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【小説6】勘違い女神の弊害(異世界転生したオレはスキル<コピペ>で人生を謳歌する)

6  街に出かけるぜ


 俺のダンジョンだと?

降り立った先は、直径10m程度の真っ白な大理石の床が輝くサークルでその周りには一面の芝生が広がっている。
空は太陽も雲もない青空、川が流れ、周囲は森に囲まれて暑くも寒くもない。

なんなんだここは、最高だ。

『見た目より狭いでス 遠くの芝生や森は幻影でス。』
「そっか。魔物はいないの? スライムとか。」
『冒険者来ない 必要ありませン。』

「俺の頭の上に王様がいるんだが。」
『ソレはマスターを頼りに寄生する気でス。下僕推奨。』

「俺に寄生? はぁ、王様もニートなのか。」
『ソレに名前を与えてくださイ。』

前マスターをソレ扱い、核さんはずっと腹に据えかねていたようだ。
名前ねぇ…

「黒いから”クロ”かな。宜しく王様。」クロは頭の上でポンポン跳ねた。
「核さんは”コア”って呼ぶよ。宜しく。」

『了解。”クロ”は眷属となりましタ。新たなマスターに期待しまス。』
「期待されてもなぁ。まぁ(逃げる)時間はたっぷりある。」

『サークル内ハ 時間停止マスタールーム。 長時間滞在時 ご注意。』
「ああ、長くいると体内時計が狂うのか。」

芝生に出て寝転がってみる「気持ちいい。もうここに住んでもいいな。」
サークルはマジックカーテンに遮られ外から中は見えない。

「コアお前さ、力が衰退したのに こんなダンジョン良く作れたな。」
『ダンジョン規模 縮小。』
 
「────そっか・・・・・zzz」
大の字になると、俺はそのまま寝てしまった。

          *

目が覚めると空は赤くなって、俺の腹はぐぅぅぅと飯を求めている。

「俺、1回戻るわ。 腹減って死にそう。コア、ここに戻るにはどうするんだ?」
「呪文 決めル。」
俺がマスターになったのでコアと会話が可能になっている。

「ん、じゃ<ログイン>で頼むわ。」
「マスター どこに戻ル?」  
「屋敷のシェルの部屋だよ。」

「了解! 行ってらっしゃイ!」
一瞬でシェルの部屋に戻ってきた。
そう、シェルの部屋だ、俺のじゃない、まだ俺はシェルになり切れない。

まぁいい、厄介なことに巻き込まれたけど、異空間保留ダンジョンは素晴らしい。
外は夕暮れ、ダンジョンの空は現実の空を映していたのか、いろいろ凄い。

感動ばかりしていられない、この世界にダンジョンを作れと言われた。
大人になるまで残り約10年。でも対策は考えてあるぜ。

さっきからこの部屋で跳ね回っているスライムの王様、”クロ” 

「王様にダンジョンマスターの座を返せば問題解決だ。
クロが強力なスライム王になれば”コア”だって認めるだろう。」

本棚にコピーした本がまだ消えずに残っていた。
コピーした物がいつ消えるのか観察する必要がある。
他にスキルに関する本、机の中の文具品等ポシェットに放り込んだ。

そのあと俺は<透明化>して屋敷内をウロウロした。
いい匂いが漂う方向に歩いていくと調理場に着き、チネットが賄い飯を食べているのを見つけた。

メイド同士がこんなやり取りをしている。

「チネット、食事の用意はいいの?」「執事が不要だと。」「どうして?」   
「さぁ。」

「ちょっと、ここだけの話だけど、シェル坊ちゃん、居なくなったらしいよ。」
「他所に行かされたのかしら。相当虐められてたからね。」

「まさか、捨てられたりして。」「ええ、まさか~ チネットどうなの?」   
「さぁ。」

相変わらず愛想のないメイドだ。
俺は屋敷には居ないことになってるのか。てか、始末されたんだよ。
隙をみてバスケットの中のパンを1つ取った。

ダンジョンに戻りパンをコピーしてクロと食べる。
こんな食事事情では栄養失調が悪化する。

夜にもう1度調理場に行ってパン 食材やお菓子の入った箱
食器や調理道具もポシェットへ放り込んだ。

       ***

朝目覚めて朝食の用意を・・と思ったが、属性ニートは働きたくない。

「街で食べ物買ってくるわ。」 
「マスターの記憶ニ 街は無シ 移動不可。」
「はぁ? めんどくせ。」
俺は仕方なく コピーパンにハムを挟んで食べた。

「なぁ、日本にいけるか?」
「地名無シ 不可。」
「だと思ったぜ。」

「街に行きたい。でも金がないんだよな。」
「魔界取引 希望?」

「取引って、食器しかないぞ。それでもOK?」俺は盗んだ食器を並べる。

「マスター 取引OK。」「────おう、頼む。」

食器は消えて、数分後チャリーンと金、銀、銅貨が数枚バラまかれた。

「よし! 出かけるぜ。」

屋敷のエントランスに出て<透明化>し、門を出て街らしき方向に向かった。
ワイルナーの城ともいえる豪邸、そこから扇状に街が広がっていた。

街には郵貯やギルド、役所もあった。噴水のある中央広場で出店が出ており俺は串焼きと肉まんを買ってベンチでコピーし、満腹になるまで食べた。

どうも銅貨は100円で 銀貨は1000円 大銀貨1万円 金貨10万円 みたいだ。
売った食器は金貨が3枚混ざってた、高価な食器だったんだな。

クロに、美味しそうなお土産をいろいろ買って俺はベンチに再び座り込んだ。
虚弱な体だ、足がだるい。

街の探索は今度にしようと立ち上がった俺の目に馬車が通るのが映った。
中途半端な世界だ。公共施設はある、車、水洗トイレ、ペーパーはない。

俺は生前ニートで勉強嫌いの無学だから、この異世界をどうにかなんて出来ない。
ただ今世を楽しく過ごせれば満足だ。



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