【うつろい(雑感)】_191025
これまで、移ろいについて感じるところを映画、流行歌、洋楽、自伝・エッセイ、哲学・思想、社会学、Jpop、短歌、著名人の視点そして絵本を通じて綴ってきたところでありますが、今回は再び洋楽を通じて移ろいを綴ってみたいと考えました。
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その洋楽とは…
(やはりと言おうか)ザ・ビートルズの【ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード(The Long And Winding Road)】(作詞・作曲:ポール・マッカートニー(1970年))であります。この楽曲はあまたあるビートルズの人気ランキングでも上位に位置されることの多い名曲ですから、一度は耳にされた方も多いのではないでしょうか?格調高い歌詞と哀愁漂うメロディーは彼のビートルズの楽曲のなかでも屈指のバラードといえるでしょう。オーケストレーションを駆使した鬼才フィル・スペクター独特の編曲によってドラマチックに仕立て上げられた曲調に乗せて、マッカートニーは【友情】の移ろいをつぎのように綴ります。
♬
きみの扉へとつづく長く曲がりくねった道
それは 決して消えることなく いつも ぼくの目の前に現われて ここへと ぼくを導いてくれる
きみの住む家の扉へと…
雨がきれいに洗い去っていった風の強い荒々しい夜
一夜明けると そこには涙の池があるだけ
なぜ ぼくをここに立たせておくの?
どうか 道を教えておくれ
孤独なときも何度かあった
泣いた夜も 幾夜かあったきみには 決して分かりはしないけど 人知れず試みた道も 幾つかあった
そうして ぼくが辿り着いた道
それは あの長く曲がりくねった道 ずっと ずっと昔に きみがぼくをひとり残したこの道
ぼくをこうして待たせたままにしないで
きみの扉へと どうか導いておくれ…♪
…
この曲についてマッカートニーは「あの頃の僕は疲れきっていた。どうしてもたどり着けないドア、達し難いものを歌った悲しい曲だよね。終点に行き着くことのない道について歌ったんだ」と語っています。もはや修復が叶わないとするバンドメンバーとの友情に対する諦念のようなものを彼は楽曲にしたためたのでしょうか…
大切にしたいと想いながらも、もはや【どうしてもたどり着けない、達し難い】(叶わない)現実を目の当たりにして、その慕情を敢えて切り捨てなくてはならない心情に共感を覚えます。
(2024.11.14)
―壬生七郎拝―