第7次エネルギー基本計画(原案)から考える

第7次エネルギー基本計画の原案が12/17に出て来たのでそれについて考えてみたい。

エネルギー基本計画(原案)の概要
https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2024/067/067_005.pdf
エネルギー基本計画(原案)
https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2024/067/067_006.pdf

エネルギー政策基本法

エネルギー基本計画は2002年に施行されたエネルギー政策基本法に基づいて作られている。この基本法は14条のみのシンプルな法律で、エネルギー基本計画については第12条に記載がある。

エネルギー政策基本法
https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC1000000071

(エネルギー基本計画)
第十二条政府は、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るため、エネルギーの需給に関する基本的な計画(以下「エネルギー基本計画」という。)を定めなければならない。
2エネルギー基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 エネルギーの需給に関する施策についての基本的な方針
二 エネルギーの需給に関し、長期的、総合的かつ計画的に講ずべき施策
三 エネルギーの需給に関する施策を長期的、総合的かつ計画的に推進するために重点的に研究開発のための施策を講ずべきエネルギーに関する技術及びその施策
四 前三号に掲げるもののほか、エネルギーの需給に関する施策を長期的、総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3経済産業大臣は、関係行政機関の長の意見を聴くとともに、総合資源エネルギー調査会の意見を聴いて、エネルギー基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
4経済産業大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、エネルギー基本計画を、速やかに、国会に報告するとともに、公表しなければならない。
5政府は、エネルギーをめぐる情勢の変化を勘案し、及びエネルギーに関する施策の効果に関する評価を踏まえ、少なくとも三年ごとに、エネルギー基本計画に検討を加え、必要があると認めるときには、これを変更しなければならない。
6第三項及び第四項の規定は、エネルギー基本計画の変更について準用する。
7政府は、エネルギー基本計画について、その実施に要する経費に関し必要な資金の確保を図るため、毎年度、国の財政の許す範囲内で、これを予算に計上する等その円滑な実施に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

少なくとも3年毎に検討を加えると5項に記載されていて第6次が2021年10月なので今年度第7次が議論されていると言うことだろう。

4項に閣議決定後に国会に報告し、公表とあるので国会で決めるのではなく、あくまで内閣が決めるものなので、時の政権の意向がかなり反映されたものになると言っていいのではないか。

再エネ比率

再エネ比率が2040年度で40-50%と出ているが、第6次では2030年度で36-38%だった。38%で考えると10年で2%しか増えていない様に見える。ただ、kWhで見てみると2030年度は太陽光は全体9340億kWhの内の9.8%なので966億kWh。2040年度は全体が1.1-1.2兆kWhで太陽光が22-29%なので、2,420-3,480億kWhになる。太陽光発電は2030年度に比べると2040年度は2.5-3.6倍増えているので絶対量ではかなりの量とも言える。

第6次エネルギー基本計画
https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/

第6次の時は2030年度のエネルギーミックスを打ち出したが、その答え合わせはまだ先にならないと出来ないので、第7次もその振り返りがベースになっている訳ではない。計画と銘打っているものの、その性質上、言いっ放しになっている面はある。

ただ、数字が当たったかどうかは重要ではなく、計画を出すことにより、それに向かって様々な政策、予算等を動員して行くと言うことに意味があるのだと思う。そう言う意味では現状の導入状況の振り返りはやはり必要だとも言える。太陽光発電の導入ペースがかなり下がってきており、そこからどの様に反転へと持って行くのかを考えないと2040年度の目標には到底届きそうにない。第7次エネルギー基本計画がそう言ったブレイクスルーのきっかけになることを願いたい。


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