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【小説21】勘違い女神の弊害(異世界転生したオレはスキル<コピペ>で人生を謳歌する)

21 勇者リーファス


   12月になって、回復爆弾も結構な数になった。ガウロのストレージやポシェットに詰めておく。
ドラゴン討伐は神木救済の為だけじゃない魔物のスタンピードを防ぐ目的もある。

俺がエリクサーをコピーして世界中にバラ撒いても、悪党の資金源になるかもしれない。
俺自身が危険に晒されるかもしれないし、大金稼いでもコアを喜ばせるだけだ。
<コピペ>はシークレットスキルだからな、やはり秘密だ。

中2階に散らばっている魔道具は修理が必要なものが多数だ。
何でも完璧なテオだが、片付けは苦手だ。
ミラさんに注意されながら、嬉々として毎日作業に没頭している。

「本当に大事なものはきっとギルド管轄保管庫の貸金庫に入れてあるだろう。金貨も大部分はそこに預け入れてあるはずだ。セキュリティーが世界一だからな、貴族なら皆、それを利用するのだ。」

「ならワイルナー家はエリクサーは何故家で保管していたんだろう?」

「あれは王家でしか保有出来ないのだ。よからぬ手を使って手に入れたのだろう。」

「目立たないように汚い木箱に入れてたな。家宝だったかもしれない。」

「あの木箱は貴重なのだぞ。時間停止付きだからな。」

「エリクサー以外、僕は大方”イラナイ物”を盗んだ訳だ。気が軽くなったよ。」

「修理すれば貴重な物だ。あ、修理道具の追加を頼む。」
「りょうかい~。」

 街に出て修理道具を買い終える。
高額だったが専門店で修理を頼むと、値段は何倍にもなる。テオに感謝だ。

「お、ニトじゃねーか。久しぶりだな。」ダニーに見つかった。

「久しぶりですね。お元気でしたか?」

「何を他人行儀な事言ってんだよ。ついて来いよ!」いや、他人なんですが・・・

PTハウスに連れていかれた。外面が修理されていて元宿屋は少し綺麗になっていた。
反対に中は汚くなって酒瓶が転がり埃が・・・「ケホッ・・・」

「うちは掃除する奴いねーんだよ。わりーな。」招待しないで欲しかった。

「ここらにお茶っ葉が・・「いりません! 何か用事ですか?」

「そうだ、正式にAクラスになったんだぜ!」「おお、おめでとうございます。」
自力でサラマンダー討伐に成功したようだ。

「だからコレやるよ。」ダニーはサラマンダーの魔石5個入った袋を俺に握らせた。
お土産と言って温泉饅頭もくれた。(温泉があるんだ。行ってみたい。)

「だから、気にしなくていいって言ってるのに。」「いいから持ってけ。」
「じゃぁこれで気にするのも最後にしてよ。有り難う、貰っておきます。」

「お返しにここ、掃除しようか?」
「いや、ギルドに頼んである。スラムの子らにやらせる。」
なんだかんだいってもダニーは憎めない。イイヤツだ。

「あら、ニト君じゃないの。」オリビアさんが戻ってきた。

「こんにちは。」「ふふ、こんにちは。こんな汚い家にようこそ。」

「うっせー。アイツらは?」

「もうすぐ壮行会があるじゃない。ギルドに隣国の勇者様が立ち寄ってるらしいのを見に行ったわ。」

(なんだってぇーーー)
「僕も行ってくる!さよなら。」ギルドに大急ぎで向かった。

 ギルド周辺は大勢の人がいた。透明化して中に入ると冒険者達も勇者を一目見ようと待っている。

「ギルド長は話が長いからな。」「結構な美丈夫らしいぜ。」
「お、来た!」

ギルド長らしき男と勇者らしき人達が5人。その中にひときわ目立つ銀髪の青年がいた。
勿論<コピペ>を唱える。

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リーファス<勇者>男
Lv.550
属性 全種(すべての魔法を優位に使え50%威力が上がる)
特性スキル 大剣有利(大剣を装備すると攻撃力が10倍)
シークレットスキル<xxx>
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流石勇者だ。ジュークと入れ替える。(あれ、何か違和感が)

銀髪の美丈夫は アルフレッド キャス<賢者>男 Lv.490 

(勇者じゃないだと? でも賢者だ。)

リーファスは小太りの冴えない中年男性(全然勇者に見えない。)
じっと見ていると、リーファスと目が合う。俺は前に立っている冒険者の後ろに隠れた。

5人が出ていくと、外で歓声が上がった。勿論5人全員<コピペ>済。
4人は特殊スキルが興味深い。中でも賢者の浮遊は是非試してみたい。

アルフレッド キャス(賢者)全種*浮遊 結界
ルード ノイゼン(ティマー)水 火*幸運
サミエル ジャスグラン(魔導師)全種*範囲シールド
ヘンリー パパス(精霊召喚師)*精霊術強化

錚々たる顔ぶれ、勇者以外は貴族のようだ。4人は20代後半だろうか。
アルフレッドが高位貴族らしい、てきぱきとPTを仕切っている。
5人は馬車に乗せられ、城に向かって行った。

勇者リーファスに会えて満足した俺の目の端に何かが映った。
体が激しく拒否反応を起こしている。

(ロスだ。)心臓がドキドキする。 平気だ、今はニトなんだから。

ロス爺がなぜ居るのかも確認せずに俺は商店街に向かって走った。

それにしても俺の中のシェル、ビビリ過ぎだろう。手が震えてるぜ。

ガウロの店の前にワイルナー伯爵家の家紋が付いた大きな馬車が止まっている。
店の中を伺うと伯爵夫人のマリアンヌが店長とにこやかに話をしているのが見えた。

壮行会があると聞いている。
マリアンヌも参加するのだろうか。彼女は亡き王妃の末の妹だ。

ドン! と後ろから誰かに突き飛ばされて俺は地面に手と膝をついた。
「何だ!」振り返ればヤツラがいた。

俺を見下ろしながら「平民が邪魔なんだよ。」コイツは双子弟のレイモンドだ。
「へへ、少し押されたくらいでお前大げさだなー。」この脳筋は兄のミハイルだ。

こんな調子でシェルはずっと虐められ、池に突き落とされたんだ。
<超猛毒>をぶち込んでやりたかったが、双子の後ろからロスが来るのが見えた。
エリクサー盗んでやったのにアイツ、クビになっていなかったのか。

「おぼえてろよー」と叫んで俺は逃げた。双子め命拾いしたな。
ついでに<コピペ>しておいたぜ。

レイモンド(双子弟)魔法士 火*<召喚魔法>
ミハイル(双子兄)戦士 風 *<疾風剣> 

あいつらも勇者を見学に行ってたんだな。

 ログハウスに戻ると温泉饅頭にJKたちが大喜び。
「和菓子、餡子だ~。コピーしてね。」
「温泉行きたいよね。」「旅行したいね。」
「今年は修学旅行なのに、いけるかな。」3人のテンションが下がる。

「ドラゴン騒ぎが終わったら温泉に行ってみようか。僕も行きたいから。」
「ホント? やった~。約束だよマスター。」
良かった、元気になったようだ。

ここに来て以来、俺の従僕さん達は誰もダンジョンから外に出ていない。
ストレスにならないか心配だ。

「ストレス? 私は魔道具に囲まれて幸せだ。」
「私も農作業やベルルさんをお手伝いして楽しいですわ。裁縫も上達しましたのよ。」テオとミラさんは問題無さそうだ。

前世、俺は修学旅行も普通の旅行も行ったことが無い、温泉楽しみだ。
 



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