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議員×行政職員の可能性

地方公務員として働いていた経験を元に、議員と行政職員との関係性について考えてみました。

二元代表制を敷く日本の地方自治において、議会は自治体の意思を決定し、執行機関(市町村長)を監視する役割が与えられています。
一方、職員は補助機関と言われ、市町村長(首長)の事務を補助する立場にあります。
つまり、職員は首長の側の立場(一部例外あり)にあり、議会に監視される立場にあると言えるでしょう。

「監視する側」と「監視される側」という対立する立場にあるわけなので、そこには少なからず緊張関係が生じます。

また、両者の関係は対等のようで対等ではありません。
議員は住民の選挙により選出されたという、民意の正当性を持っている点で職員よりも優位な立場にあります。
議員は職員に対する指揮権や命令権を有しているわけではありませんが、やはり職員から見れば、「住民の代表」というイメージがあり、敬意を持って接するのが一般的でしょう。
しかし、「敬意」を持って接することを履き違えて、必要以上に恐れ入ったり、へりくだった態度を取ったりする職員が多いのも事実です。
そして、この態度を受けて勘違いし、横柄な態度をとる議員もいます。
結果として、両者の関係が良好であることはそう一般的ではなく、むしろ良好でない自治体の方が多いのではないでしょうか。
本来は、健全な意味で民主主義を監視し、または、監視されるはずが、議員VS職員のような構図になりがちです。

かく言う僕も、若い時は議員に対して良いイメージを持っていませんでした。
交流のある議員がいなかったというのもありますが、大して勉強もせずにあれやった方が良い、これやったほうが良いと口を挟んできたり、無理難題の解決を強いてきたりする人達というイメージを持っていました。(当然、正確な知識とデータを持って厳しい指摘をする正統な議員もたくさんいますが)
だから議員とコミュニケーションをとる機会もなく、また、コミュニケーションを図ろうとも思っていませんでした

しかし、職員としての経験を積むにつれ、議員と政策や制度・規制について話す機会が増えていきました。
そして、複数の議員と、お互いの考えや意見を率直に言い合うことのできる関係性を築いた時、自分が(首長のために)志す政策の実現がグッと近づくという経験をしました。
もちろん、議員を手籠にするという意味ではありません。
その政策の必要性を理解し、共感した議員が、然るべき場所とタイミングで政策の実施を訴えてくれたのです。
一人の職員がボトムアップで政策を実現するのは極めて困難ですが、議員という監視すべき立場の人が、首長に対して当該政策を推進するよう訴える、その訴求力は強大です。

議員とコミュニケーションを図るというのは、職員、特に管理職以下の若い職員にとってはハードルの高いことと思います。
でも、(首長のために)実現したい政策があるとき、議員と説教的に対話して趣旨・必要性・想いを理解してもらうということは間違いなく近道です。

では、どうやって接点を持つか。
それは、人によって違うので何とも言えませんが、SNSで繋がることは簡単ですし、その中で守秘義務を逸脱しない範囲で自分の考えを主張してみたり、議員を勉強会に誘ったり、議員が参加するイベントに自分も参加したり、いろんな方法があると思います。
私の印象だと、若い議員ほど、職員と交流することを望んでいる人が多いですね。

議員と職員という立場を超えて、真剣に意見をぶつけ合った時、まちの未来を変える「種」ができているのだと思います。
これからの地方自治を背負って立つ若い議員と職員の方々には、ぜひ濃いコミュニケーションをとって、まちを進化させていってほしいと思います。

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