【小説12】勘違い女神の弊害(異世界転生したオレはスキル<コピペ>で人生を謳歌する)
12 王都に到着
昼過ぎに目が覚めると「お腹空いてない?」とオリビアさん。
「大丈夫です。食べると吐きそう。」
「王都に着いたらごちそう食べさせてあげるわよ。もう少し我慢ね。」
「有り難うございます。王都は初めてで楽しみです。」
「そーんなに良い所でもないわよ。物価も高いし、悪い奴も多いわ。」
「王様ってどんな人ですか?」
イブキの事があり、気になる。エロおじさんだとNGだな。
「あー 病気みたい。第二側妃に毒を盛られて後遺症が酷いらしいわよ。」
「王太子が亡くなってから不穏だぜ、王都は。」
別の仲間ボブが会話に割って入ってきた。
「王太子継承の件で王室はドロ沼らしいぜ。第三皇子も幽閉中だ。」
「第二側妃の一人息子だものね、いずれは毒杯よ、人生終わったわね。」
王宮にイブキを連れて行って大丈夫だろうか。
イブキが決める事だが心配だ。
やがて夜も更けて一行は王都に到着した。
ガウロの馬車を届けてカインと別れると、ダニー達に宿に連れていかれ御馳走してもらった。
ダンジョンに早く戻りたかったが何か情報を得られないか耳を澄ませて座っていた。
「とうとう第二側妃の処刑が決定だ。」
誰もがその話でもちきりで、他に情報は無く皆お酒を飲んでいる。
イブキ達が気になるので俺は戻ることにした。
「皆さん有り難うございました。僕そろそろ行きますね。ごちそう様。」
「ああん どこ行くんだよ。知り合いは居るのか? 夜はグロスが出るぞ。」
「大丈夫です、また会いましょう。」
宿屋を出て俺はダンジョンにログインした。
「王都ハ いかがでしたカ。」
「う~ん 不穏らしいよ。王宮で揉めているって。」
「魔界情報ですガ グランダ国 失敗したようでス。」
「え、何が?」
「勇者召喚 失敗でバラバラ 魔界商人の情報。」
「は、バラバラ?」
「世界各地にバラバラ イブキはその一人。」
友達と一緒だったと言っていた。
「他に情報は?」
「金貨足りませン。」
「お金取るんかい!」
「情報 ログハウス購入のオマケ。」
魔界の商人たちは世界各国を人に紛れて渡り歩き 商売に励んでるそうだ。
情報網も広く内容も正確性が高いらしい。情報も商売品と言う事だ。
「次情報 仕入れますカ?」
「入ったら頼むよ。多少金貨はあるから。」
「────了解!」
ログハウスに帰宅すると「マスターーー!」とベルルが飛びついてきた。
この子はいつもテンションが高い。
クロとイブキも駆け寄ってくる。
〔お帰りなさい。無事王都に着いたの?〕
イブキには話すべきだよな。
〔うんうん。王宮はちょっと揉めてるみたいなんだ。行くのは不安だな。〕
〔そうなの? じゃぁ 揉めごとが納まったら行ける?〕
〔あのね、召喚したのは王家で、失敗しちゃって、君の友達はここでバラバラになってるんだ。〕
〔そんな、サラやユカ達も来てるのかな 大丈夫なの会える?〕
〔分からない。まだ情報が入ってこないんだ。〕
言わない方が良かったか?
〔もしかしたら王宮に保護されてるかも。私行ってみたい。皆に会いたい。〕
〔待って、先に僕が調べてくるよ。危険が無ければ行くといいよ。〕
俺はまずコアに王宮内の情報を買い取るように指示した。
「時間かかりまス お待ちくださィ。」
翌日、俺は王都に買い物に出た。
イブキが美術部だと聞いて道具屋に。
絵を描く道具を一式買って、次は裁縫道具屋へ。
ベルル達が俺たちの服を作るそうだ。
(イブキはずっとジャージだったな)
そして今、俺はガウロの店の前で拾った荷物を返そうか迷っていた。
コアは売ってしまえと言ってたが・・・
大きな店で繁盛しており、中を覗くとガウロそっくりな男がいた。
躊躇していると黒服の男が近づいて「邪魔だ、失せろ!」と怒鳴った。
ガウロ似の男は手で シッ シッ と俺を追い払っている。
ガウロの荷物は頂くことにした。罰は当たらないよな。
こんなことで俺の中のシェルは納得しないだろうけど。
商店街を過ぎると大広間に出た。そこには神殿があって参拝する人が出入りしている。
(神官のスキルを<コピペ>出来ないだろうか。)階段を上って俺は中に入っていった。
フードを深くかぶってシェルに戻る。コピーしながら歩いていると、見つけた。
特殊スキル<祝福>を持つ神官を<コピペ>してログインした。
イブキに祝福を与えた結果。
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イブキ オカダ アーティスト 女
職業レベル 1
属性 基本 彩色
特性スキル *カラーマジック
シークレットスキル <xxx>
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アーティスト・属性 彩色って面白い。
〔ねぇ、私のシークレットスキルはね。〕
〔言わないで。秘密だから言っちゃダメ。〕
〔だってシェル君の秘密ってこのダンジョンでしょう?〕
〔話題にしなくていいから。〕
〔不公平だよ。<予感>だって。〕
〔あ~言った。他の人には絶対言わないでよ。〕
シークレットスキルは世界共通「絶対秘密」という暗黙のルールがある。
無理に聞き出そうとするとグランダ国では鞭打ち100回と法で決まってる。
俺のように自然とバレたら仕方ないが、話題にするのもタブーと教えられて子どもは育つ。
〔そっかぁ~。誰にも言わないよ。〕
「ねねイブキぃ~、まだ日本語じゃないとダメなのぉ?」
「あ、ベルルの言葉わかる~ やった~。」
ついでにトイレ事情も解決だね。
異世界召喚と転生では受ける女神の加護が違うのだろうか。
イブキは祝福で言語が理解できて、チュートリアルなんて無かったと言った。
なぜ俺にはチュートリアルがあったんだろうな。
7歳でシェルとして祝福受けてるのに。
俺の転生には何か謎がある。