色を飲む
最近、気が付いたことがある。
缶ビールをグラスに注いで飲むとうまい。
缶から直接飲むより2倍ぐらいはうまいのではないか。
これに気付いて以来、必ずグラスに注いでビールを飲んでいる。
しかし、なんでこんなにうまいのだろうか?
食卓でひとり、ビールの入ったグラスを片手にふと思う。
、、、、
、、、、
そうか。
分かった。
おれはこの色を飲んでいるのか。
妙に腑に落ちた。
あー、なるほど。
おれはグラスに満たされた、この金色を飲んでいるんだな。この金色を意識して飲むことで、より「ビール飲んでる感」を感じられるのだ。
だから、うまい。
あー、なるほど、なるほど。
食卓の片隅で、自分の名推理ぶりにひとり関心する。
そういえば考えてみれば、ビールのCMだって大体グラスに注いでるもんな。あれも美味しそうに見える演出って訳か。
ははーん、なるほどね。
つまり、物理的に味は変わらなくとも、いかに美味しそうに演出して飲むかによって味も違って感じる訳だ。なるほど、なるほど。
つまり、これはあれだな、、、
、、、、
美味さの可視化だな。
、、、、
、、、、
心の中でひと通りひとりごちた後、グラスに入ったビールをぐいっとあおぐ。
うめぇ。
気持ちの良い平日の夜。