燃える蓄電池 Moss Landing蓄電所
Vistra社が保有する世界最大級のMoss Landing蓄電所でまた火災があり、周辺住民1200人以上が一時避難していた様だ。電池は燃えることがあると言うことに改めて気づかされる。
Moss Landing, the world’s biggest grid battery, just caught fire again
https://www.canarymedia.com/articles/batteries/moss-landing-the-worlds-biggest-grid-battery-just-caught-fire-again
Moss Landing蓄電所の火災
Moss Landingはジャズフェスティバルで有名なモントレーの近く。蓄電所は750MW/3000MWhの規模があるが、2024年度の長期脱炭素オークションの揚水・蓄電池(3-6時間)の募集容量が同じ750MWなのでどれだけ大規模かがわかる。
激しく燃えている動画
Drone footage shows fire at one of world's largest battery plants https://www.bbc.com/news/videos/ce855z6z1d5o
Moss LandingにはVistra社が火力発電所を持っていてその場所に蓄電池を設置したものの様だ。蓄電池はLG Energy Solutionの三元系リチウムイオン電池だ。火力発電所のタービンホールに蓄電池が並べられていて、コンテナには入っていない。今回はそれが火災の規模を大きくした原因かもしれない。2022年に隣接するPG&EのElkhorn蓄電所で火災があったがTeslaの蓄電池がコンテナに入っていたためコンテナ1つが燃えただけだった。
タービンホールに設置されている蓄電池
Moss Landing: World’s biggest battery storage project is now 3GWh capacity
https://www.energy-storage.news/moss-landing-worlds-biggest-battery-storage-project-is-now-3gwh-capacity/
Tesla grid battery fire shows young industry’s failures and successes 2022.9
https://www.canarymedia.com/articles/energy-storage/tesla-grid-battery-fire-shows-young-industrys-failures-and-successes
Vistra社のMoss Landing蓄電所は過去にも火災が2度あって数か月稼働が止まっていた。
日本での火災
去年も鹿児島で太陽光発電所に併設された6400kWhの蓄電池が燃えたことがあった。爆発して消防士4名がけがをした様だ。
伊佐市の太陽光併設・蓄電池火災、爆発で太陽光パネルも破損
https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/04458/?ST=msb
この時もMoss Landingと同じLG Energy Solutionの三元系リチウムイオン電池だ。
リチウムイオン電池が燃えた場合、基本何も出来なくて燃え尽きるまで待つのが正しい対処法の様だ。Moss Landing蓄電所でも同様なのでコンテナに入ってないと次々に燃えてしまう恐れがあると言うことだろう。
2011年には三菱マテリアルの筑波製作所にあったNAS電池も燃えた。鎮火まで2週間掛かった様だ。
2週間燃え続けたNaS電池、延焼範囲が想定以上に拡大
https://xtech.nikkei.com/dm/article/HONSHI/20120724/230096/
高い安全性を持つレドックスフロー電池
こうした蓄電池は化学物質を使っているので発火のリスクはゼロには出来ないのだろう。発火リスクを考えるとレドックスフロー電池も今後候補になって来る可能性がある。
住友電工によるとレドックスフロー電池は以下の通り高い安全性を備えている様だ。リチウムイオン電池に比べるとコスト面が厳しいので、今後量産された際のコストに期待したい。
電解液として使用する硫酸バナジウムは不燃性。たとえ正負の液が混合しても発火することはありません。電池を構成する他の材料にも難燃材料を使用しており、火災の可能性が極めて低く、高い安全性を有しています。
安全なインフラの実現に向け、技術革新が続いていくことを願いたい。