蜘蛛人間ネルビアン その知られざる生態について【World of Warcraft】

 ネルビアンは非常に知能の高い蜘蛛あるいは昆虫型の種族です。今まで登場していたネルビアン達の多くはリッチキングに支配されたアンデッドであったため、邪悪で冷酷の野蛮な種族としてのイメージが強い。しかし、World of Warcraft The War Withinの舞台であるアジ-カヘトにはアンデッド化していないネルビアンの王国が存在し、そこで私たちは本来のネルビアンの社会を知ることができました。そこには今までのネルビアンのイメージとは違い、伝統や規律を順守する高潔な文明が存在していました。とりあえず私が言いたいことは、お前たちはホードに入れ!!

多種多様なネルビアン

ネルビアンの起源

黒の帝国

 ヴォイドロードの一人であるディメンシウスの命令に基づき5体の旧神がアゼロスの地表に根を下ろした後、彼らはすぐに周囲に腐敗を広げ、土地を荒廃させ枯らした。彼らの巨大な体から染み出した有機物は、2つの異なる種族、アキルとンラキ(通称「無貌の者」)を生み出した。強くて丈夫なアキルは、狡猾で知的なンラキの下僕として旧神の巨大な体の周りに都市とそびえ立つ城塞を建設した。これらの領地の中で最も大きなものは、一番強力な旧神であるヤシャラージュの周りに築かれ、この文明はすぐにアゼロス中に広がり黒の帝国と呼ばれた。

クロミーと一緒にタイムトラベルした際に訪れた黒の帝国

 しかしある日、プライムワールドソウルを求め宇宙中を探索していたタイタンはアゼロスを発見し、黒の帝国と戦うためにオーディンを始めとしたタイタン・フォージドを送り込んだ。タイタン達のリーダーであるアマンスルは最も強大であったヤシャラージュを打倒したが、あまりにアゼロスと旧神が深く結びついたいたため、強引に旧神を倒すことはアゼロスへの負担が大きかった。そこでタイタン達は残りの旧神を倒さずに封印することにした。その後は帝国の地下に多く生息するアキルに目を向けた。アキルのほとんどはタイタン・フォージドによって破壊されたが、いくつかの集団は地下深く逃げ延びたものの反撃するには弱体化しすぎていた。

ヤシャラージュを破壊するアマンスル By YeastSoldier


トロール・アキル戦争

 黒の帝国が滅亡してから数千年後、カリムドーにて台頭したトロールの全盛期であり大陸の半数を支配していた。その中で、黒の帝国より存在していた謎のしゃべるダガーであるザラタス(現拡張:The War Withinのメインボスでもある)に唆されたグルバシ族の呪術師ザンドはタイタンキーパーのティールが命がけで撃退したンラキの将軍キシックスを復活させてしまう。キシックスは地下に潜んでいたアキルを呼び起こし、トロール達を殲滅するべく戦争を始めた。多くのトロールの小規模な部族は消滅したが、アキルに対抗するためザンダラリ族を筆頭に、アマニ族、グルバシ族、ドラッカリ族で同盟を結んだズール帝国が誕生した。神獣であるロアの力を借り、全部族が協力することで強大なアキル達を打ち破ることに成功した。

トロール・アキル戦争の様子
https://youtu.be/WmecMjKoqRo?si=Q-YccwmTdM38Fgfgより

ネルビアンの誕生

 ここでようやくネルビアンの誕生になりますが、過去の設定と今の設定では多少の矛盾点がありますが両方紹介していきます。30年続くシリーズなので細かいことは気にしていられません
 過去の設定では、トロールに敗れたアキルは敗走の過程で3つの集団に分かれることになった。南西に逃れた集団はクトゥーンの影響でキラージに、南に逃れた集団はヤシャラージュの影響でマンティッドに、そして北に逃れた集団はヨグサロンの影響でネルビアンとなり、ノースレンドにアズジョル‐ネルブ帝国を作ったとされている。
 しかし現在の設定では、ネルビアンの誕生はまだ黒の帝国が存在していた頃と言われている。旧神は将来訪れる戦争に備え、軍団の指揮官として後述するネルビアンの形態であるスパイダーロードの武と賢者の知の両方の特性を有するアヌビゼク女王を生み出した。アヌビゼクはこのまま旧神に従ったままでは破滅してしまうと予見した。自由を求め少数の同族を引き連れて地下深くに逃走し、その先でアジ‐カヘト帝国を建立したとされている。
 過去と現在で誕生する時期や場所は違うものの共通していることは、キラージやマンティッドとは違い、自分たちの創造主である旧神に反抗し、独立した国家を作り出したことです。

ネルビアンの形態

 ネルビアンはいくつかの形態に進化する方法を会得してきました。進化はネルビアン社会にとって重要な物であり、研究者と学者によって長年研究されていました。ネルビアンには様々な見た目の者が存在し、それぞれが独特な特徴を持っています。また形態によって社会的地位が定められているようです。

通常形態(トゥルーボーン)

 一般的なネルビアンであり、人間と蜘蛛を併せ持った見た目をしている。6本脚の蜘蛛の下半身に2本の腕の人間のような上半身を持っている。氷の上であっても滑ることなく地表を素早く走る回ることができる。不死の疫病やリッチキングの支配への耐性を持っている。そのためノースレンドにいるネルビアン達は全て殺害された後に死霊術によって蘇生された上で操られている。スコージによってアンデッドとなった者達はクリプト・フィーンドと呼ばれている。

賢者

 ネルビアンの形態の中でも古くから存在し背が高く非常に知性が高いのが特徴である。その高い知性を活かし、蜘蛛の王国の大臣や魔術師、預言者として活動している。ネルビアンは1つの代で魔法や技術を極められないことを理解しており、その対策として自身の記憶や技術を特別な糸に保存し、後世に引き継ぐ術を開発した。記憶を引き継ぐことができるのは形態が同じ者であり、賢者と女王蜘蛛しかこの術を行うことができない。

スパイダーロード

 カブトムシのような外見を持つ巨大なネルビアンである。自分たちはマンティッドやキラージといった意思の無い低俗な者ではないと認識しており、さらに個人の力では戦争を勝つことができないことを理解していた。そこで軍事的な知識や下級の蟲を操る力を習得した優れた武人のみが到達できる形態がスパイダーロードである。主に軍事的な指揮や要人の護衛を担う役割を持っている。スコージによってアンデッドになった者達はクリプト・ロードと呼ばれている。

女王蜘蛛

 ネルビアンの女王は民の指導者と娘を次代の女王に導く役割を持っている。賢者と同様、記憶を糸に織り込むことで母から娘に経験をそのまま引き継ぐことができる。個体の大きさが個体の強さに直結するネルビアン達にとって巨大な女王蜘蛛は非常に強力な力を持っている。蜘蛛の王国は基本的に女王が統治し、蜘蛛の王は軍事的な役割が中心である。蜘蛛の女王がいなかったアズジョル‐ネルブではどうであったかは定かでない。アヌバラク王のトランスジェンダー説が巷では囁かれているとかなんとか
 アジ-カヘトにおいては母親の逝去によってのみ王位が継続される風習となっている。しかし歴史上、親族殺しや王位の簒奪は何度かあった。現に今拡張のアンスレク女王も母であるネフェレス女王より王位を簒奪している。しかしこれは女王に引き継がれてきた知識を失うリスクがある。

アジ‐カヘトのアンスレク女王

スキッターリング

 スキッターリングは二足歩行のネルビアンの形態である。知性が高く、手先が器用なため、住居の建築や武器の製造といった職人としての役割を担っている。当初は二足歩行のため、他のネルビアンからかなりの反発を受けたが、粘り強さと堅実な仕事ぶりによって尊敬と信頼を得られるようになった。
 この形態の創造を最後に1000年近く、新たな形態を研究することは禁止されていた。


昇華(Ascended)ネルビアン

 ザラタスにもたらされた闇の錬金術によって生み出された最新の形態である。旧神の死骸より漏れ出た黒い血を利用することで創造された。他のネルビアンの形態では決して手に入らない力、素早さ、知能を得ることができる。しかしながらネルビアンが何万年もかけて培ってきたフェロモンを安定して感知、放出することができないため、彼らを異常種とみなす者もいる。体格が他のネルビアンと似ていないことも両者を対立させるきかっけとなった。
 昇華ネルビアンの真の目的はヴォイドへの完全な隷属である。ザラタスはこれらのネルビアンの精神を完全に操ることができ、彼女の意思に従わせることができる。

昇華ネルビアンのアートワーク

さいごに

 ここまでお読みいただきありがとうございました。正直、今拡張が始まる前までは今更ネルビアンの王国に行ってどうなるんだという印象を持っていました。しかし彼らの歴史や文化には非常に奥深い背景があることを知りました。特に今回では語り切れなかったアジ‐カヘト王国の将軍であるアヌバザル将軍の高潔さやネフェレス女王と忠実な部下であり女スパイであるアラクナイ夫人の主従関係を越えた繋がりなどもっと多くの魅力があります。
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参照サイト

おまけ

 私の今拡張激推しキャラクターであるアヌバザル将軍が書したゲーム内書物である「戦争の精神」という本の中に彼の戦争への向き合い方が述べられています。ネルビアン軍の素晴らしさが知れてとてもよかったので皆様にも共有いたします。

推しとパシャリ

 戦争の精神 1巻
 敵を知れ、ただし相手にお前達のことを悟られるな。
 敵の長所、情熱、美学を発見しろ。彼らが何を信じ、誰に仕えることを選んだのかを理解しろ。さすれば、相手を倒す方法がわかるからだ。どうすれば相手の最も弱い場所、または最も気になる場所を攻撃し、破壊できるのか。一人の愛する人や最愛のリーダーの死によって彼らの決意を打ち砕く最善の方法は何かを教えてくれる。
 敵とみなしている奴や、いつか敵になるかもしれない奴らに対して、自分を打ち砕く方法について同じ知識を与えないように、自身の情熱と本当の自己を隠さなければならないことも理解しろ。

 戦争の精神 2巻
 公平性は戦争ではなく決闘にある。
 戦争で公正な戦いをしているなら、お前は戦略家として失格だ。戦争は親切なものではなく、目的を達成するための手段だ。戦場を利用し、敵を罠にはめ、敵が予期しないときに攻撃する方法を学べ。彼らが寝ているとき、彼らが安全だと信じているとき、彼らを攻撃しろ。敵が自分たちが最強であると信じているときに攻撃しろ。
 敵が最初のネルビアン兵士を見つけたとき、彼らは行動するには遅すぎるような状態にすべきである。

 戦争の精神 3巻
 決して敵を馬鹿にしてはいけない。
 計画、策略、配置を適切にし、勝利を確実の物としろ。しかし、決して敵があなたを勝たせてくれるだろうと考えるな。奴らは、お前が予測できない方法で、自分自身の目的を計画し、策略し、配置する。敵が独自の計画を明らかにしたときに適応して対応できるように、戦争において軍隊の準備を整えろ。たとえどれほど危機的であっても、一度の戦闘の敗北が致命的になってはいけない。

 戦争の精神 4巻
 一人の兵士の命の価値を尊重しろ。
 私たちはただの蟲ではない。私たちは黒の帝国ではない。私たちはマンティッドやキラジのような意思の無い虫ではない。
 我らはアジ・カヘトの軍団だ!生き残った最後の王国!
 戦場にいるすべての魂は、自らの選択によるものだ。
 リーダーとして、兵士たちを死に追いやる覚悟は必要だ。目的のためには、指揮下の兵士全員を犠牲にする覚悟は必要だ。しかし、もしお前が兵士の犠牲を当然だと思っているなら、旧神にお前の魂が食い荒らされることを祈っている。努力して戦うのではなく、スマートに戦え。その日を勝つために、今までの訓練で培った地力と集中力に頼ることを躊躇するな。
 死者数が多いのは戦略家の失敗だ。

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