【小説29】勘違い女神の弊害(異世界転生したオレはスキル<コピペ>で人生を謳歌する)
29 ジューク達の生還
幸いなことにジューク達は近くで見つけることが出来た。
彼らはリザードキングに囲まれており、聖剣を持ったジュークと回復役のセイヤが負傷しながらも持ちこたえ、リクとユウマは酷い怪我で倒れている。
リザードキングは3メートルもある特Aクラスの二足歩行型大トカゲだ。
鋭い爪で肉を裂き 大きな尻尾で打付け、上位水魔法まで使用する。
だが俺にすればデカい標的に過ぎない。当たりさえすれば倒せる。ポンポンとエリクサー爆弾を投げて、あっという間に全部片付けると
「あ、あ、あ、どうしよう。」セイヤの泣き声がダンジョンに響いた。
セイヤがヒールで回復しているが、リクとユウマは瀕死の重傷。
ジュークとセイヤも防具を壊され傷だらけで……目を覆う惨状だ。
「もう大丈夫だから、よく頑張ったな。」4人をエリクサー爆弾で回復。
ジューク 「治ってる。君は一体・・」
「なんでこんな目に? 俺、全然守れなかった。」そう言ってまたセイヤは泣き出す。
「君たちを保護したい。イブキ達が待ってる、どうする? 逃げる事になるけど。」
「イブキ?オカダの事? 行きたい。ここじゃない場所に行きたい!お願いします!」セイヤが縋るように俺に懇願する。
「とりあえず行こうか。またリザードキングが集まりそうだ。」
「「はい、お願いします。」」セイヤとジュークは俺に頭を下げた。
間に合って良かった。リザードキングの死体を収納して俺はジューク達とログインした。
「ここは・・・」ジュークとセイヤは唖然としている。
どこに連れて行かれるか不安だったのだろう、二人は顔を見合わせてホッとしたように息を吐いた。
「2人を起こそう。話はそれからだ。」
ユウマとリクを揺り起こすと「ここは天国なの?」とリクが焦点の定まらない目で俺を見た。
「安心して。ここは僕のダンジョンだよ。」
峡谷ダンジョンで何が起こったのか。俺の説明を4人は肩を落として黙って聞いていた。
ジューク 「僕達を殺そうとしていたのか。」
ユウマ 「邪魔だったんだな。もう俺達は必要ないんだ。」
リク 「僕達 ここに置いてもらえるの? 追い出さないで、お願いします!」
セイヤ 「ここに オカダ達がいるって本当なのか? 会えるのか?」
「うん。会えるけど、ここに滞在するには条件があるんだ。」
4人は絶対服従に難色を示したが、自身の命が狙われ王都には戻れないからと、眷属になることを了承した。
ポシェットからお決まりの眷属ジュースを出す。
「眷属の証、飲んでね。」と差し出すと4人は目を瞑って一気に飲んだ。
「さてコア、エリクサー代を徴収してこようか。豪邸は大白金貨何枚だっけ?」
「城20枚 豪邸7枚。」
「君たちはあそこのログハウスでイブキ達に会うといいよ。」俺は指示した。
頷いて走っていく彼らの背を見つめ、改めて4人を救えた喜びを噛み締めた。
同時に沸々と怒りがこみ上げてくる。第一王女達は許せない。ジューク達がなぜあのような目に合わなければならないのか。俺と出会えていなければイブキはどうなっていた? ユカとトモはどうなっていたんだ。テオとミラは?
だからと言って俺はどうすればいいのだろう。俺に裁く権利はない。あるのは従僕たちだ。
もしも彼らが望めば俺は殺れるかもしれない。すでに俺は穢れている。
「コア 王宮に頼む。」
「了解!」
城の地図は頭に入ってる。宝物庫に直行し見張りを眠らせて開錠。
コピーとはいえブラックドラゴン討伐から大量に回復薬使ったからな。
勝手にやったことだが代金を徴収させていただこう。
俺は入口で<ストレージ>するだけでいい。
金貨、高級そうな武器防具、宝石類も全部、ガウロの亜空間収納庫の中に吸い込まれていった。
大白金貨や国宝級はどうせ貸金庫に預けてあるんだろう。そこまで忍び込む勇気は無い。
第一王女は学園でここにはいない。
「王女め命拾いしたな」そう言って俺はログインした。
「マスター おかえりなさィ」 「ただいま。これ、全部売れるかな?」盗んだお宝を全部芝生に出した。
「お待ちくださイ。・・・・・宝石 武器防具 大白金貨5枚。」
「金貨もあるから7億あるだろう。もう大盗賊だね。 いつか俺は賞金首になるんだ。あはは・・」
「豪邸 購入?」
「いや、ホテルがいいな。ログハウスの隣に建てて。」
「・・・・・・・・ホテル・・・大白金貨7枚 建設可能。」
「OK。ログハウスは残してくれ。後は可能なら8体のゴーレムも召喚。」
「了解!」
「あとは・・全員ホテルに移動させて、ベルルに任せておくか・・・」
コアに指示を出した俺はダニー達の所に戻った。
峡谷ダンジョン7階まで冒険者達は進んでいた。
<透明化>している俺はそっと ダニーに耳打ちする「勇者達は保護したよ。」
「そか、先に言えよな、3階を探し回ったんだぜ。 て、ニト、どこだ?」
「ごめん、後で説明するよ。」「あいつらは逃げ帰ったと思われてるぜ。」
「うん。それでいい。」「全く不思議な坊主だな。」
「僕は先に10階を片付けておく。」
「ええ、おい! 無茶すんな!」
「ダニーさっきから 何ぶつぶつ言ってんの? 一旦休憩する?」と、オリビア。
「うっせぇ! 10階まで急ぐぞ!」
俺は10階のリザードキング地帯まで戻ってエリクサー爆弾で片っ端から敵を片付けた。
ここのガーディアンはどこだろう。通称ラスボス。
<レーダー>を張ると一際大きな力を感知。
(あれ、動いてる? ボス部屋で待ってるタイプじゃないのか?)
それはまっすぐ俺の所に向かっていた。
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