小説を読むのがこわい
皆さん、読書でこんな経験は無いだろうか。
途中まで興味を持って読んでいたのに、だんだんと内容が暗くなってきて、気持ちがどよ〜んとしてしまった…とか、予想もしなかったエグい、グロいシーンが出てきて嫌な気持ちになったりそのイメージが頭から離れなくて悩まされたり…といった事は。
私はある。
そもそも私は映画やドラマを観ていても、登場人物の気持ちに引っ張られすぎてしまって辛くなる事がよくある。しかも結構引きずってしまい、皿を洗っている途中なんかに思い出して、眉間にシワが寄ってしまったりするのだ。
だから、辛そうとか苦しそうだと思う映画等は基本的に観ない。ジブリは好きだけど『火垂るの墓』も観たことがない。小学生の時に友達と映画館でタイタニックを観た後なんて、終わってからもショックで「ジャックがぁ…」とか言いながら2時間くらい泣いていおり「餡子ちゃんまだ泣いとんの?」と呆れられた。それでも泣き止まないからしまいには、「あの映画に出とる俳優さんたちはみんな生きとるよ」と言われ、ハッと我に返ってようやく泣き止んだ。
そんな私だが、だからといって本や映画が嫌いなわけではなく、むしろ好きな方である。
作品に集中していると周りの情報がシャットアウトされるような、あの感覚が大好きだし、ただ単純に内容が面白いと思うから観たり読んだりしている。
でも時々、「え?割と呑気な話だと思ってたのに、これってこんなキモいこと起こるの?」って思ったり、いきなりエグめの描写が出てきたりすることがある。また、あらすじなど何も知らずに読み始めたら「こんな内容だったんだ…」と、ズーンとなってしまったりもする。それが嫌なのだ。
映画もだが、読書、特に小説を読んでいる時にこういった事が起こる。
それを初めに感じたのは10代の頃である。
小学生の高学年〜中学生の頃、図書館で借りた本の内容がキツいといった事がなかなかの高確率で起きた。おそらくそれまではいわゆる児童文学を読んでいたのが、大人が読むような小説を読むようになったのが理由だと思う。その経験から、「私には読書は向いていないのかも」「読書ってこんなに暗いものなのか」「小説ってエグさやキモさがツラさがあるのが当たり前なのか?」と、読書に対してマイナスのイメージを持ち、あまり本を読まなくなった。中学校の図書館が殺伐としていてあまり好きではなかったのも、それに追い討ちをかけた。
ただ、その頃もさくらももこさんのエッセイだけは大好きでよく読んでいた。何度読んでも楽しく、お気に入りの話は何度も読んでいるのに毎回ニンマリしていた。今私がエッセイを読むのが好きなのは、その経験からきているのだと思う。そして、自分が好きだと思える本はちゃんとあるんだとさくらももこさんが教えてくれたから、その後本を読むのを嫌いにならなかったのだと思う。
今も小説を恐る恐る読む節はあるが、昔ほどの苦手意識はなくなった。多感な少女でなくなったという事は理由のひとつだと思うが、読書に真面目になりすぎず、途中で読むのをやめていいと思えたというのが大きいと思う。それに、嫌な思いをせずに読める小説もあると知った事も、私に自信をつけてくれた。小説を読む自信って何だよ、と思うが…。
別にそんなに無理して小説を読まなくたっていいのだが、面白い作品は面白いので、あらかじめ内容を調べてから読んだり、「こりゃ苦手だな」と感じたらすぐにやめたりと、工夫しながら楽しんでいる。
こんな事を言う人が私の周りにはいないのだが、共感してくださる方はいるのだろうか。
いたら嬉しい。