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うつろい(雑感)

(2019.07.26)

 過日、国の敗訴が確定した【ハンセン病家族訴訟】の報道を見聞きして、思い出したのが、かつて、姜尚中(かんさんじゅん)氏が、とある雑誌(新聞?)に寄せたコラムの中の印象的な一節です。つぎに、それをご紹介することとします。


 氏の父君が熊本にあるハンセン病療養所にいる同じ在日朝鮮人一世の方に寄せた友情関係から、その方が氏の家に訪れるようになった頃の話です。『「金子さん」を怖がった六歳の私は彼がウチに来ると、奥に隠れる場所を探していました。そんな私の気持ちを察してか、金子さんが言いました。『よかよ、仕方んなか。子どもは大人の心を写す鏡だけん。わしはこがん運命を背負ったばってん、すべてば受け入れて、一生懸命生きてきたと。生きんと、生きて生き抜かんと。それがワシらの生きた証だけんね』そんな金子さんの言葉に、私は子ども心にも恥入りたい心持ちになりました。』

 私、そのような話に心が震える思いがしたことを記憶しています。そんな思いがベースにあったせいか、最近、その家族の方々に頭を下げ、握手をする総理大臣の姿を報道で目にした私は、どこか【空々しさ】のような感を抱きました。

(2024.09.24)

神山義己拝

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