【官能小説(ショートショート)#“ホステス”】
(官能小説を投稿しています。SMが苦手な方、18歳未満の方は閲覧はご遠慮ください。)
「みぶちゃんはS?M?」行きつけのスナックのママが彼に聞いた。
「S、断然そう。ママもそうだよね」
「そう。みぶちゃんと同じ」
「じゃ、かみ合わないわ。ムリ」
「そうね。でもそういうこと抜きにしても、みぶちゃんとはかみ合わないわ」
「相変わらずきっついな、ママは」壬生七郎は頭を掻いた。
「なおちゃんは?」桜庭奈保子は最近、勤めはじめた三十代の前半と思われる細身の美人だった。
「えっ?」
「また、とぼけて…S、Mのどっち?」
「…Mかな」そう答えた奈保子の耳の後ろあたりが一瞬赤味を帯びたのを、彼は見逃さなかった。
「縛られたかったりして」
「…」彼女は目で頷いた。
壬生は床に散らばった麻縄を拾い上げると奈保子の股間に通した。
彼女は身を震わせた。
その晩から壬生と奈保子の倒錯した付き合いが始まった。
M性の横溢な奈保子の要求は次第にエスカレートした。鞭打ち、ろうそく垂らしまではなんとか引き受けたが、浣腸を求めてられて、壬生は潮時を悟った。
二十年余りが過ぎた今、壬生は引き受けてあげてもよかったなあ、なんて後悔に近い念は覚えてはいない。
―完―