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老後の為のお金

昨年、iDeCoの法改正が話題となりました。
老後の生活資金と言えば、公的年金や退職金を始め、iDeCoも計算に入れていた方は多いのではないでしょうか?
私もiDeCoに加入していますが、一体何が起こったのでしょうか?制度も複雑で情報量も多いのでまとめてみました。 

12月からの変更点

1.事業主証明書の廃止
2.拠出限度額の変更
3.掛金を拠出できなくなった場合の脱退一時金の
 受給


1.事業主証明書の廃止
今まではiDeCoを始める際、勤め先で加入手続きの書類を作成していただく必要がありました。
それが廃止になり申し込みが簡素化されました。


2.拠出限度額の変更  
今回変更になった対象者は、会社に企業型の拠出年金があり、且つ自身でiDeCoに加入している方となります。

厚生労働省ホームページより

上記のように、今までは企業型の拠出年金に加入していた場合は、iDeCoの掛け金の上限は12,000円でした。
それが最大20,000円までに変更になりました。
但し!企業型DCやDBは今まで限度額が27,500円と言う縛りがありましたが、その縛りがなくなり、iDeCoを含めた合計額が55,000円となりました。
その為、もし企業型DCやDB等の掛け金の合計が35,000円以上になった場合には、iDeCoの掛け金は20,000円以下になってしまう場合があります。

企業型DCとは
自動加入と選択型があり、企業が掛金を毎月積み立てをし、従業員が金融商品の選択や資産配分をし運用を行う制度です。
原則60歳まで引き出すことは出来ず、受け取りは60歳以降一時金、もしくは年金形式での受け取りになります。
掛金は企業が負担してくれますが、運用成績によっては将来受け取れる退職金・年金額が変動します。

企業型DBとは
従業員が受け取る給付額があらかじめ確定されている企業年金制度です。会社が拠出から運用、管理、給付までの責任を負う制度であり、運用結果が悪い場合には、企業が不足分を穴埋めしてくれます。
給付額があらかじめ確定している為、老後の生活設計は立てやすくなります。


3.掛金を拠出できなくなった場合の脱退一時金の
 受給
2の事から、もし企業型DCやDBの掛け金が多く、
iDeCoの掛け金5,000円(最低額)をした回った場合には、拠出出来なくなるケースも出てきます。
その場合、資産額が一定額(25万円)以下である等、受給要件を満たした場合には脱退一時金を受けとることができます。


5年ルールと19年ルール

今回改悪だ!と言われているのが、この5年ルールです。
iDeCoの受け取り方法には、一時金として一括で受け取る方法と年金方式、一時金+年金方式の3パターンがあります。
一時金として一括で受け取る場合には退職所得となる為、退職所得控除が適用されます。この退職所得控除をフル活用するには、先にiDeCoを一時金で受け取り、次に退職金を受け取るまでの期間を5年以上あけなければなりません。
従って今までは60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で退職金を受け取る事で最大限に税制優遇を受ける事が出来ました。

それが今回の法改正で5年→10年へと変更になった事で、60歳でiDeCoを受け取った後、70歳以上にならないと退職所得控除をフル活用出来なくなってしまったのです。
労働者不足や高齢者の雇用は増えていますが、70歳で定年退職される方はまだ少ないです。その為
65歳で退職金を受け取り、老後の生活をシュミレーションしていた方に取っては、税負担が増える分、計算が狂ってしまいます。  

また、受け取り方を逆にして退職金を先に受け取り、iDeCoを後に受け取る場合には19年間あけないと退職所得控除を満額活用出来ません。この場合、iDeCoの受け取り期間は75歳までなので、55歳で退職金を受け取らないといけない計算になります。

退職所得控除とは
退職金に対して税金がかからないよう一定の金額を差し引いてくれる制度です。

退職所得控除は勤続年数20年を境に控除額が異なります。また、勤続年数は転職した場合累計されず、退職金を受け取る会社での勤続年数になります。
       退職所得控除計算式

国税庁ホームページより

上記の計算式で退職所得控除額を計算し、下記の計算式に当てはめ、退職所得額を算出します。

  (退職金 - 退職所得控除額)× 1 / 2 

算出された退職所得額に税率を掛けて、税額を算出します。
退職所得控除は勤続年数が長い方程、控除額が多くなり、手取り額が多くなります。しかし、今回の法改正でこの控除をフル活用するにはiDeCoの受け取りから10年となった為、改悪と言う声が上がっているのです。


今後どうしたらいいの?

ルールが変わってしまった以上、iDeCoを60歳で受け取った場合、70歳まで働き続ける。
税金を支払う事になるが70歳になる前に受け取る。又は年金方式で受け取る。これらのパターンが考えられるのではないでしょうか?
退職金が多額になる方にとっては腑に落ちない話しですが、政府は70歳までの雇用を努力義務としています。これは、人手不足をカバーすると共に厚生年金の加入期間を延ばす事で、財源確保にも繋がる意図があるようにも思えます。
また、iDeCoは老後の生活を支える年金が目的の制度です。それを退職金と同様に一括で受け取る事に疑問視されていると言う話しもあります。

改悪だ!と言われている反面、拠出額の限度額引き上げ案も出ています。
自営業者の方は68,000円→75,000円
会社員は
企業型年金なしの方23,000円→62,000円
企業型年金ありの方上限20,000円→企業型年金と合わせて62,000円
公務員の方は20,000円→退職等年金と合わせて62,000円
拠出出来る年齢65歳→70歳

iDeCoは現時点では掛け金全額が所得控除になる為、拠出額の上限が上がる事はメリットとなります。
また、仮に70歳まで働き続け、年金を70歳から受け取る場合、65歳から受給開始するよりも年金額は42%増額されます。

    【終身年金をいかに作れるか!】

老後の生活を支える資金作りは重要です。
①iDeCoや退職金、貯蓄を切り崩しながら生活
②年金やiDeCoに+労働収入
③運用商品等を切り崩しながら生活
上記3点以外にも方法はあるかと思いますが、老後の生活費は病気等の事も考え、予想を上回る可能性もあります。
蓄えたお金を少しずつ切り崩していくより、使ってもお金が少しずつでも入ってくる環境があった方が安心です。
そう言った意味ではiDeCoより新NISAの方が使い勝手は良いかもしれません。iDeCoと違い引き出すのに年齢制限はなく、運用期間は無期限です。
また、運用期間中はもちろん、引き出す際にも税金はかかる事はありません。その為、運用しながら必要な分だけ引き出す生活を、生涯に渡って行っていく事が可能になります。


最後に

老後の資金作りには様々な選択肢がありますので、それぞれの制度をよく理解し、将来の為の資金計画を早いうちから立てといた方が時間を味方につける事が出来ます。
今回のiDeCo改正から、年金の受給開始年齢を70歳からにし、半強制的に70歳まで働かざるを得ない状況が来るかもしれません。
その方が政府にとっては、年金の財源確保や少子化問題、人手不足に医療費問題と解決出来る事が多くなってきます。
物価が高騰する中、今を生き抜いていくのも大変なのに、将来の為の資産形成まで考えていくのは困難です。
日本の経済は中々厳しい状況ではありますが、今を大切にしつつ、出来る事を少しずつ積み上げて
いくしかないのだと感じております。
そして今年一年、良い年だったと思える時間を作り上げていけるかがポイントになるのではないでしょうか。
今回の記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
国民全体がゆとりある生活を迎えられる事を願っております。

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