親の呼び方
昔から親の呼び方コンプレックスみたいなのがある。
普段、父のことを「お父さん」、母のことを「お母さん」と呼んでいる。昔からずっとこの呼び方だ。
しかし、友人や彼女の前で、この「お父さん」「お母さん」呼びをするのが恥ずかしい。
大体、男であれば親の事を「父さん」「母さん」呼びをしているイメージがある。実際、周りの友人も大半が、親の事を言う時は「父さん」「母さん」と言っている。
その一方、僕はいまだに「お母さん」「お父さん」呼びから卒業できていない。恥ずかしい。良い子感が滲み出てしまう感じが嫌である。
いつの間にか、呼び方を変えるタイミングを見失ってしまったのだ。
今さら、急に「父さん」「母さん」と呼び始めるのも、気恥ずかしいし、なんかむず痒い。
身内内で「お父さん」「お母さん」呼びをするのはまだいいのだが、何が恥ずかしいって、友人や彼女に「お父さん」「お母さん」呼びをしている事を知られるのが恥ずかしいのだ。今だに丁寧に「お」をつけて呼んでいる” 良い子ちゃん ”だなんて思われたくない。こちとら、もう32だ。いい大人である。
そうなると、一見、友人や彼女の前だけ「父さん」「母さん」呼びにすればいいじゃん?というだけの話なのだが、問題はそんなに簡単じゃない。
実際は「お父さん」「お母さん」と呼んでいるのに、友人や彼女の前だけ「父さん」「母さん」呼びをしようという、この “ 小さな見栄 “ がダサいのである。友人や彼女の前だけ、親の呼び方を変えて、1ミリでもイキろうとする自分が許せないのである。無理に「父さん」「母さん」呼びをしようとすると、もう1人の自分が言うのだ。
何その小さな見栄、ダサっ
こんなしょうもない所でイキろうとする自分のダサさを自覚しているからこそ、気持ちよく「父さん」「母さん」が発動出来ないのだ。
困った。
人前で「お父さん」「お母さん」というのも恥ずかしいし、かといって、小さな見栄を張って「父さん」「母さん」と言うのも自分自身が許せない。
つまり“板挟み状態“なのだ。
どうすればいいのか、、、
近頃、ひねり出した解決案は「親」という呼び方である。これなら「お父さん」「お母さん」と言わなくてもいいし、イキって「父さん」「母さん」を絞り出す必要もない。言葉の響きとしても中性的で、良い子感も滲み出ない。
なかなか良いアイデアである。
だから最近は会話の中で「お父さん」や「お母さん」のことを言う時は、よく「親」と濁している。
ただ1つ問題なのは、聞いている相手からすると「親」と言われただけだと、「お母さん」なのか「お父さん」なのか判別がつかないという事だ。この点が課題である。
今のところ、大抵の場合、「親」で乗り切れてはいるが、場合によっては「お母さん?お父さん?」と相手に聞き返されてしまうシーンも今後あるかもしれない。そしたら、結局、また板挟み状態になり、モジモジして「あーー、お、お母さん」とモゴモゴとする羽目になるだろう。
うーん、どうしたものか。
もっと良いアイデアないだろうか。