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ブラック企業に就職して新卒カードが一週間でパーになった話 その1

こんにちは。自己紹介を書いてから初めての記事です。

最初の記事に新卒時の経験を綴ってみることにしました。

もう10数年前の事なので、いいかなと思いこの経験を記すこととした。他者からは「もう忘れろよ」と言われるが忘れられっかよ。新卒カードが短期間でパーになったんだよ???忘れたくても無理だよ。これ書いてる最中も当時の恐怖を思い出してドキドキした。自分も悪い会社を見抜けなかったという反省すべき点もあるがそれでも人生初めて入社した会社で短いながらも酷い経験をさせられたことはずっと忘れられないだろう。

私はM2の冬頃にとある会社に内定を貰った。
面接は一度だけ。そこまで嫌な雰囲気はなかった。
まあ今考えると皆真面目そうだけどちょっと暗いかな?っとは思った。
内定が出て悩んだが、長く就職活動する中でなかなか内定が出ず困っていた時だったので行くことにした。当時もわりと氷河期だったように思う。

事業内容は所謂ベンチャー系といったところだろうか。当時の私は某番組に影響されてベンチャー企業にキラキラしたかっこいいイメージだけを持っていた気がする。今考えるといきなり新卒で契約社員?とか気になる点があったが、初めてやっと内定が出たんだ前向きにいかないとと当時はそこで頑張ることにした。

そして一週間で退社した。いや、正確に言えば「追い出された」。家族からは「お前が悪い」と責められた。罪悪感を抱いた。

未だに私はこの件が心に引っかかっているしきっと消えることはない気がしている。お前らを許さんぞという気持ちと、家族に申し訳ないという気持ちと、あそこで自信を失った悔しさがぐちゃぐちゃに絡みついている。

しかしあの過酷な環境で耐えてもいい結果にはならなかったのではと思う。
新入社員の半分は数か月で退職したし、その会社は現在存在していないから。

①引っ越しは強制

内定が出てあと、3月ごろだろうか。総務担当者から電話があった。いきなり「引っ越し予定の住所を教えて下さい」と。は??いや引っ越しとかしてないんですけどというと「どういうことですか??」その後別の社員の方から電話があり「会社から30分以内に通勤できる場所ではないなら引っ越して」「試用期間以内に引っ越しをしないなら後々正社員登用することはできないよ」「引っ越しは必須だが、うちには指定の社員寮はない。また家賃補助はしない」とのこと。私の実家の最寄駅からは通勤は可能であり、会社も駅のそば。ゆくゆくは一人暮らしをしたいが最初は実家から通うつもりだったため面食らってしまった・・。入社日も近いため、とりあえず物件情報を見ながらGW頃に引っ越せるようにしようと計画を立て始めた。

②入社当日

入社当日は開口一番リーダーと言われる社員から「つらいなあ、きついなあと思ったら即辞めてもらって結構だから」と言われる。狭い雑居ビルのオフィスと研究室だけの部屋にも関わらず新入社員は私含めて5~6人もいた。

③研修?

まず総務担当者からこの会社でどんなことをしているかの説明を受けその後は電話応対や名刺交換の練習があった。ここまではまあ、普通だろう。ここからがちょっと変だった。

「技術職の仕事なので、環境をきれいにずることが大事です」⇒分かる
掃除のテストをしてもらいます」⇒ん???

④掃除のテスト

会社がある階には二部屋があった。ロッカーがあり食事をする机がある部屋Aとクリーンベンチや冷蔵庫のようなものがある部屋B(研究室のようではあるがそこまで装置などがあるわけではない)。そこの掃除をしろ、という。

~テスト概要~
〇掃除にはフローリングワイパーを使う
〇まず部屋Aを掃除する
〇ワイパーで拭くにあたって、ワイパーが床に触れていない面は絶対に作ってはならない。一度ワイパーで触れた場所をもう一度通ってはならない(二度拭き禁止)。ワイパーが床から浮いてはならない。
〇テストは掃除をしているところを社員に見てもらう。上記のルールが守れていない、社員が違うと思ったらアウト。
〇部屋Aを合格したら部屋Bでも同じことをする。しかし部屋Aのテストを3回失敗したら部屋Bの合格は取り消し。部屋Aからすべてやり直し。

テストは目視しているのだが判定はなんだか曖昧だった。「自分はコネ入社だから」と言っていた人はすぐに合格していた。本人も「なんか自分のテストの時よそ見してるし、他の人としゃべってるし適当だった」などと言っていたし、なかなか合格できない私に「ちゃんと見てもらえてるんだからいいじゃないですか、ありがたいと思いましょうよ」などと言った。

あと新入社員同士の協力も禁止された。
ひたすら皆掃除の練習とやらをし始めた際、部屋Aにはイスとテーブルがあったので何人かで椅子を上げようとすると「手伝うな!」「全部一人でやれ!」と怒鳴られた。ここの部分が難しいよねという話が新入社員同士で出たので「皆さんと話す中で疑問に思ったことがあるのですが・・・」と質問をしに行くと「社員同士で話し合うな」と怒鳴られた。

⑤始末書を書かせる

リーダーが何か気に入らないと思えば始末書を書かされた。通勤・退勤中はマスクをしなければならないのだがマスクを忘れてしまったときは始末書を書かされた。また、化粧は禁止されていたのだが日焼け止めを塗ってしまったときは始末書を書かされた。質問の内容が気に入らないとか口答えしたと判断されても同様。まあ、マスク忘れたとか日焼け止めしたのは1回目とはいえ私もいけなかったと思うしそこは反省すべきだ。しかし始末書を書かせるようなことなのだろうか。色々な相談機関に話をしたが「そんなことで普通は始末書は書かせませんよ」と驚いていた。これまでの仕事で始末書を書いた経験があるという方からなぜ書いたのか聞いても「あー、確かにそんなことをしたら仕方ないかもなあ」というそれ相応の理由だった。

⑥過激な言葉

「死」を連想させる言葉を何度も浴びせられた。技術職なのでキチンと安全に配慮することは大事だし、それを厳しく言うのは当然だとは思う。しかし「もし実験失敗して作ったこの薬を飲んだあんたの親が死んだらどう思う?どうなんだ?」「嫌です」「そうだろう、死んだら嫌だろうそれならちゃんとやれよ」という言葉のやり取りをリーダーと何度も何度もするのは精神的に堪えた。特に身内が闘病していたため余計に辛かった。


「不可解なテストをさせる」「気に入らなければ始末書を書かせる」「協力できないようにしたり、差をつけて新入社員同士を敵対させる」「死を連想させる言葉を浴びせる」これらは洗脳の手口と似ている気がする。というか洗脳されてる人もいた。最初は「なんか変じゃない?」って言っていたのに「リーダーの言ってることは正論だ!!」と言いはじめたり

理不尽なことや恐怖を与えて思考能力を奪う。お互いを競わせそれぞれ敵対させる、罪悪感を与え、自尊心を奪う。死を連想させる言葉を何度もかけ恐怖心を植え付ける。とある凶悪事件の犯人らが被害者にしていたことにもどこか似ていて今考えるとぞっとする。

実際この会社の嫌な雰囲気は他の新入社員も感じていた。A部屋で昼休みを取っていた時も「監視カメラや盗聴器でうちらは観察されてるかもね」なんて言っていた。普通職場でそんな考えに囚われるだろうか?それほど異様な環境だったのではないか。

合格しないといけないからと休み時間を潰してワイパーで床を磨くようになった。窓もない閉鎖的な空間でひたすら床を磨く日々。自分でもなにをしているのか分からなかった。辛くなってトイレに籠りたくなっても、トイレの個室だけではなく、入り口そのものに鍵があったため総務に「トイレに行きたいので鍵もっていきます」と言わなければならなかったので気軽には行きにくかった。

涙でぐちゃぐちゃのすっぴん顔にマスク。不健康な見た目だったかもしれないね。

家族に辛さを吐いても「きついのは当たり前。皆新入社員になった人は頑張っているのよ」としか言われなかった。通勤中に泣き出すこともあった。

当時やっていたmixiに「仕事が辛すぎる」と書いたら友達に「無理したらいけないよ」とコメントをもらった。いのちの電話にもかけた。「自殺してはダメよ」と言われた。学生時代にお世話になったカウンセラーにもメールをした。

その時は励まされてもまたすぐ心は暗闇になった。

初めての休みは死んだように寝ていた気がする。

つづく。


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