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映画 マイホームヒーロー 感想

3月25日  映画 マイホームヒーローを鑑賞。
ドラマ放送時から視聴しており、その時から映画化も決まっていたため、非常に楽しみにしていた作品であった。

(あらすじ)

あらすじは半グレ組織に所属している娘の彼氏間取信人が娘の鳥栖零花にDVをしていたことが発覚。主人公である鳥栖哲夫がその事実を知り、信人を殺害してしまう。組織から逃げ切り、家族を守るために罪を隠し通すために哲夫の趣味であったミステリー小説執筆から得た知識を使ってあらゆるピンチを乗り越えていく。しかし、信人の父親である間取義達にその事実がバレてしまい揉み合いになったところ、義達が哲夫に罪を被せるために自害。その事実をまた隠し通すために、山に死体を埋める。

そして映画の設定は7年後。零花は警察官になり、弟の明も誕生。家族は幸せな日々を送るが、7年前に間取の死体を埋めた山が土砂崩れにあい、間取の身元と見られる白骨死体が発見されてしまう。そこから物語は大きく動き出す。
というあらすじである。

全体の大まかな感想

零花が警察官になるところから「家族4人で罪の意識を持って今後生きていく」か「零花が哲夫を逮捕する」というどちらにしてもバッドエンドの結末が見えている映画のため、物語冒頭から非常に見ていて苦しい展開ではあった。でも見ている時のドキドキ感は見ていた映画の中では1番だったし、終わり方が分からない作品は久しぶりに出会えた。

そしてドラマとの大きな違いは「家族」のテーマへのスポットライトの強さである。ドラマは1クールと尺が映画に比べて多いため、ミステリーの要素が強く描かれていた。一方映画は2時間という短い尺のため細かい描写が描くことができないが作品に深みを出すために「家族」の要素でカタルシスを引き出していた。鳥栖家はもちろん、真島恭一と母の関係、哲夫に協力する大沢隼人と父親。殺し屋久保と志野の家族のような信頼関係。全員が何かしら罪の一面を持ち、その中でも家族への思いから行動していた。

①零花の成長と明の誕生

そこで深く考えたのが零花の成長と明の誕生である。
ドラマではまだ零花は大学生になりたてで、鳥栖夫婦からしても「子ども」としての意識が強くストーリー上でも守るものという扱いを受けていた。。一方、今作では警察官にもなり、充分1人でも生きていけるほど自立していた。一方で今回の映画のかつて零花が「子ども」として守られる役割は5歳の息子である明にスライドされていた。ここが今作のポイントであると考える。

これがもしも零花が一人娘であれば、哲夫が未来を考えることなく後先考えない行動が取れていて、それを見ている側も納得がいっただろう。しかし、明というまだ小学生にもならない子どもの未来を守るためにも、哲夫は必ず生き残り組織を潰さなければならない。ここが作品を通してのジレンマを生み出し、深みを与えた箇所だったと思う。

②今作品のテーマ

「家族」というものは良くも悪くも一生付きまとうものである。家族としての縁や思い出、絆というものはかけがえのないもので、切っても切り離せない。それは家族が犯した「罪」も同様である。家族が犯した罪はその家族全員で一生をかけて償わなくてはならない。この家族の良さと悪さを両方を持ちえた極端な例が鳥栖家出会った。

③歌仙さんの強さ

そしてこの作品でやはり強いのは歌仙さんで間違いない。哲夫の強さは父としてのものもあったが、自分が犯した罪へのケジメのようなものも感じられた。しかし、歌仙さんの強さに関しては「家族を守る」という母としての強さで一貫していた所に自分は魅力を感じた。ここまで強い母親は現実でもフィクションでも見たことがなかった。


正直、矛盾を感じた点(警察内の内通者、鳥栖家の未来、恭平のその後、隼人の生存etc...)はいくつもあったがここまで綺麗なバッドエンドは進撃の巨人を彷彿とさせる出来栄えであった。原作は未だに連載中との事なので、就職活動が終わったら是非とも一気読みしたい。

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