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三島由紀夫生誕100年

今年は三島由紀夫の生誕100年という節目の年です。
関連書籍の出版やイベントも多く予定されており、
改めて三島の言葉や思想に触れる機会が増える一年になりそうです。
私自身、10代の頃に夢中で三島作品を読み漁りました。
三島ファンのご多分に漏れず、
ラディゲやトーマス・マンにも手を伸ばしました。
内容はほとんど頭に入らなかったですが。
三島が座右の書とした「葉隠」も手に取って、
武士道がわかった気になってました。
思想的にもかなりかぶれてました。

そんな私の心に今でも強く残っているのは、
三島が自決直前に残した言葉です。

このまま行ったら『日本』はなくなってしまうのではないかという感を日ましに深くする。日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであろう。

この予言とも取れる言葉が、
現代の日本の姿を言い当てているように感じる人は多いでしょう。
経済的な豊かさと引き換えに、
伝統や文化、精神性、あるいは日本らしさが、
だんだんと薄れていく感覚を誰もが少なからず感じているのではないでしょうか。
三島は、急速に変わりゆく日本の中で、
失われゆく伝統や価値観を何とか繋ぎ止めようと必死だったのかもしれません。

生誕100年という節目に、
改めて三島由紀夫の作品や思想と向き合うことは、
現代の日本が直面している本質的な問題について、
私たちが考えを深める機会となるはずです。


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