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サラリーマンの税金還付〜確定申告

河野太郎氏の「年末調整を廃止し、全国民が確定申告をする」という主張が物議を醸している。

会社員は普通、確定申告をしなくていい。

会社が社員の給料から税金を源泉徴収して、国に納めてくれるからだ。

源泉徴収でとった分と年末調整で出た実際の税額との差額を、12月に精算してくれる。

一見便利だが結果、自分の納税額など正確に把握できなくなる。

全て会社に丸投げだからだ。

私も30年以上前、会社員の時はそうだった。
源泉徴収票の見方も分からず、自分の納税額なんて考えていなかった。

「手取りがいくらか」だけが一番大事。

以前プロ野球選手が税金1億円の申告漏れを指摘されていたが、基本的に給料のみを収入源としている会社員は『申告漏れ』なんて起きない。

完全に『ガラス張り』

良い制度だろうか?

その税率が納得できる範囲なら、面倒な確定申告をしなくて済むのだから楽でいいだろう。

所得税は上がると目立つ。

だから国は消費税とか社会保険料とか、『少子高齢化』のせいにできるところから上げていく。

一番大事なはずの「手取りがいくら」ってところがどんどん減っていく。

自分で確定申告をすると『税金を払っている』という意識(納税意識)が持てるので、その意味ではあながち河野氏の主張は間違ってはいない。

でも河野氏はデジタル担当大臣。
確定申告にマイナンバーカードを強制的に使わせることが目的のように思える。
しかも税務署や税理士など、現場については全く考えていないだろう。

確定申告は今だって誰でもできる。
自分の納めている税金について『よく見てみる』機会に使ってみてはどうか。


所得控除で還付


私は結婚してすぐにバブルが崩壊し借金ができた。
お金が無くて困っていた。
夫は外資系企業に勤めていたので額面の給与は多いが税金で取られ、残りの多くは返済で持っていかれる。

手元に残るキャッシュが少ない。
私は大手企業を寿退社していた。

何とかならないかと思って、頭を捻ってやったことは次の二つ。
・私が派遣でアルバイトをする
・確定申告をして医療費控除などの所得控除で還付を受ける
(焼け石に水だったけど、、汗。ちなみに10年後に完済できました)

医療費控除は年間の医療費が10万円を超えるとその超えた金額についてのみ、所得控除される。(合計12万円なら2万円を控除)

10万円以上も医療費がかかるということはあまり喜ばしい事ではないが、ちゃんと領収書を取っておいて計算してみると超える年もあった。

当時は医療費1割負担だったが、今は3割負担。
今の方が10万円を超えやすいだろう。

基本的に人間ドック代は入れることができないが、検査の結果病気が見つかって治療することになれば、人間ドックの代金も医療費控除に入れることができる場合がある。

確定申告は必要ないが、昔はなかったサラリーマンにもできる税金対策は、idecoとふるさと納税だろう。
(idecoは会社員なら年末調整で控除してもらえる。ふるさと納税もワンストップ特例制度を利用すれば確定申告はいらない。)

idecoで積み立てた金額は『小規模企業共済控除』で全額所得控除される。
貯蓄ができて、その分税金が安くなる、ダブルでお得。

デメリットは60歳まで引き出すことができないこと。

逆手にとって老後資金を作ることができると考え、無理のない範囲で『長期・分散・積立』投資をidecoで行うのは悪くないだろう。

ふるさと納税は自己負担額2000円以上の金額が所得税と住民税から『寄附金控除』で所得控除される。
日用品などを返礼品にすれば生活コストを抑えられる。

面倒かもしれないが確定申告をしようとすれば、自分の納税額についても気にするようになる。
(納税意識が高まる)

自分の給与から勝手に取られているものを把握することから始めよう。

副業で還付


所得税の仕組みは比較的シンプルだ。

所得税は、所得が多いほど税率が高い『超過累進税率』になっていることはよく知られている。

『所得』(課税所得)が小さくなれば税率が下がる。

『所得』は『収入』とイコールではない。

『収入』−『必要経費』=『所得』だ。

つまり『必要経費』が多ければ、『所得』が減り、納税額が減るということだ。
(もちろん認められている範囲でね)

給与所得は『必要経費』が認められておらず、給与所得控除額が決まっている。
自分では何も出来ない。

所得税において所得の種類は10種類ある。
(利子・配当・不動産・事業・給与・雑・一時・譲渡・山林・退職)

これらは総合課税と分離課税にグループ分けされている。

知っておきたいのは総合課税の方。

不動産所得・事業所得・給与所得・雑所得・一時所得・譲渡所得の一部、の6種類だ。

この6種類の所得は合算することができ、税金を計算する元の『所得』(総所得金額)となる。
(利子所得と配当所得は基本的に源泉徴収されているのでここでは除く)

全部まとめて計算する。(損益通算)

例えば不動産所得で出た赤字を、給与所得から引いて総収入を減らすなんてことができる。

同じように事業所得の赤字も給与所得と相殺できる。

副業を始めて初年度は赤字になるかもしれないが、その分は給与所得と相殺したら税額が減るかもしれない。

このような場合、すでに給与から源泉徴収されて国に納めた税金が、確定申告をすることによって還付される。


不動産投資は慎重に


よくサラリーマンの副業で不動産投資を勧められることが多いのはこれだ。
(ハイリスクなのでお勧めはできない。やりたい人はまず勉強から始めよう)

不動産投資の誘い文句に「税金対策になります」というのがある。

普通に考えて、赤字なら損しているんだから税金が減ったって自分のお金が減っているなら意味がないと思える。

不動産投資の仕組みは複雑だ。

一例を挙げれば、減価償却。

不動産を所有して不動産所得を得る場合、その所有不動産について発生する費用(必要経費)を計上することができる。(収入−費用が所得になる)

不動産を購入しその物件を固定資産として帳簿に上げると、毎年『減価償却』することができる。

「減価償却』とは建物について(土地は減価償却できない)その購入費を一定期間に渡り分割して必要経費として計上できるというものだ。

実際はその物件の価値が値上がりしていても、毎年一定の費用計上できるので家賃収入と相殺でき、その他の経費と合わせると赤字になることもありうる。

実際には家賃収入があり、物件価値が上がっていても帳簿上は赤字。

給与所得と損益通算できる。

でももう一度言うが、不動産投資はお勧めできない。

利益を出すためには手間暇と知識が必要だ。
(知識を持った上で恐る恐るスタートする)

不動産を所有すれば、固定資産税・修繕費・保険料・管理費なども払わなければならない。
ローンで購入した場合はローン返済もある。

管理会社に任せてオーナー気分を味わいたいだけなら止めないが、素人が丸投げおまかせで不動産を買えば、業者の格好のカモになることはまず間違いない。

特に『サブリースで家賃保証』には騙されないように。

保証されているはずの家賃自体の金額が下がれば、当然収入は下がり利回りも低下する。(家賃を下げないとは言っていない)

その上サブリース契約はオーナーから管理会社に対して、基本的に契約解除ができない。(借家法で借主の管理会社が守られている)

『簡単に儲かる』なんて話がやってきたら、それは全部詐欺だと考えるべきだ。

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