『正体』 染井 為人 著
脱走した死刑囚の逃亡先での生活。出会いと別れ。
逃げるため転々とした生活を繰り返しているので短編のように語られていく。
それを全て読んでいる読者としては脱獄犯へ感情移入していく。
彼の本当の姿はどれなのか?
この小説を読んで思うことは、正体って何なの?ってこと。
もしかしたら、身近にいる人も自分が思っているような人じゃないかもしれない。
自分も相手側からしたら相手の知っているような人じゃないかもしれない。
もしかしたら、自分が思っているような自分が自分じゃないかもしれない。
ちょっと飛躍しすぎたが、人は噂や偏見を込みで人を見ている。
しかし、それな正しくない。
本当はその人が何をしているのか。行いを見るべきなのかもしれない。
とはいえ、ついつい噂や見た目で判断してしまう。
そういう意味では人は行いを見るのが苦手なのかもしれない。
それをこの小説を通して考えさせられた。