【毎週ショートショートnote】 親切な暗殺

本日、深夜にあなたを殺します。
私はスナイパーです。
窓ぎわには、ご注意を。

「ふざけるな…」

私は、組織の連絡係に手渡された予告状をにぎりつぶした。

体勢が変化しつづけるうちの組織では、ふざけた暗殺の予告状を送りつけることが、慣例となりつつあった。

今のボスは、相当に狂っており、馬鹿だ。

ゆえに、私は蜂起を起こそうと、計画していたのだが…どこから漏れた?

こうなっては、仕方がない。ひとまず、隠れ家の一つで対策を練ろう。

深夜までの安全は保証されていると考えて…。仲間に召集をかけよう。




おかしい。

だれも来ない。

なにかが、おかしい。

「こんばんは」
「だれだ!」

背の低い男がいた。

「予告したスナイパーです」
「どうやって、ここに!」
「あなたの仲間を全員殺す過程で、この隠れ家を見つけました」
「くそっ!」

うかつだった。
窓ぎわにいようが、いまいが、仲間を全員殺せば、私一人になるわけだ!

「さようなら」

聞き慣れた銃声が、こんなにも恐ろしかったとは。