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星野源と紅白と、ひいてはわたしと星野源、そして星野源、的な誰かと

新年早々ですが早速頭から離れないことを書いておきたいと思います。私の意見と異なりもやもやする人もいるかもしれませんが、書きます。性暴力についての記載があるため読む際にはご注意ください。



2024年紅白歌合戦での星野源の歌唱楽曲は、当初の予定楽曲の「地獄でなぜ悪い」から「ばらばら」へ変更されました。
(歌唱楽曲を変更したおおまかな経緯は省きます。たぶんググってもらったほうが正確かと…)
私は星野源と星野源の周囲の大人に対して静かな怒りと対話の可能性を感じています。
現実世界、日常でも起きているようなことだと思ったのでここで書くことにしました。
2024年12月26日に星野源のオフィシャルサイトにて「『第75回NHK紅白歌合戦』出場楽曲変更について」というタイトルで
以下のような文章が出されました。
一部を切り取られたニュースはあると思うのですが、ここでは全文を転載します。

「先日発表された「第75回NHK紅白歌合戦」の、星野源の歌唱楽曲についてご報告させていただきます。
楽曲「地獄でなぜ悪い」は星野源の曲です。
星野は2012年にくも膜下出血で倒れ、その闘病期に病院でこの楽曲の作詞をしました。詞の内容は、星野の個人的な経験・想いをもとに執筆されたものです。後述する映画のストーリーを音楽として表現したものではありません。星野源の中から生まれた、星野源の歌です。
一方で、すでにSNS等で指摘されているように、のちに性加害疑惑を報道された人物が監督した映画の主題歌であること、映画タイトルにある「地獄」というワードにヒントを得たこと、映画タイトルと同名の楽曲であることもまた事実です。この曲を紅白歌合戦の舞台で歌唱することが、二次加害にあたる可能性があるという一部の指摘について、私たちはその可能性を完全に否定することはできません。
今回の歌唱楽曲は「アーティストの闘病経験を経て生まれた楽曲で、いま苦しい時代を生きる方々を勇気づけてほしい」という、紅白制作チームからの熱意あるオファーを受けて選定された経緯があります。しかし、そのオファーの意図から離れ、真逆の影響を与えうるのであれば、それはオファーを受けた私たちの想いに反してしまいます。そのため、今回同曲を歌唱することを取りやめることにいたしました。私たちは、あらゆる性加害行為を容認しません。
この曲が多くのファンの皆様に愛していただいている楽曲であることを、私たちはよく理解しています。また、星野自身もとても大切にしている楽曲であることはこれからも変わりません。
紅白制作チームと協議の結果、今回は曲目を変更し、「ばらばら」を弾き語りします。
ご期待いただけますと幸いです。

星野源&スタッフ一同

https://www.hoshinogen.com/news/detail/?id=73... 最終閲覧2025/01/01


あなたはどう思いますか。
私はこれを読んで、どうして星野源および彼のスタッフが
「選曲を間違ってしまった。性加害、性暴力に加担してしまった。ごめんなさい。」というシンプルなことを言えないのか全くわからないなあと思うとともに、この文章を添削してくれる大人がいなかったのかと思います。

釈然としない文章たち
「この曲を紅白歌合戦の舞台で歌唱することが、二次加害にあたる可能性があるという指摘について、私たちはその可能性を完全に否定することはできません。」という文章内にある「『一部の』指摘」という文章と「その(二次加害の)可能性を完全に否定することはぜきません」という文言によって、「その(二次加害の)可能性がある」という言葉により、指摘が多くの人ではなく一部の指摘であり、二次加害してしまう「可能性」の話としています。

性被害への二次加害は「オファーの意図と『真逆の』影響」か?
「オファーの意図から離れ、真逆の影響を『与えうるのであれば』、それはオファーを受けた『私たちの想いに反してしまいます。』そのため、今回同曲を歌唱することを取りやめることにいたしました。」とあります。
オファーの内容は「アーティストの闘病経験を経て生まれた楽曲で、いま苦しい時代を生きる方々を勇気づけてほしい」というものと書かれています。
この文章を真逆にすると「いま苦しい時代を生きる方々を勇気づけない」となりますが、性暴力の二次加害は加害であって「勇気づけられる」とか「苦しい」とか感情以上に暴力であるという認識を感じない

主語が「私たちの想い」?
「私(星野源)たちの想い」に「反する」から取りやめるのか?二次加害にあたるからではなく?主語は「いま苦しい局面にいる性暴力等の被害に苦しむ人々やその関係者」の存在であり、「私たちの想い」は主語として適切か?
・・・・といろいろ書きましたがこれ以上もキリがないです。
「不快な思いをされる方がいらっしゃるのであれば」という仮定法の表明文は読み飽きたし(いるから問題になっている)、「私たちは、あらゆる性加害行為を容認しません。」とあるが以上の点から「性加害を容認しない」という態度がどこまでを指すのかがわからない。
そして「この曲が『多くの』ファンの皆様に愛していただいている楽曲であることを、私たちはよく理解しています。」とあるように、「一部」の指摘に対して「多くの」ファンに愛されているという書き方が気になる。
この一件は、数の問題か?

つまり星野源は二次加害の可能性を考慮しつつ性加害は容認しないというスタンスのまま星野源は紅白に出演。
笑顔はなく、カメラをずっと見つめながら「ばらばら」を歌いました。

各ニュースでは星野源のパフォーマンスについて「訴えかけるように」とか「長い沈黙」などと記載されていました。

怒っている表情にも見えるし悲しそうにも見えるし…何を考えているかわからないなと思った。不機嫌そうにも見えた。狂気溢れる星野源のパフォーマンスここにあり、という感じだった。私は怖いと思った。

その後、彼は自身のラジオの生放送でこの件についてはリスナーから「(略)紅白での『ばらばら』いろんな感情、思いを持った人たちに伝わったと思います(略)。今の源さんの来年が少しでもつらいことの少ない穏やかな日々であることを願っています(略)」という言葉に声を上げて泣いていた。そのあと彼は「ばらばら」についての思いを語った。それ以外、私が聞く限りこの件に触れていない。

長々書いて何が言いたかったかというと、私は今回、星野源は間違ったら謝って、泣きたかったら泣いて、わからなければわからないと言うべきだったと思う。全然まだ遅くないと思う。
でもそれができなかったし、それができる環境でも社会でもなかったということも想像できる。
芸能界はヤバいところなのも想像できないけど想像つく。

でも。これは星野源、星野源的な誰か、ひいては自分に言っているのだけど、何か訴えかけるような顔をして、笑顔をなくして、思ってもいないような「よいお年を」なんて言わないでほしかった。歌詞を変えてメッセージを暗に伝えたりしないでほしかった。
舞台やWebサイトやラジオという発信できる場があるなら、思っていることを言ってほしかった。
ラジオで「どうせこの時間に聴いている人はいないでしょう」と自嘲しないでほしかった。あなたの地位で、今回の影響力で、誰もラジオ聞いてないわけないでしょう。

思っていることは、言葉で伝えてほしい。ちゃんと聞くから。問いかけるから。

もちろん音楽には力があると思う。
でも性加害も二次加害も「加害」であり、被害者は専門的な治療が必要で、性加害は不可逆でとり返しがつかない「暴力」であって、「音楽に力がある」とはまた別次元だ。

しかしそれは音楽が無意味だということではない。現にこんなに社会を動かしている。
星野源は偉大なアーティストだと思う。だからこそ、本当に思っていることが知りたかった。「訴えかけるように」ではなく伝えてほしかった。もっと早く泣いたってよかった。苦しいものは苦しい。
でもそれを許さない環境や社会や彼の規範意識があったのだろうか。

私はぶっちゃけ、星野源が「地獄でなぜ悪いは俺の曲でこの曲は愛されているんだ、歌います!!」というスタンスを取ったのであれば、別に「地獄〜」を歌ってもよかったと思ってる。
もちろんそれには賛否あるだろうが、そういうものだと思う(私はもちろん歌うべきじゃないという立場だが、それでも「地獄〜」を歌うという選択肢はあった)。

彼は「ばらばら」の中で「本物はあなた わたしは偽物」という歌詞を「本物はあなた わたしも本物」と変えた。
これでいいのか?

「本物はあなた わたしは偽物」という謙虚で未知の相手に対する態度がこの曲の大事なところだと思っていた。この歌詞は文字通り「わたしは偽物」というより、「本物はあなた わたしは偽物」というところはどこか照れた、不確かなものに対する感触があった。

でも私も本物になってしまった。それは、孤独ではないか?
このままじゃ、「そのままどこにもい」けないよ。私は星野源を諦めない。

でも私は星野源との対話を続けたい。
今回の星野源の態度に納得できなかったけど、私はミュージシャン星野源をまだ信頼してる。

格好悪くてもいい。カッコいいか悪いかは正味どうでもいい。全員が「地獄〜」をまた聴けるときがきてほしい。でも残念だけど、また地獄をにはケリをつけなきゃいけないことが多すぎる。
「地獄〜」で特にすきな歌詞とともにこの書き殴りを世に放ちます。

幾千もの 幾千もの 星のような 雲のような
「どこまでも」が いつの間にか 音を立てて 崩れるさま

https://www.uta-net.com/song/152640/

マキノ サラ


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