【小説25】勘違い女神の弊害(異世界転生したオレはスキル<コピペ>で人生を謳歌する)
25 消えたブラックドラゴン
「マスターーーーーーーーーー! 敵襲! 敵襲! 全員避難せヨ!」
勝手に体が動いていた。ブラックドラゴンに触れ<ログイン>してしまった…
「コアーーー 命吸え! 奪ってやれ!」俺は混乱しているんだな。
寿命(魂)を吸ったところでHP(体力)は変わらないのだ。
馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿 どうする? もとに戻すか?
なぜコアは放り出さない? 大物に興奮して寿命吸引中か?
絶対防御中のブラックドラゴンも場所が変わり神木で回復が出来ず混乱している。
周りを見渡すと俺を見つけて顔を歪め唸った。
「グゥゥゥウウ・・・」
<神速>を使って畑に向かって走る。ログハウスを守らなければ。
幸いユカたちはいない、逃げ惑うゴーレムだけだ。
怒り心頭のブラックドラゴンが絶対防御解除、ドシンドシンと追いかけてくる。
追いつけないと思ったのか翼を広げて飛び上がった。
バサッバサッと羽ばたくと暴風で俺の体は畑を転がった。
急いでダニーにチェンジ<不屈の精神>
(即死攻撃でもHP1%で生き残る。クールタイム10分)
すかさずブレスが襲ってくる。回避の間もなかった。
まともに食らって<不屈の精神>発動。
くらくらしながらエリクサー爆弾で回復。
ブラックドラゴンがゆっくり地上に降り立ち、お互いに正面から睨み合う。
(こえぇ.....よぉぉ───)
「聖騎士 ターナーにチェンジ <気合><シールド>(ダメージを1回防ぐ。)」
どうする?テスラン達を連れてこようか?
俺は無理だろう~~~~~~~コアはどこだ??
ブラックドラゴンはやる気だ。再びブレスの構えに入る。
すると「マスター援護! ゴーレム突撃!」 「コア!」
ゴォォォーとゴーレム10体が俺の頭上を飛び越えていく。
(え、飛べたの?)
ロケット弾のようにブラックドラゴンに一直線に向かって全弾体当たり。
ちゅどーーーーーーーーーーーーーん‼
ちゅどーーーーーーーーーーーーーん‼
ちゅどーーーーーーーーーーーーーん‼
ちゅどーーーーーーーーーーーーーん‼
ちゅどーーーーーーーーーーーーーん‼
ちゅどーーーーーーーーーーーーーん‼
ちゅどーーーーーーーーーーーーーん‼
ちゅどーーーーーーーーーーーーーん‼
ちゅどーーーーーーーーーーーーーん‼
ちゅどーーーーーーーーーーーーーん‼
10体が次々と自爆していく。
真っ黒な巨体が耐え切れず仰向けにズズーーーーーーンと倒れた。
<ブラックドラゴン>落ちた神龍 HP 47000/MAX
うぅう・・・1億ゴーレム軍団 良くやった!
躊躇してられない。俺はブラックドラゴンに向かって駆けだした。
「チェンジ ジャス(闇魔道師)<魔力上昇><ブラッディティアーズ>」
空間に巨大なレッドアイが現れてブラックドラゴンに血の涙を注ぐと巨体を僅かに捩った。
闇属性の最強魔法だ。ジャスが唱えた時は大ダメージを与えたのを見たのだが
<ブラックドラゴン>落ちた神龍 HP 42700/MAX
俺のレベルだと4300ダメージ。俺は逃げながら10回これをやれば勝てる。
だが1回でMPは0だ。MP回復しながら逃げ切れるか?
エリクサー爆弾を使ってもう1一度<ブラッディティアーズ>でダメージを与える。
ブラックドラゴンもいつまでも横たわってはいない。
起き上がろうとするとクロがドラゴンの顔面に向かって跳ねていく。
「クローーやめろぉーーー」
ブラックドラゴンの顔面に飛びつき、クロは体いっぱい伸ばして顔面を覆いつくし、ドラゴンはクロを引きはがそうと、もがいている。
「クロ! 離れろ! 一気に倒すぞ!」
豪商人のホルンにチェンジ <ストレージ∞>に貯めておいた俺の全財産。
俺はクロが離れたのを見届けて「くらえ!<金貨投げ>」
ブラックドラゴンの頭上に金貨がジャラジャラジャラジャラと大量に落ちてきて、ブラックドラゴンの動きがストップした。
「やったのか? <base><コピー><判明>」
<ブラックドラゴン>落ちた神龍 HP3000 / MAX
(くそ!まだ残ってる。大散財したのに!)
起き上がったドラゴンは尻尾で地面の土ごと俺を払いのけると俺は吹っ飛んで転がった。
顔から突っ込んで口の仲は砂だらけだ。
「ウエェ・・・ ペッ! ペッ!」
(シールドしてなきゃ大怪我だったな。)
「グワァァァアアアア!!!」咆哮が───
「うっ! ブレスか? チェンジ・・」 ───刹那
ドオオオオオオオオオオオン と爆裂音が響き渡った。
続けてダダダダダダダダダダダダダダダと連射音。
ブラックドラゴンは爆炎に包まれ、ズズーーーーンと倒れ再び地面が揺れた。
<ブラックドラゴン>落ちた神龍 HP 0 / MAX
テオとイブキが駆けてくるのが見えた。
ロケットランチャーと機関銃を抱えている。
(箝口令無視かよ・・・ははは)
次の瞬間レベルアップの衝撃に襲われて眩暈で突っ伏した。
俺は生き残った。
***
◆王太子視点
目前で一瞬にしてドラゴンは消えた。もしや逃げたのだろうか。
最初の目的は追い払う事だった。
だが前回、失敗に終わり兄である王太子を失った。
騎士達も大勢命を失い今回は弔い戦となった。
倒せると予想していた。が、予想を大きく上回る困難な戦いだった。
驚きと共に安堵する冒険者や騎士達。死者は奇跡的に出ていないようだ。
数時間待ったがブラックドラゴンは戻ってこなかった。
今戻られても困るだけだ。全員疲労困憊している。
夕暮れが迫り撤退命令を出す。二度とブラックドラゴンが戻らぬよう願いながら。
☆テスラン視点
ドラゴンめ逃げやがった。そうとしか考えられないじゃねーか。
弟子の3人も限界だったし、まぁこれでいいか。目標は追い払う事だった。
しかし 治癒師がいい仕事していたぜ。何度も全回復してくれた。
ドラゴンと戦えるなんて滅多にあるもんじゃねーし。今回はいい経験だった。
□リーファス視点
ギルドで見かけた不思議な少年だった。
傷つきMPが枯渇する度、回復してくれた。
おかげでシークレットスキル<神の審判>を何度も唱える事が出来た。
最後の絶対防御で戦いを諦めかけた時、ドラゴンは少年と共に消えた。
彼はきっと神の使いなのだろう。この大規模な討伐で死者が出ないのは奇跡だ。
●サラ視点
何度も地面に転がされ叩きつけられた。まだまだ実力不足を痛感した。
師匠のように強くなりたい。死者がでなくて良かった。
ドラゴンはなぜか消えたけど ちょっと安堵している。
早く帰ってシャワーしたい。明日から鍛えなおしだ。
〇ジューク視点
全然役に立たなかった。サラ達ですら結構ダメージを与えていたのに。
ドラゴンに翻弄されて走り回っているだけだった。
でもこれで終わったんだろう?ドラゴンは消えた。どこだっていい、消えたんだ。
これで日本に戻れるんだよな。戻りたい。特にリクは鬱状態だ。
一刻も早く日本に戻りたい。
▽???視点
戦いが終わって静寂の中、わたしだけがそこに残っていた。
わたしに依存していた黒いドラゴンは消えた。
隠れていた精霊たちが姿を現し、キラキラと輝き 歓び歌っているようだ。
それは夜を迎えるまで続いていた。
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