詳細な発電コスト検証を

発電コスト検証ワーキンググループで委員から統合費用を考慮した発電コストの試算が出された。驚いたのが変動再エネ6割の時に事業用太陽光の数値が36.9円/kWhと他電源よりも圧倒的に高かったことだ。次に高かったのはCCS付き石炭火力の30.3円/kWh。

発電コスト検証WG 2024.12.16 資料1
https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/cost_wg/2024/data/05_04.pdf

変動再エネが4割の時は事業用太陽光は15.3円/kWhと一番安く、5割の時はCCS付き石炭火力(29.7)、石炭アンモニア20%混焼(29.6)に次いで3番目(23.4)に高かった。

電源別限界コスト(LCOE*): 事業用太陽光
  変動再エネ4割      15.3円/kWh
  変動再エネ5割   23.4円/kWh
  変動再エネ6割   36.9円/kWl 

なぜ変動再エネ6割の時に事業用太陽光が高くなるのか

なぜ変動再エネ6割の時に事業用太陽光が高くなるのか。資料では充放電損失や再エネの出力抑制が増加するからと説明されている。

確かに何もしないと出力抑制の割合が非常に高くなると言う試算は出ている。しかしそれは何もしない場合であって系統増強、需要増等によってかなり解消されるとの試算も出ている。

系統WG 2024.12.2 資料1
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/shin_energy/keito_wg/pdf/053_01_00.pdf

今回はDRとしてはヒートポンプ、EVしか考慮されていない様だ。それでも変動再エネ5割の時の事業用太陽光の23.4円/kWh が事業用太陽光+EV(充放電最適化)では16.7円と6.7円下がっている。

https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/cost_wg/2024/data/05_04.pdf

委員からも指摘があったが、上げDR、水素製造など需要をシフトさせることにより、出力抑制もかなり回避出来てLCOE*も下げられるものと思われる。

ぜひ充放電損失をどの程度みていて、出力抑制によるコスト増をどの程度みているのか、詳細を明らかにしていただきたいものだ。

数字が出るとその前提は忘れられて数字が一人歩きすることがある。今回は正にそう言う可能性がある。変動再エネは6割になると電気代が高騰すると言うイメージを持たれてしまうのではないかと心配だ。

いいなと思ったら応援しよう!