【毎週ショートショートnote】金持ち教習所
自動車の運転免許書をとりに行きませんこと?
と言われたので、わたしは、あいかわらず、ほいほいと高嶺さんと、教習所へ行きました。
「運転はするのではなく、させる。それでも、最低限はできるように、お勉強しましょう。返事は?」
「承知いたしました!」
なんだこれは。
わたしは隣にいた高嶺さんに、小声で話しかける。
「高嶺さん。ここって、教習所だよね」
「そうでしてよ。ただ、ここはお金持ちしか来ないところですから、緊急時の運転を学ぶのですわ」
緊急時の運転。
「えー、まず。運転手が狙撃され、後部座席に座っているパターンから学習します」
そんなシーンがあってたまるか!
「まず、狙撃された場合。とにかく片側にハンドルを切って、どこでもいいので、壁にぶつける必要があります。エアバッグを出させるためですね。後部座席から、ハンドル操作をするのは非常に難しいですが、できなくはありません。その方法から…」
なあにこれ。わたしのしらないせかいのことだなあ。