猫の避妊・去勢って何をするの? した方がいいの?
こんにちは、鳴神です。今回は子猫シリーズの第三弾 「猫の避妊・去勢って何をするの?した方がいいの?」をお送りします。
このシリーズ、第一弾は「初めて子猫を迎える時に準備するもの」(無料)、
第二弾は「子猫を動物病院へ連れていこう」(有料100円)をお送り致しました。
ここでは子猫を飼う上での一大イベントである避妊・去勢の手術について取り上げていきたいと思います。
まず
避妊・去勢の手術って何?
安全なの?
どうやってやるの?
から
避妊・去勢をした方がいいの?
手術時に一緒にやった方がいいこと
まで解説していきます。
避妊・去勢とは?
避妊・去勢とは手術によって猫ちゃんの生殖器(卵巣や精巣)を取り除いてしまう事です。避妊は雌(メス=女の子)の手術の時に、去勢は雄(オス=男の子)の手術の時に使う名称です。保護団体では早めに避妊・去勢を行う事もありますが、一般的には生後半年くらいで行う事が多いです。
安全なの?
避妊や去勢は全身麻酔下での手術になります。この全身麻酔が曲者で少しリスクがあります。人間の全身麻酔ですら麻酔リスクは決してゼロにはなりません。ましてや人間の1/10以下の体重しかない子猫の麻酔は人よりも多少リスクが高くなります。
そのため多くの動物病院では術前の検査を行います。内容は血液検査で生まれつき腎臓や肝臓に問題がないか、血小板数や止血機能を測って出血が止まりにくくないかを調べたり、レントゲンで生まれつき心臓がおかしくないかや横隔膜が正常か等を調べます。
残念ながらこれらの検査を行なっても麻酔のリスクはゼロにはなりませんが、不慮の事故の起こる可能性は低くなりますので術前の検査を受けてから手術をする事をオススメします。
どうやってやるの?
避妊手術(メスの場合)はお腹を開けて卵巣、もしくは卵巣と子宮を取り除きます。犬では卵巣と子宮を取り除く手術をする事が多いのですが、猫では卵巣のみを取り除く手術を行なっている病院も多いです。細かい話になりますが、犬では子宮を残しておくと歳をとってから子宮に膿が溜まってしまうことがあるためで、反面猫では卵巣さえ取り除いてしまえば子宮に問題が出ることは稀であるためとされています。
どちらにせよ卵巣を取ってしまえば妊娠することはありません。
去勢手術(オスの場合)はお腹を開ける必要はなく精巣を取り除く手術になります。こちらはどの動物病院でも手技に大きな差はないかと思います。
避妊・去勢の手術ってした方がいいの?
猫ではほとんどの人が避妊・去勢の手術をする事を選ぶようです。手術のメリットとデメリットを紹介します。
メリット
発情鳴きやスプレーが予防出来る
卵巣子宮や精巣の病気を予防出来る
望まない妊娠を防げる
デメリット
全身麻酔のリスクがある
合併症のリスクがある (合併症とは手術時や手術後に出血や感染などの問題が起こること)
お金がかかる
1週間程度のカラー生活
では上のメリットを1つ1つ解説していきましょう。
まずメリット1. 発情鳴きやスプレーが予防出来る
これが1番のメリットかもしれません。発情鳴きは発情期の雌猫によくみられる行動でとにかく大きな声でずっと鳴きます。手術とか可哀想だししないでおこうかな、という気持ちが吹っ飛ぶくらい昼も夜もうるさくなります。発情自体を薬で抑えることも出来ますが薬を飲み続けるよりは避妊手術をしてあげた方がいいような気がします。
雄猫も発情期に鳴くことがありますが、雌猫よりは静かなことが多いです。が、多くの雄猫では生後半年過ぎからスプレー行動が見られるようになります。スプレー行動とは猫が縄張りの主張(マーキング)のために壁や床にオシッコをする行為のことを言います。
壁や床も臭うので困るのですが、1番困るのは布団です。洗うのが大変だし、買い替えてもまたオシッコをされたりします。そしてスプレー行動で大問題なのが、1回スプレー行動が始まると去勢手術をしてもスプレー行動が治らない猫が一定数いる事です。
決して脅す訳ではありませんが、「去勢手術は可哀想だしもうちょっと考えてからにしよう」などと思っている間にスプレー行動が始まってしまい最悪20年間オシッコ問題に悩まされる‥などという事にもなりかねませんので要注意です。
次に2.卵巣子宮や精巣の病気を予防出来る
当たり前ですが手術で卵巣(と子宮)や精巣を取り除いてしまうので卵巣や精巣の病気を防ぐ事が出来ます。例えば子宮の病気で子宮に膿が溜まる子宮蓄膿症という病気がありますが、避妊手術をすると蓄膿症をほぼほぼ防ぐ事が出来ます。臓器を取ったからそこはガンにならないだろうというのはやや暴論かもしれませんが、卵巣や精巣のガンなどにもならなくなります。
3.望まない妊娠を防げる
避妊・去勢をしていないと妊娠をしてしまう、または妊娠をさせてしまうおそれがあります。1頭しか飼っていなくても外に逃げてしまったりすると妊娠のリスクが出て来てしまいます。
次にデメリットについてです。
デメリットとしては上にも書きましたが全身麻酔のリスクがどうしても避けられない、という事が挙げられます。絶対にリスクゼロにはならないのですが、多少気をつけられる点があります。
1つは上に書いた術前検査を受けること。術前検査は手術代に含まれている病院もあればオプションになっている病院もあるかと思いますが、やって貰った方が安全なのは確かです。
もう1つは麻酔だけではなく合併症のリスクにも通じる所なのですが、あんまりにも手術費用が安い所は避けること。やっぱり安いには安いなりの理由があります。手術代だけで1万円を切るような所はそれはそれは良心的!という可能性もゼロではありませんが少し心配です。住んでいる場所や雄雌によって変わると思いますが通常は手術だけで2〜3万円くらいが相場でしょうか。
避妊・去勢の手術は人生(猫生?)で1度しかやらない訳ですから安全第一でやってあげる事をオススメします。
あとは病院にもよりますがカラーの装着が必要となる場合があります。カラーとは顔の周りにつけるラッパみたいなやつで、傷口を舐めないように1週間くらい装着します。ただし、動物病院によっては着けなくていいという所もありますし、術後服といってレオタードみたいな服を着せて過ごす所もあります。だいたい1週間程度で抜糸(溶けない糸を切ってもらう処置)を行ってからカラーを外すことが多いです。
以上がメリットとデメリットです。手術をした方がいいのかはこのメリットとデメリットを天秤にかけてどちらに傾くかによって変わって来ますので人それぞれかと思いますが、一般的には手術を選択する人が多いようですね。
手術時に一緒にやった方がいいこと
最後に手術時に一緒にやった方がいい事を紹介しておきます。
1.術前検査と一緒に 猫エイズと猫白血病の検査
猫エイズと猫白血病はお母さん猫から貰ってしまう可能性があるのでペットショップやブリーダーさん経由でも保護猫でも罹(かか)っている可能性があります。しかもお母さん猫の免疫があるために産まれて3ヶ月齢くらいまでは検査を行っても上手く結果が出ないことがあります。そのため生後半年くらいで行う術前検査の時に一緒に検査するのがオススメです。1回の採血で術前検査と猫エイズ&猫白血病の検査の両方を行うことが出来ます。
2.マイクロチップの装着
最近は子猫へのマイクロチップの装着の義務化によってペットショップやブリーダーさんからお迎えした子猫にはマイクロチップが装着されているはずですが、外の子猫を保護した場合は麻酔をかけた時に装着してあげるのがオススメです。震災等も含めて何かの拍子に逃げてしまった時にマイクロチップが入っていると警察、保健所、動物病院経由で帰ってくる可能性が大幅に上がります。
大事な子猫の一大イベントである避妊・去勢の手術、ここで読んだことと獣医の先生の話を聞いて色々決めていってあげてくださいね。ではハッピーな猫との生活をお過ごし下さい。
という訳で子猫シリーズ第三弾は避妊・去勢についてお送りしました。
時間がありましたら第一弾「初めて子猫を迎える時に準備するもの」(無料) と
第二弾「子猫を動物病院へ連れていこう」(有料100円)もご一読頂ければ嬉しいです。お読みいただきありがとうございました。