【小説28】勘違い女神の弊害(異世界転生したオレはスキル<コピペ>で人生を謳歌する)
28 峡谷ダンジョン
ダンジョンの花畑の中に神木の種を埋めると「光が少ない。」とユカが言い出した。
「ここって太陽が無いのよ。作物は育ってるけど、陽の光が欲しいわ。」
確かにここの光は電気の光って感じだな。
コアから種を埋める許可は下りたが、山も空も幻影なのだ、太陽は無理だろう。
「陽の光 誘致可能。」
「本当に~?」
「光 ダンジョンに招き寄せるだケ 簡単。」
「やった! コア様~至急お願いします。」
どんな原理か解らないが、無料で出来るならありがたい。
この日からユカはせっせと種をお世話した。
***
ダニー達がダンジョンに向かう日が来た。城から森人の村まで一瞬。
丘陵ダンジョンと峡谷ダンジョン。どちらも村から2日かかる。
神木の傍を通り抜けて 道は二手に分かれた。
分岐点で野宿。<ストレージ>を持ってるPTは大きな荷物を取り出してテントを張っていく。
俺は今回、ダニーのPTの荷物持ちとして参加している。
テントや食料を次々出していくと
「収納持ちがいるとホント助かるわね~。」とオリビアさん。
「ニトには俺が無理言って頼んだんだ、世話かけんじゃねーぞ。」
無理言ったのは俺なのに、ダニーはやはりいいヤツだ。
俺が注視しているPTは2つ。
ジューク達の【勇者PT】とサラ達の【戦乙女PT】だ。サラ達はAクラスPTになっていた。
今回は師匠のテスランの紹介で参加、実力試しという訳だ。
壮行会のこともあり、互いに距離を置いている。仲間同士なのに残念だ。
勇者PTには騎士が3人も付いていた。
テントで一晩過ごし俺達は峡谷ダンジョンに早朝から向かった。
足場も悪く、到着は夕暮れだった。深い谷の中にある峡谷ダンジョン前で野宿だ。
ダンジョンで寿命を奪われるとコアから聞いてるので
渓谷ダンジョンに潜るのはいい気がしない。
翌朝、次々とダンジョンに入っていくPTの面々。下に下にと降りていくダンジョンだ。
目的は魔物の間引き。宝箱、ボス討伐は早い者勝ちだ。
俺の仕事は入口まで。中は子どもには危険すぎるからテントを張って留守番。
テントの周りに聖水を撒いて魔物避けを済ませておく。
透明化して勇者PTについて行く。勇者PTはダニー達の後に続く形でダニー達が魔物を倒していくから安全だ。
ダニーが後ろを振り向いて「お前らもやってみろ。アレなら倒せるぞ。」と言った。
現れたのはB級のジャンボオーク。デカいだけで斧を振り回すだけの脳筋だ。勇者PTは難なく倒した。
それで肩の力が抜けたらしく勇者PTも積極的に戦闘に参加しだした。リクも大丈夫そうだ。
騎士達も見守っている。問題無いと思っていた。
順調だったのは最初だけだった。 魔物は飽和状態寸前でいくら倒してもキリがない。
「魔物溜まりだ!次々湧くゾ。」誰かが叫んだ。Aクラスの魔物が次々襲ってくる。
サラたちが拳銃で撃ち倒しているのも見え、触発された勇者PTも前にでて応戦する。
冒険者達の愚痴も聞こえてくる。
「こりゃ、一日じゃ終わらねぇ。最底は10階、まだ3階だ。なんで騎士団をださねーんだ。」
「出せねぇんだよ。 Sクラスにドラゴン退治で金貨を毟られたからな。」
「チツ 軍行費も馬鹿にならんから、俺らが安く請け負う訳よ。」
「よっしゃぁ 次4階行くぜ。」全員4階に下りて我先にと進んでいく。
宝箱は早い者勝ちだ、罠を避けながらベテラン達は魔物を倒しドロップや魔石を押収しながら進む。この階はアンデッドが出没。ゾンビやワイトなどが続々と現れる。
俺はジューク達にピタリとくっ付いていた。
騎士たちの援護もあり元々チート能力を授かっている彼等だ、ジュークは聖剣を装備している、問題なさそうなので俺も油断した。
「デュラハーンだ!」誰かが叫ぶ。その姿を見たものは目を鞭で潰される。
前方でオリビアさんが酷いけがを負ったのが見え、俺はエリクサー爆弾を投げて回復させた。
ジューク達は後方にいて、強敵デュラハーンはダニー達に倒され、安堵した瞬間後方がピカッと光った。
「なんだ?」「マヌケが罠を踏んだだろうよ。」皆気にも留めず進んでいく。
(ジューク達がいない。)見回すと罠があったところは壊されていた。
(ちくしょう、なんで目を外したんだ俺は。)
レーダーで出口に向かう3人を発見。俺は神速を使って追いかけた。
逃げているのは騎士3人だ。<猛毒>を与えると3人は転がって苦しみだした。
「勇者達はどこだ。言わないと数秒で死ぬぞ!」
「あがががが、10 か い た たすけ て」
「め め い れい され て」
「ぐぅ、クズどもめ!」頭にきて騎士たちを殺してやりたいが、踏み止まって解毒してやり、再び神速をかけ俺は10階に向かった。
ダニー達を追い越し溢れる魔物達を無視してレーダーを張り巡らせて走り続けた。
漸く10階に到達し、レーダーを張る。4人はまだ生きている。
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