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複利の力で戦略的ライフプランニングを

天才物理学者のアインシュタイン(1879-1955)は、「複利は人類最大の発明だ。知っている人は複利で稼ぎ、知らない人は利息を払う」と言ったそうである。

「相対性理論」を発見し「光量子仮説」でノーベル賞を受賞した超天才が、『人類最大の発明』と言ったのが『複利』とは。

もっと早く知りたかった。。。

私は若い頃ずっと、コツコツ積立をやっていた。

1回の金額は少しずつでも何年か経つと、まとまったお金になる。

大体そういうタイミングでお金が必要なことが起こって取り崩してしまう、ということを繰り返していた。

取り崩す時は「貯金をしていてよかった〜」という無邪気な感想しかなかった。
そしてお金もなかった。

今はただただ『もったいなかった、、、』と思う。

30年前100万円を5%複利で預けてそのままにしていたら、今は432万円になっていたはずだ。

何にもしないで、ただ『ほったらかし』にしていただけで4倍以上になる。

増えた332万円を時給1000円で稼ごうとしたら、1日8時間毎日働いて415日(1年2ヶ月弱)かかる。

後半の『知らない人は利息を払う』というところは、もちろん借金のこと。

「借金が雪だるま式に膨らんで」なんて聞くと、「悪い人から借りたのね」と思いがちだ。

だけど普通に銀行から住宅ローンを借りていても、私たちは複利でお金を失っている。

自転車と電車

お金の本質については沢山の説がある。

私は経済学者ではないので学説は語れないが、FPとして日々の生活で感じるお金の性質について考えてみた。

まず収入にフォーカスする。

会社員の人は毎月お給料を貰う。
事業をやっている人は利益を得る。
コツコツ働いて得るお金。

一方人類最大の発明『複利』で自動的に貰うお金もある。

お金はお金。

でも上記の2つは明らかに性質が違う。

キーワードは『時間』だろう。

時給や月給で働いている人も、自分で事業をやっている人も、実際の自分の『持ち時間』を使ってお金を稼いでいる。

一方、複利の方は私たちの体は使わないので、物理的な『持ち時間』は使わず何もせずに手に入る。

まるで自転車での移動と、電車での移動みたいだ。

電車に乗ってしまえば着くまでは自由時間だ。
好きなことができる。

自転車は自分で漕がないと進まない。

『汗水流して稼いだお金は尊く、泡銭は卑しい』という意見もあるが、お金に色はついていないので『一万円の価値』は同じだ。

自転車で移動しても、電車で移動しても、動いた距離(価値)は同じ。

でも自転車移動は自分の限りある『持ち時間』が減る。


現代日本の現状

若い時は資産がない人が多い。

コツコツと貯めたお金を頭金にして、住宅ローンを組んで家を買う。

30年かけて毎月コツコツ返済する。

完済すればマイホームは自分の資産になる。

一見、良さそうに感じる。

多くの人がこのようなライフプランで生活している。

住宅ローンを返済するお金は会社員ならお給料だ。

返済を受ける銀行が受け取る利息は自動で発生する。

我々は自転車を漕いで移動。
銀行は電車に乗って移動。

自分の『持ち時間』を使って利息を支払う。
住宅ローンを返済するときに『利息』と『持ち時間』の両方を銀行に渡している。

複利の効果は時間が長ければ長いほど効く。

「若い時に借りた方が、長く借りることができるのでたくさん借入できる」と銀行や不動産屋から聞いたことがあるかもしれない。
(長くたくさん借りてくれた方が、銀行がたくさん儲かる)

「手元にお金がないんだから、借りて買うしかない」
「長年かけて自分の資産になるなら良い」

そうだろうか。

住宅ローンの支払いがキツイという人は多い。
教育費の負担も大きい。

戦後の高度経済成長期には日本国民全員が、動く歩道(急速な経済成長)の上に乗っていた。

国民は動く歩道の上で自転車を漕いでいたので、ぐんぐん前に進んだ。

日本の経済は急成長し、地価は上がった。(土地神話があった)
30年の住宅ローンは余裕で返せたし、教育費も安かった。

完済すれば『資産価値のある自宅』が自分のものになった。

失われた30年。日本の動く歩道は壊れたままだ。

もう一度動き始める(経済が急成長する)可能性はほとんどない。

なぜなら経済成長は人口増加と密接な関係があるからだ。

日本の人口は大きく減少することが決定している。
イーロンマスクに心配されるほど、日本の人口減少は悲惨な状況だ。

今後の日本だと、30年ローンを払って自分のものにした資産(マイホーム)が、30年後に資産価値があるかどうかわからない。

ローンの総支払額が5000万円で、30年後の資産価値が500万しかなかったら?

その5000万円は自分の『持ち時間』を使って稼いだ、宝のはずだ。

その大切な宝物であるお金は、価値のあるものに投資し自分のために使うべきで、銀行や不動産屋の利益に貢献するべきではない。


戦略的な人生プランの立て方


我々には自転車のアシストをしてくれる何かが必要だ。(動く歩道の代わりに)

人生の3大支出は『住宅費』『教育費』『老後資金』
それぞれ数千万円必要だ。

「若い時に貯金を頭金にして長期の住宅ローンを組んでマイホームを買う」行為は、『住宅費』にフルベットしているようなものだ。

よほどの高収入でない限り、将来『教育費』の負担が家計を圧迫するだろう。

そうすると『老後資金』の準備が難しくなる。

フルベットした自宅の資産価値が上がれば、売却して老後資金を準備することもできる。

しかし自宅の資産価値は、日本経済の行方や、自宅の地域の地価がどうなるかなど、自分ではどうにもならないことによって決まる。

アインシュタインの言葉を思い出してほしい。

『複利は人類最大の発明』

複利にアシストしてもらうのが一番良い。

一つの例を示したい。

結婚して30歳で子供が誕生したご夫婦とする。

40歳までにNISAでできるだけ積み立てる。

例えば5%で運用するファンドに毎月6万5千円積み立てたとすると、10年で1000万円になる。

ハードルは高いが、賃貸住宅に住み、生活をコントロールして積み立てる。

子供が10歳ごろから教育費が増えるが、この積み立てたお金は手をつけずそのまま年5%で運用し続ける。

複利の力でほったらかしにしただけで、1000万円だとすると30年後(70歳)には4321万円になる。(老後資金)

40歳まで毎月積み立てていた金額は、ここから子供の塾代などに充てる。

子供が生まれた時から、児童手当や子育て給付金などは手をつけず貯めておき、大きな教育費の支出に備える。

自分の収入がアップできるよう資格取得などをしておいて、教育費ピークを切り抜ける。

子供が自立したのちに(50歳前後)、住宅について夫婦で話し合う。

住宅ローンを組むならこのタイミング。
将来を見据えて無理のない範囲で。

ただし、NISAで運用しているお金には手をつけない。

ここからは自分の『持ち時間』を使って住宅ローンを返済していても、自分には自動で増える資産がある。

しかもそれは時間が経てば経つほど増え方が加速する。

自転車に強力なアシスト機能をつけた状態だ。

要約すると
① 10年で資産の土台を作る。
② 資産を長期で運用する。
③ 教育費と住宅費の支出の時期をずらす。

不確実な時代を生き抜くために、リスクを最小限にする人生プランを立てて欲しい。

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