【長編官能小説#友情(第2話)】
(官能小説を投稿しています。SM、フェチシズムが苦手な方、18歳未満の方は閲覧はご遠慮ください。)
亜希子の部屋は五反田のマンションの高い階にあった。とかの中古マンションで生活をする奈保子には羨む気持ちも失せた。
「なにか飲む?」
「お酒はもういいわ。お水もらえないかしら」亜希子は流しに立つと硝子の水差しを持ったまま奈保子の前に立った。
「ありがとう」奈保子が水差しに手を伸ばすと、ダメ、亜希子は冷たく言った。放心したような表情で奈保子は亜希子の表情を伺った。
「ダメって…」
「わたしが飲ませてあげる。さあ、口を開けて」酔いが手伝ってか言われるままに奈保子は口を開けた。
「もっと顔を上げて、大きな口を開けて」抗う気持ちの余裕も持てないままに奈保子は亜希子の言葉に従った。亜希子は立ったまま膝立ちの奈保子の口に水を注ぎ落とした。細い水の流れが奈保子の口を満たすのに時間は要らなかった。溢れ出す水を嫌がるように口を閉じる奈保子に「ダメ、口を閉じちゃ」亜希子の口調が強まる。奈保子は亜希子の言われるままに閉じかけた口を開く。苦しさに耐えながら鼻でなんとか呼吸を保つ。口の両端からあふれ出た水が胸元を濡らし、水に浸されたブラウスは肌に貼りつき、ブラウス越しにブラジャーの輪郭を顕わにしてゆく。
「どうかしら、こんなふうされる気分は?」奈保子は呼吸を落ち着かせるように軽く咳をすると、充血した眼を奈保子に向けながら「苦しい…」訴えるように言った。
「そう、やっぱりあなたはMのようだわ」亜希子の翆の瞳の奥には残忍さを喜びとした光が宿っていた。
「ごめんなさい。奈保子のお店での話がどこまで本当なのか試してみたかったの。気を悪くしたらごめんなさいね」亜希子が奈保子の耳元で囁いた。亜希子の息のアルコールとタマネギとが混じり合ったような匂いが奈保子の鼻先に漂った。
―つづく―