントをしっかりと見極めて、何が原因で現状の問題が生じているのか、を分析することが必要で、例えば、人口が減ったとか、空き店舗が増えたということは本質的な問題ではなく、なぜそういうことが起きているのかということを突き詰める必要があるということです。

❷まちづくりは「街のファン」をつくることからはじまる
まちづくりは、「さあ今日からまちづくりをスタートしますよ!」と掛け声をかけて急に始まるものではなくて、様々な活動やイベントなどを通して少しずつその街を好きになり、人の輪が広がっていくことから始まります。税金で何かを造ったり、多額の補助金を出したりすれば解決するものではありません。まず自分、そして地元の人が地元のことをよく知って、その魅力と可能性に気付くことからはじめていきたいですね。

❸立ち上がること、声をあげることを恐れない
日本の社会は、理想論を語る人や言いだしっぺに冷たい社会です。周りの目を気にしていては不安になったり辛くなったりするばかり。市来さんは、「一人でも立ち上がれば、それに共感する人は必ず現れる」と言っています。きっと「今」そして「自分が」一歩を踏み出さないと街がどんどん廃れていく。その使命とチャンスを逃してはいけないということですね。

私は、現在、藤沢市長後地区のまちづくりに少しだけ関わらせてもらっています。この本で得たもの、まちづくりのノウハウというよりは、まちづくりに携わるにあたっての心構えのようなものは、これからの活動に大きく影響を受けそうです。

この夏、実際に熱海に行って自分の目で見て、耳で聴いてくるので、そのうちnoteに記していきたいと思います。


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