室井慎次 生き続ける者

室井慎次 敗れざる者・生き続ける者 を観てきました。
最初、敗れざる者 を観たら続けて続きが観たくなって、その日のうちに観に行った。先行公開ありがたかった…。

ネタばれだらけの感想を書きます。
なんかもう感情がぐちゃぐちゃ過ぎてどこかに書かないと整理できないくらいの衝撃でした。

 もうかつての『踊る大捜査線の室井慎次』とは全く違う室井さんが描かれてる。警察を辞め、里親となり、穏やかに泥だらけになりながら田舎で畑を耕し…と今まで見てきた室井さんとは違い過ぎて戸惑うくらい。
けど、今まで見たことない穏やかな笑顔とか、困った表情とか、『警察の官僚のしがらみ』から解放されてやっとこんな風に笑えるようになったんだなぁと思うとそれはそれで室井さんが幸せに暮らしている場面が観れて嬉しくもなった。
 そりゃあ踊るのファンはやっぱりスーツを着て眉間にしわを寄せているカッコいい室井慎次が好きだろうけど。
 そういう意味でも賛否分かれてるんだろうなぁと。まあ気持ちはわかるよ。やっぱり事件起きても室井さんは警察じゃないので今までみたいな捜査の関わり方じゃないし、組織の上に立つ格好いいリーダーでもない。どちらかというと組織から離れて「管理官室井慎次」でなく「ただの室井慎次」になっている部分にフォーカスが当たってるから。そんな室井慎次を観たいわけじゃないんだよ、っていう気持ちもわからなくもない。
でも、きっとこれが「本当の室井慎次」なんだろうなぁと思った。
誰でも仕事をしている時は普段とは違う格好いい自分だ。職場では立場のある人間は尊敬されたり、それはその人が辞めてもずっと上司であることに変わりはない。でもどんな立場のある人もその立場から離れればただの人であり、父であり、初老の男になっていく。誰でもそうだ。総理大臣だって家庭に帰ればお父さんだし夫だし近所のおじさんだったりする。
 まあそんな「ただの室井慎次」が割と悩みながらも幸せな笑顔を見せるようになっていたのがちょっとうれしかったし、そういう風な室井慎次を描いてくれてよかったなぁと思っているので私はこの映画観て良かったと思っている。

 ただね…最期だよね、問題は。
なんかもう「生き続ける者」は途中からフラグが立ち過ぎててなんとなく悟ってしまった。え、もしかして…室井さん!?って。
でもまさか最期が雪の中で遭難ですか…。心臓のほうじゃなくて?
それも結局最後の姿が映像にないので、「え、本当に死んだの?実は助かってたとかないの?」って思ってしまうくらい。
 そんな最後はないだろう、あの室井慎次だよ?せめて最後はもっと暖かい場所で皆に見守られて亡くなって欲しかったよ…そして最後にあの男とも言葉を交わしてほしかったよ…。
っていう本音はあるけど、きっとわざと最後の姿が誰にも見られないように亡くなってしまったんだろうなぁと思う。室井さんらしい最期といえば室井さんらしい。最期を看取ったのが犬のシンペイだけだった、っていうのも。
最期を観ていないからこそ、室井慎次を知る人の中に残っているのはあの『踊るの室井慎次』だ。まるでまだ生きているかのように誰しもの心に室井慎次は残ってしまった。それこそがこの映画のタイトル「室井慎次 生き続ける者」なんだろうなぁと思うと涙が止まらなくなった。
 一番最後の最後に登場した青島…「遅いよっっ!!!」って突っ込みたかったけど。
 そうか…続くんだね。ていうか、最後の最後でちゃんと青島が出てきてよかったなぁと思った。間に合ってないけど、でもちゃんと室井さんの会話の中や昔の映像の中だけじゃなくて「今の青島」が室井さんの世界観の中にちゃんと生きてるってことがわかって「ああ、やっぱり2人がいることでこの世界が『踊る』なんだ」って実感できる。
 でもやっぱり室井さんが生きてるうちに青島と一緒に居るところ見たかったなぁ…。

踊るは今後も続くみたいだけど、どうなるんだろう。
和久さんはいないし、すみれさんも警察辞めてて家族がいるとか言ってたし(家族が誰なのか気になるけど)新たな人達が中心になっていくんだろうか…。何よりもう室井さんが出てこないんだと思うことが寂しくて辛い。

 ただ…
やっぱり室井慎次が柳葉さんで良かったと改めて思った。
こんな長い間、最後まで室井さんを演じてくれてありがとうございました。
やっぱり踊るは最高のドラマでした。

寂しいけど観てよかった…

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