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【MTG レガシー】「アーボーグ型ドゥームズデイ」取り扱い説明 ~サイドボーディングのススメ~

1.近ごろはずっと、Doomsday.wikiのサイドボーディング、マッチアップガイドを読み込んでいました。どういう新年の過ごし方なんだい。
この「アーボーグ型ドゥームズデイ」も、曲がりなりにもコンボデッキ。思考も技巧も放棄し、雄叫びとともに《最後の審判》を振り回せば、たまたま鈍器が命中して、勝利。こういうケースはよくあります。メイン戦では特に。あと、本当に類人猿・スピリットになって奇声をあげすぎれば、ショップ出禁な。

《Simian Spirit Guild》略称はSSG
または簡単に《ゴリラ》
元ネタの《エルフの指導霊》はESG

思考に囚われて足を鈍らせるより、時には蛮勇のほうが有効なのもコンボデッキ。デッキのほうから「勝て」と命じてくるような手札が来て、ほぼ自動的に相手を屠ることもしばしばです。
しかし、いつもデッキに勝たせてもらうわけにはいかないのも現実。このゲームは基本的に、3戦のうち2戦を先に取ったほうが勝ち。当たり前ですが、メイン戦のあと、サイドチェンジ後の状態で戦うほうが多いのですから。

コンボデッキはメイン戦で有利とされます。はじめから盤面の枚数で争わないので、対戦相手が用意したクリーチャー除去などは無力化され、複数回の攻撃によって20点のライフを削られるより、それぞれのデッキに設定された勝利条件を満たすほうが速いはず。
“アンフェア”。そのとおりです。メイン戦のコンボデッキは“フェア”なデッキと一線を画した強さを誇るのが、ごく普通のこと。

ごく《普通の ポニー》

しかし、その強みはサイドチェンジ後、弱みに変わります。ライブラリーのどこを切り取っても同じ強さを発揮できるフェアデッキと異なり、対策カードを急所に刺されると、たった1枚で機能停止させられる脆さも。わかりやすいのが、墓地利用デッキにこれです。

要するに、開幕即死

アンフェア側も逆に完封されないため、対策カード対策を用意したり、勝つためのゴールポストをずらしたりと必死です。時に相性の差をひっくり返し、推理と駆け引きの要素を加え、マジック・ザ・ギャザリングの対戦に深みと奥行きを与えてくれるのが、サイドボーディング。
楽しい。そして……難しい。毛が生えただけの初心者のくせに蛮族のノリと知性で記事を作る僕でも、気軽に書くのを躊躇うほどです。

全ての蛮勇を応援するゾ

この「アーボーグ型ドゥームズデイ」は、初心者や復帰勢にも揃えやすくて扱いやすい「“易しい”Doomsday」を目指して作られています。レガシー環境を代表する怪物たちとエンゲージする前に、大まかな方向だけでも示しておかなければ、不親切でしょう。自分の予習のためにも、避けては通れない標石と思うことにして、サイドボーディングの方針を書くことにします。
デッキに勝たせてもらうだけでなく、乗り手が自ら勝ちを手繰り寄せるために。この道はいずれ、1度は通らなくてはならないようです。

今のデッキリストは、こう。再録禁止カードを使わない「アーボーグ型ドゥームズデイ」です。

特に難しいのは、サイドボードが水物だということです。日々、刻々と変わっていく生き物を写生するようなもので、文章にした時点で遅れています。Doomsday. wikiでさえ更新が間に合っていないのですから。
それでも、今の時点での例を示しておけば、誰かが叩き台にしてくれると信じます。
まずは、「アーボーグ型」におけるサイドボード内でのカードごとの役割と枚数。
次に、大まかな仮想敵のタイプごとに、現在の代表的なデッキを紹介。その簡単な特徴と、メインボードとサイドボードでの要警戒カード。目指すべき試合展開、そのために必要なカードと不要なカード、というふうに進めていくつもりです。
自分自身の経験不足もあり、いつにも増して、Doomsday.wikiの知見を借りている部分が多いです。深く感謝を。的外れ、誤謬、見逃し、思考の偏り、浅い知識を、今のうちに謝っておきます。

もう、カエルになりましたから……

2.始めます。現在「アーボーグ型」がサイドボードに装備しているカードは、以下の8種類15枚。
《黙示録、シェオルドレッド》2枚 《敵対工作員》1枚 《緻密》2枚
《否定の力》4枚 《致命的な一押し》1枚 《残響する真実》1枚 《強迫》2枚 《憂鬱》2枚

サイドボードに必要なカードはDoomsday. wikiの分類に従えば、このように分けられます。
①対パーマネント ②対クリーチャー
③対青 ④対コンボ  ⑤対墓地
⑥マナサポート ⑦追加の勝ち筋

たとえば《黙示録、シェオルドレッド》なら、⑦追加の勝ち筋に分類されますね。サイドボードのほとんどのカードはこの内、いくつかの役割を兼ねており、順に紹介します。

①対パーマネント

《否定の力》4枚、《残響する真実》1枚、計5枚(通常は4~6枚)
「Doomsday」はコンボルートの多彩さもあり、スペル中心のコンボデッキの中では、1つのヘイトパーマネントに完封される恐れが少ないです。それでも鬼札というべきカードはいくつも存在し、即死というほどではなくても、大きく減速を強いられることも。《虚空の杯》《耳の痛い静寂》《相殺》《三なる宝球》《倦怠の宝珠》《覆いを割く者、ナーセット》……。

ふつくしい……

こういったカードに対処する枠が必要で、サイドボードに4枚装備されている《否定の力》は、この役目と④の対コンボを兼ねています。
打ち消し呪文が対パーマネント枠というのは一見奇妙ですが、こちらにとって深く突き刺さるヘイトパーマネントは、相手にとっては最重要のキープ基準。それによる初撃を弾くことができれば、大きく有利。返しにこちらがコンボを決めて勝つ、という攻撃性の強いサイドボーディングです。

もちろん打ち漏らしも生じるので、さらに1枚か2枚、戦場に出たあとのパーマネントを除去する手段を補助的に装備することが多いです。今回のリストだと《残響する真実》。

「アーボーグ型」は基本土地をマナ基盤にしているぶん、純正青黒で、ほかの色を足すことができません。この枠には青のバウンス呪文を用いることになります。1ターンの隙をこじ開ければ勝てるコンボデッキ向き。
《残響する真実》は《虚空の杯》X=1が効かない2マナで、対象と同名のパーマネント全てを戻せる万能タイプ。1枚を採用。この枠は《蒸気の連鎖》《ハーキルの召還術》《厚かましい借り手》なども候補になります。

1マナの《蒸気の連鎖》がもっとも強い反面、《虚空の杯》に引っかかりやすく、こちらもサイドチェンジ後にクリーチャーやヘイトパーマネントを置く構成だと逆用が怖くて使えません。
個人的に気になっているのは、これ。

探査を持つ《漂流》は額面上で6マナ扱いなので、《虚空の杯》《三なる宝球》《相殺》《スレイベンの守護者、サリア》(墓地のカードは1枚余計に必要)などを無視できます。青い《虹色の終焉》にならないかな~、などと考えているのですが……序盤ほど撃ちにくいのが難点かな。《最後の審判》後は墓地が一掃されるせいで撃てないし。いろいろと惜しいカードです。

②対クリーチャー

《緻密》2枚、《致命的な一押し》1枚、計3枚 (通常は0から2枚)
今回のリストでは《緻密》と《致命的な一押し》がこの枠のカードです。環境次第ではバウンスなどのパーマネント除去に役割を兼用させますが、今は必要だろうと判断しました。《緻密》はクリーチャー・呪文をライブラリーに戻すことで、戦場に出たときの効果を発生させずに対処できるカード。流行の「イニシアチブ」に対抗するため、採用され始めたカードです。

クリーチャー・呪文を打ち消すわけではないので《魂の洞窟》を無視できると気づいたときは、目から鱗。まずは2枚を採用。
さらに打ち漏らしたクリーチャーの掃除と、後腐れなく処理したいときのために《致命的な一押し》も1枚採用。「フェッチランド」や《水蓮の花びら》を利用して「紛争」さえ達成すれば、仮想敵のヘイトクリーチャー群はほぼ狙撃できます。

黒の標準除去 癖がなく、使いやすいです

この枠には速度と《虚空の杯》への耐性を重視してピッチスペルの《殺し》が使われることも。「イニシアチブ」相手にはこちらのほうが有効。黒いクリーチャーに効かなくても問題なければ……。うちのデッキではどうしても除去したい黒クリーチャーがいるので、今回は不採用。後述します。

彼女に効かない 残念!

環境に応じて、対クリーチャーには《虐殺》などの全体除去を採用することも。
この枠に《緻密》4枚を採用したリストも現れていて、今の環境がよほど業腹だったんだな~、と。サイドボードのクリーチャー対策は0から2枚が普通で、4枚以上の枠をとる必要があるのはなかなかの異常事態です。

③対青

《強迫》2枚 (通常は2~4枚)
「アーボーグ型ドゥームズデイ」もコンボデッキである以上、対戦相手の打ち消し呪文に注意を払う必要があります。《意志の力》は敵に回すと、やはり脅威。

強い……

スペル戦の攻防を有利にするために、追加の打ち消し呪文《狼狽の嵐》《呪文貫き》《神秘の論争》など。「URデルバー」の《意志の力》と撃ち合う想定で、追加の《否定の契約》をこの枠に取ることも。
ほかには、手札破壊の《思考囲い》《強迫》。一切の干渉を許さないために、《防御の光網》を装備しているリストも。

お互いが相手のターン
地蔵菩薩になる装置

「アーボーグ型」は主流のリストよりもメインボードの妨害カードの枠が多く、始めから《狼狽の嵐》(もしくは《呪文貫き》)を2枚装備し、対青、対コンボを強く意識した構成になっています。

対スペル最強格
そして、ライバル

「アーボーグ型」のサイドボードでは《強迫》2枚がこの枠に相当。メインボードに搭載した12枚の妨害カード群と組み合わせれば、スペル戦で不利を被ることはめったにありません。

2戦目からは対戦相手のサイドカードを探る役目も
こいつが邪魔をしてこなければな!

純正青黒の「アーボーグ型」には難しいですが、①対パーマネントと並んで色を足す恩恵が大きい枠で、たとえば白を足せば《沈黙》《時を解す者、テフェリー》、赤を足せば《赤霊破》《紅蓮破》、緑を足せば《夏の帳》を装備できます。

④対コンボ

《否定の力》4枚、《強迫》2枚、《敵対工作員》1枚、計7枚 (通常は《否定の力》以外が0から2枚)
自分と同等、または速いコンボデッキへの対策に割かれる枠です。対パーマネントの《否定の力》4枚はこの枠を兼ね、さらに追加をどれほど用意するか、というところだと思います。対青の《強迫》はこの枠も兼務。特に対コンボ専用の性格が強いカードは、1枚装備した《敵対工作員》です。

特定のカードに依存するためにサーチを多用し、マナ基盤が脆弱なことも多いコンボデッキを咎めることができるカード。相手によっては⑦追加の勝ち筋に数えられる効果を示します。特に、最後に紹介するデッキには。

⑤対墓地

0枚(通常は0~2枚)
《虚空の力線》《外科的摘出》などがこの枠に。墓地を利用するデッキには自分より速いコンボデッキが多く、④対コンボと役割を兼ねることが多いです。
いったん戦場に出せば、永続的に効果を発揮するハードタイプが《虚空の力線》《墓掘りの檻》など。

究極

墓地利用デッキ相手では⑦追加の勝ち筋と同等の威力で、「Doomsday」では《虚空の力線》1枚~2枚に枠を割くことが多いです。「4枚装備して必ず戦場に出したい、そうしないと敗れる」という防御的なカードではなく、「相手のデッキを一撃で機能不全に落とし、その間に勝つ」という攻撃的なカード。本来のコンボに加えて、キープできる初手の幅が広がり、2枚を採用しているだけで大きく有利になります。
《外科的摘出》《トーモッドの墓所》などはよりソフトな、一過性の墓地対策カード。
《トーモッドの墓所》を始めとするアーティファクト型の墓地対策カードは、採用される理由が《虚空の力線》とは全く異なります。主な対象は自分の墓地。

これはパイル進行を邪魔しない軽さが利点

これらは緑系のデッキが標準装備している《忍耐》への対策。パイル完走寸前、墓地のカードをライブラリーに戻されると《タッサの神託者》は条件不成立に。先回りして墓地を掃除するための「対策カード対策」ですね。

このデッキに対しては緑の《意志の力》
ほんま、こいつは。モダホラ2は

「アーボーグ型」では、現在《思考囲い》4枚体制でコンボ突入前に《忍耐》を手札から落としやすくなっています。その上、「エルフ」の繰り出す「打ち消せない《忍耐》」でも《緻密》なら無効化できるので、この枠は0枚。

⑥マナサポート

0枚 (通常は0から3枚)
サイドボーディング後、さらに速さを増したり安定性を確保したりしたいときに、追加の《陰謀団の儀式》や基本土地を装備する枠。緑を足している場合は③対青を兼ねて、この枠に《花の絨毯》を採用することも。

もともと基本土地でマナベースが構成されている「アーボーグ型」では装備する機会が少ない枠です。

⑦追加の勝ち筋

《黙示録、シェオルドレッド》2枚、《敵対工作員》1枚、《憂鬱》2枚、
計5枚 (構成に応じ、デッキごとに異なる)
コンボデッキは特定の対策カードによって、構造上、勝つことが不可能になる場合があります。1枚で完封されるのを防ぐために、またはサイドボーディング後に増やされる妨害を避けるために、勝つための軸をずらすカードが必要になってきます。
環境に数多いデッキへと深く突き刺さるカードを潜ませ、一撃殺を狙うことも。

追加の《タッサの神託者》、《殻船着の島》+《引き裂かれし永劫、エムラクール》などの《最後の審判》後にパイルのパターンを増やすカードもあれば、白を足して《石鍛冶の神秘家》+「装備品」や《僧院の導師》を搭載し、完全にデッキの構造を変えてクリーチャーで攻めるリストも。

「不言実行。」

2戦目以降、デッキタイプが変わるほどのサイドチェンジをする「アグレッシブ・サイドボーディング」は奇襲効果が高いですが、そのぶん、サイドボードの枠を大量に消費し、柔軟性に欠け、バランス取りが難しいです。そういうデッキ、独自性が出せてカッコいいですけどね。

「アーボーグ型ドゥームズデイ」では《黙示録、シェオルドレッド》《敵対工作員》《憂鬱》が⑦追加の勝ち筋に属します。

「待たせたな!」

《黙示録、シェオルドレッド》は現在、多くの「Doomsday」が2枚から3枚を装備しているカード。《暗黒の儀式》を用いることで早期に着地させられ、単独で勝ちを決められるパワーカード。アグロなデッキ相手に時間を稼ぐ能力も高く、攻防ともに頼りになります。《敵対工作員》とコンビを組んで、対戦相手の自由を奪いつつ、ライフを攻めることも。
さらに《憂鬱》2枚。

対「イニシアチブ」専用枠で、次の項で改めて説明します。単なるマナ拘束をこえて、追加の勝ち筋といえるほど強烈な色対策カード。先手1ターン目、それとも、前述の《緻密》と組み合わせ、初撃を弾いてからの封殺を狙います。

これでサイドボードに採用したカード15枚と、役割ごとの紹介終わり。
もっと枚数を増やしたいカード、採用したかったのに泣く泣く外したカードと、言いたいことがまだ山盛りですが、紙数とキリがなくなります。サイドボーディングと同じで、過剰は禁物。今日の裏テーマは、どうやら蛮勇。足を止めるな、進め!!! です。

俺以外の全員

次の項目からは、仮想敵と出会ったときの具体的な対応について。大きく分けたデッキタイプごとに、代表的なデッキを例にとりつつ。
先に許していただきたいのが、僕自身もまだ出会えていないデッキの方が多く、「これから遭遇するときのために、プランを考えてサイドボードを組んでいる」という点です。
本当にねぇ……筆者がなかなかプレイ機会を作れず、どうしても座学中心で、実戦での検証が少ない、というのが一連の記事にとって最大の弱点です。

申し訳ない
村をうっかり……焼いちゃった……
くらいの気持ちで……

そういう理由で、以下の内容は参考程度に考えてくだされば幸いです。それでも事前にサイドプランを立て、理由と共に、インアウトするカードを意識しておく価値は大きいと思います。いざ対戦相手と出会ったあとで、頭を抱えるよりもずっと。

3.改めて、続けます。順番は大まかに、晴れる屋さんのレガシーメタゲームに従います。ということは、トップに現れるのがこのデッキタイプ。最強の仮想敵にして、レガシー環境を支配し続けるデッキですね。

デルバー系「URデルバー」

……失礼。デッキ紹介の初っぱなから、気絶していました。ほかの多くの環境デッキに有利とされる「Doomsday」なのに、よりによってデルバー系が苦手です。特に赤いデルバー=「URデルバー」が。環境覇者やん……。

メインボードからフル装備された《意志の力》と《目くらまし》でコンボへの抵抗力が高く、序盤からライフを容赦なく削ってくるので、《最後の審判》のあとで生き延びるのも覚束ないです。「生ける師範の占い独楽」=《ドラゴンの怒りの媒介者》が本当に厄介で、打点だけでも侮れないのに「諜報」で打ち消し呪文をかき集めてきます。

「チャネラー」
メインダメージソース、兼、システムクリーチャー
モダホラ2の生き物はさぁ……

しかも「URデルバー」のクリーチャー除去は《稲妻》が主力。無駄カードになるどころか、顔面に次々投げつけられれば、そのままプレイヤーが除去される勢い。このデッキ、「Doomsday」に対してメインボードで無駄になるカードが《邪悪な熱気》くらいしかないんじゃ……。

《稲妻》が当たれば、人は死ぬ
特に「Doomsday」と「デスシャドウ」使いは

・メインボードで警戒するカード
《意志の力》4枚、《目くらまし》4枚、《稲妻》4枚、《紅蓮破》1枚、稀にメインボードに《相殺》1枚か2枚
・サイドボードで警戒するカード
《相殺》2枚、《赤霊破》+《紅蓮破》3枚、《外科的摘出》2枚、《否定の力》2枚、稀に《倦怠の宝珠》1枚

幸い、一般の「Doomsday」では要警戒カードの《不毛の大地》が「アーボーグ型」には効きません。そうなるとお互いに土地が横に延びやすいので《目くらまし》も本来の性能を発揮しづらいはず。メインボードでは《意志の力》に的を絞ればいいので、だいぶ気が楽です。そもそも「デルバー」と少しでも有利な条件で戦うために作った土地基盤なので……。

これを無視できるのは
やはり大きな魅力です

メインボードがすでに完成されて、無駄カードが少ないから、という身も蓋もない理由で、サイドボーディング後に「URデルバー」が大きく姿を変えてくることはないはず。特に《赤霊破》系を無視できる黒いカードを中心に試合を組み立てたほうが良さそうです。

それも踏まえて「アーボーグ型ドゥームズデイ」が目指す展開は、
A.ライフへの圧力が少ない序盤に《最後の審判》を通す → 妨害されない「サイクリング→《魂の洞窟》」ルートでパイル完走。

B.黒の手札破壊を中心にスペル戦を展開し、《最後の審判》を通す → ターンを返さずに決着をつけられる「《渦まく知識》→《水蓮の花びら》」ルートでパイル完走。

C.《暗黒の儀式》を用いて、「URデルバー」では除去が困難な《黙示録、シェオルドレッド》の早期着地。ライフに圧をかけつつ、コンボとの両面攻撃。
理想通りのストーリーは、主にこの3パターンでしょうか? 各パイルの使い分けについては、前々回の記事にて。

これらのプランを達成するために必要なのは、対青の《強迫》2枚。追加の勝ち筋《黙示録、シェオルドレッド》2枚。どちらも黒いカードです。
《シェオル》さまが攻防の要で、1枚で除去できるカードはごく少数の《邪悪な熱気》か《厚かましい借り手》くらい。どちらも本来ならサイドアウトしたい部類のカードでしょう。さらに、上に書いたサイドインされる可能性があるカード、全てが《シェオル》さまには効きません。このマッチアップでは3人欲しいほど。いずれ「アーボーグ型」でも、しれっと増えているかもしれません。ファイレクシアの技術で量産化されて、この人が急に伝説じゃなくなればなぁ。

祝福されし完成をとくと見よ!
ていう感じでさー

6枚体制の手札破壊で相手の体勢を崩し、できるだけ時間を与えずに《最後の審判》か《黙示録、シェオルドレッド》をぶつけていきます。
あちらの《意志の力》、または《否定の力》は手札2枚を失うカード。妨害カードの枚数勝負では有利をとれるはず。特に《赤霊破》系をケアできているなら。ただし「チャネラー」に機能され始めれば、赤信号。
着地点になるカードが6枚に増えてアクセスしやすくなるぶん、2戦目以降でキープ基準として価値が高くなるのは、急襲に必須の《暗黒の儀式》。

「チャネラー」を落とせる《致命的な一押し》も積みたくなりますが、Doomsday. wiki曰く「デルバー相手にクリーチャー対策を積むな」(意訳)。クリーチャー除去を巡る攻防は「デルバー」がもっとも得意とするフィールド。専業のコントロールじゃないんだから、対戦相手の戦略に付き合い、貴重な時間を無駄にするべきではない、という意見です。ありがとう、Doomsday.wiki 。

ふるさと納税したい

サイドボードへ下げたいカードは《意志の力》4枚。「URデルバー」はどのカードも満遍なく強いデッキで、特定のキーカードに頼る構造ではないため、《意志の力》は手札を余計に失う弱い呪文になりやすいからです。

他に積みたいカードがサイドボードにあるときは、《発掘》《予報》《考慮》を抜きます。URデルバーとの対戦でサイドボーディング後に使いたいパイルは、打ち消し呪文が当たらない「サイクリング」ルートか、急戦用の「《渦まく知識》」ルート。
パイル進行の途中で、青い2マナの《予報》を撃つ「リアニメイト」ルートは、黒いカードを中心に試合を組み立てて《赤霊破》系を無効にする、という方針と合致しません。

今のプランでは「最序盤の手札破壊を巡る攻防から、《最後の審判》か《黙示録、シェオルドレッド》を貫き通す」というゲームを目指します。本音を言えばもう少し、対青のカードが欲しいところ。たとえば《否定の契約》。そのターンに勝敗を決するなら、最強の打ち消し呪文。追加で積めれば、ぎりぎりの撃ち合いで頼りになるのですが。
《黙示録、シェオルドレッド》3枚目も欲しいのに、次の「イニシアチブ」対策で対クリーチャーに枠を取られているのが苦しいところですね。「URデルバー」は「アーボーグ型」にとっても、やはり高い壁。もう少し「地下街」の様子が落ち着けばな。

世界が平和になれば
このカードも思う存分、使えるのにな

対URデルバー
In《強迫》2枚、《黙示録、シェオルドレッド》2枚
Out《意志の力》4枚

ストンピィ系「イニシアチブ・ストンピィ」

……失礼。再び、気絶していました。なんて並びだ。しかしまぁ、今のレガシー環境でこの二大巨頭を意識しないわけにはいかず、紹介と説明のために都合がよい順番だとも言えます。
もともとストンピィ系のデッキは「Doomsday」にとって不得意な相手ではなく、Doomsday. wikiのサイドボードガイドでも簡単に紹介されているだけ。マッチアップガイドに至っては、項目が無いです。

しかし、一世を風靡する「イニシアチブ」。
上の《白羽山の冒険者》が2マナランドと《金属モックス》のサポートで1ターン目に飛び出してきた場合、「地下街探索」でまず基本土地1枚を手札に。
2ターン目アップキープ、《白羽山の冒険者》に+2/+2され、5/5で攻撃。
3ターン目アップキープ、対象のプレイヤーは5点のライフを失い、5/5で再攻撃。無防備だとすでに残ライフは、5……。うそやん。道中で追加のイニシアチブ・クリーチャーが現れていたら、さらにひどいことに。

さらに《虚空の杯》や各種ヘイトクリーチャーも標準装備。「デスアンドタックス」と「プリズン」を同じ鍋で煮詰め直し、コンボデッキに近い速さで武装したような極悪デッキです。
最初からアンフェア側に属する「Doomsday」にとって、速度だけの相手なら何とかなるのです。なりふり構わずレースを挑むこともできるし(一手でも緩めたら、死ぬけど)、《意志の力》で初手を咎めることもできるはずだから。しかし4枚装備の《魂の洞窟》が容易には許してくれません。「打ち消されない」ヘイトクリーチャーという搦め手まで用意されて、コンボ達成も一苦労。

相手に使われると本当に強いです
自分が使う側だと実感しづらい

ヘイトクリーチャー登場より先に即死を狙えればいいのですが、同じコンボデッキでも「The Spy」や「リアニメイト」系ほど、1ターン目の強襲に特化しているわけでは無いですからね……。
いや、本当、多くのフェアなデッキが駆逐されるのがわかります。それとも、どんどん「イニシアチブ」化していくのが。
とりあえずヘイトクリーチャーの数と種類が多い白単型が「アーボーグ型」にとって辛いので、以下は「白単イニシアチブ」を参考に。

・メインボードで警戒するカード
《スレイベンの守護者、サリア》4枚、《精鋭呪文縛り》4枚(もしくは《選定された平和の番人》4枚)、《エメリアのアルコン》4枚、《虚空の杯》4枚、時おり《別館の大長》4枚
・サイドボードで警戒するカード
《三なる宝球》2枚、稀に《耳の痛い静寂》1枚、稀に《精神壊しの罠》2枚

「ゲボォ?!」と液体を吐きたくなるメインボードの偉容と、サイドボードの意外な薄さが印象的です。最近のリストでは《別館の大長》さえ散見される開幕特化型デッキ。

スタートダッシュ特化デッキ御用達
0マナ妨害 白なので《金属モックス》のコストにも

裏を返せば、マナ加速から繰り出される初撃を凌げば、大きな有利をとれそうです。なにしろ「イニシアチブ」は、青くないのですから。手札からコンボを止める手立てがないので、戦場が無防備な状態で一撃を放てば、そのまま勝てます。
もちろんそのことを「イニシアチブ」は承知しているからこそ、《魂の洞窟》フル装備。《意志の力》からクリーチャーを守ってきます。そこで採用するのが《緻密》2枚。

クリーチャー・呪文を直接ライブラリーに戻すので、《魂の洞窟》が意味をなさず、「イニシアチブ」の誘発を許さないクリーチャー対策。普通は1ターンの時間稼ぎにしかならないのですが……《緻密》で作った隙に《最後の審判》、もしくはこのカードをねじ込みます。《憂鬱》2枚。

「イニシアチブ」で本当に恐いのは白のクリーチャー。《虚空の杯》も《三なる宝球》も打ち消し呪文で弾き返せます。《憂鬱》は白にだけ機能し、《暗黒の儀式》で1ターン目に出せる《Nether Void》。

時間稼ぎというには致死的すぎる古のエンチャント・ワールドの効果を再現し、「イニシアチブ」を一方的に封殺します。これを踏まえて目指す勝利条件は、
A.ヘイトクリーチャー、ヘイトアーティファクトが現れる前に《暗黒の儀式》から《最後の審判》 → その場で勝てる「《渦まく知識》」ルートを中心に、手札に応じたパイルで完走

B.ヘイトクリーチャー、ヘイトアーティファクトが現れる前に《暗黒の儀式》から《憂鬱》 → 「イニシアチブ」のクリーチャー展開を封鎖している間にコンボで勝つためのカードをかき集め、《最後の審判》

C.ヘイトクリーチャー、ヘイトアーティファクトを《緻密》《意志の力》で弾く → 返すターンで《最後の審判》か《憂鬱》

手札1枚、マナ1つを惜しむようなスペル戦をしかける「URデルバー」戦より、知能指数がぐっと低くなっております。こちらも負けじと開幕特化。「助走をつけて殴りかかってくる「イニシアチブ」を、さらに上回る速さで殴る。もしくは真正面からジョルト・カウンター」という作戦です。
「Doomsday」は「The Spy」じゃない? ……オッケー、オッケー。それなら「俺が「The Spy」になればいい」作戦。

青黒版を自分も組んでいました
すぐに主流が緑黒になっちゃったな~

そんな都合よく即死を狙える手札ばかり来れば、苦労はないだろ! と自分でも思うので……擬似的にその状況を作りやすいよう、工夫をします。いつもは《最後の審判》の露払いに使う《思考囲い》も、役割を変えます。前方確認の必要がなくなるので、1ターン目に撃ち、相手のキープ基準を潰す役目に。

ただし後手番だと
一手の差で《虚空の杯》を刺されそうなので
《否定の力》との交替を検討

同じ運試しなら、サイコロの当たりの目を増やします。《憂鬱》はキープ基準を増やすためのカード。《最後の審判》で即死させられれば良し、《憂鬱》で封殺できれば、それはそれで良しです。
このカードも検討したし、実際に2枚を購入したのですが……「イニシアチブ」の技の起こりを抑えられる《緻密》を採用した以上は、後続の完封を狙える《憂鬱》を使います。

再録禁止カード、解禁か
と一時は思ったのですが……
ちなみに、400円と800円でした

それから戦場に出てしまったクリーチャー対策《致命的な一押し》1枚、パーマネント対策《残響する真実》1枚。無理やりにでも隙をこじ開けて、そのまま勝ちます。以上、6枚がサイドインしたいカードです。
後手番では《虚空の杯》《三なる宝球》対策を任せるために《否定の力》4枚の投入も検討。

不必要なカードは、スペル戦用の《狼狽の嵐》2枚と《否定の契約》1枚。似た役目の《魂の洞窟》は《虚空の杯》を無視して《タッサの神託者》を唱えられるので残します。
ヘイトパーマネントの多くを無視できる《サイクリング》ルートか、ターンを返さずに勝つ《渦まく知識》ルートを使いたいので、「リアニメイト」ルート用のカードを外します。《発掘》《予報》《考慮》を1枚ずつ。これで、6枚。
後手のときは《思考囲い》4枚を抜いて《否定の力》に交替。

最初からカード枚数で勝負をしないので、積極的にマリガンをし、殺せる手札を探してください。「URデルバー」のときと同じ理由で、勝つカードが6枚に増えてアクセスしやすくなるので《暗黒の儀式》がより重要なキープ基準になります。
イニシアチブは白いデッキで、初手にない特定のカードを探すのは不得手。キャントリップを大量に装備した「アーボーグ型ドゥームズデイ」のほうが、安定性、問題解決能力は上です。

全体として「URデルバー」より、分厚い対策を用意しています。《緻密》と《憂鬱》という専用サイドボードの枠をとるほど「イニシアチブ」を警戒している理由は、「アーボーグ型」特有の事情に関係します。

そもそもの設計段階から「アーボーグ型」は「URデルバー」とコンボデッキを強く意識し、手札が減りにくいよう、スペル戦で有利を取りやすいように作ったつもりです。言い換えれば、始めからある程度のサイドボーディングを済ませているような状態。それで相性の差がひっくり返るかは、ともかくとして。
ところが、イニシアチブは新しいデッキです。このデッキを作り始めたころ、すでに萌芽は育ち始めていたはずですが、まったく意識をしていませんでした。まして、ここまで環境を支配する存在に育つとは。

「アーボーグ型」はコントロール的な性格が強く、手札からのスペル戦を重視する反面、戦場に高速で脅威を並べてくるタイプのデッキが苦手です。コンボデッキのわりに。
速さにおいては一般的な「Doomsday」より劣り、開幕攻撃によって問答無用で勝つような戦い方をしづらいからです。そのため、サイドボードの枠を使い、強引に勝敗を決められる方法を選びました。
まだ対戦の機会を作れず、実戦で正誤の証明ができていませんが……いずれ機会があれば、改めてご報告できればと思っています。

剃刀の刃の厚さほど、か
本当にそうなのかは
出会ってみないとわかりません

対「イニシアチブ・ストンピィ」
In《緻密》2枚、《憂鬱》2枚、《致命的な一押し》1枚、《残響する真実》1枚、(後手なら《否定の力》4枚)
Out《狼狽の嵐》2枚、《否定の契約》1枚、《予報》1枚、《考慮》1枚、《発掘》1枚(後手なら《思考囲い》4枚)

ふぅ。本日付の晴れる屋さんのレガシーメタゲームに従えば、この2種類だけで32%を越える支配率という最大派閥のデッキたちを紹介できたことになります。
ここから先は、少し駆け足で。最後に紹介したいデッキが、ある意味でこの記事の本命だからです。

コントロール系「4Cコントロール」

「The Deck」以来の由緒あるアーキタイプ「コントロール」の、最新バージョンの1つ。黒以外、4色の優良カードを惜しみなく装備しています。レガシー環境の中でも遅いゲームを得意とするデッキで、長期戦での枚数勝負を挑むのは、無謀オブ無謀! 多彩な妨害手段で自分の土俵に引きずり込む能力にも長けているのが厄介極まりないですが……。

・メインボードで警戒するカード
《意志の力》4枚、《否定の力》0~2枚、《忍耐》2~4枚、《激しい叱責》2枚、時おり《覆いを割く者、ナーセット》2枚か《時を解す者、テフェリー》1~2枚、稀に《紅蓮破》1枚
・サイドボードで警戒するカード
《赤霊破》+《紅蓮破》4枚、《倦怠の宝珠》1枚、《花の絨毯》1~3枚、《外科的摘出》1枚、赤のないバント型には《夏の帳》1枚

意外なほど《最後の審判》を邪魔できる打ち消し呪文の枚数は多くありません。ボードコントロール用に《剣を鍬に》《虹色の終焉》をフル装備していることに加え、多くのプレインズウォーカーも搭載されているぶん、メインボードでは「Doomsday」の速さの前で無駄になりやすいカードが多いです。

出されたら、そりゃツラいが

序盤から積極的にライフを削ってくることもないので、悠々とターンを返すパイルも組みやすいはず。
一方で危険度が跳ね上がるのは、《最後の審判》を通したあとの世界。メインボードに《忍耐》2~4枚。《激しい叱責》2枚。《タッサの神託者》に対して逆王手をかけられるカードをこれほど大量に、1戦目から装備しているデッキは他にいません。対「コントロール」でもっとも多い死因は、パイル進行に割り込まれ、勝利条件の不成立。

天敵オブ天敵

打ち消し呪文を構えたまま、手札枚数に余裕をもってパイル進行できる「リアニメイト」ルートがもっとも輝く相手です。

目指すゲーム展開は
・手札破壊を要所要所で突き刺し、間合いを計って《最後の審判》 → 打ち消し呪文で《忍耐》《激しい叱責》に備えつつ、パイル完走

丁寧な前方確認から、打ち消し呪文のバックアップを用意して《最後の審判》による攻撃。つまりは、基本に忠実に、です。
サイドボードから真っ先に入れたいのは《強迫》2枚。「4Cコントロール」……というより「多色コントロール」全般は、細かい部分に使い手の好みが反映されやすく、とても採用カードの全容を読みきれません。確かな情報は必要です。
大まかな傾向として、今の環境では青白緑+赤、というタイプが多い印象。最大の理由は《赤霊破》《紅蓮破》を自由に使える点でしょう。

反面、《夏の帳》の採用は減っているようです。念のため晴れる屋さんとMTG Goldfishで1ヶ月ほどの入賞リストを遡ってみたところ、赤を足さない純正バント型でサイドボードに1枚採られる程度。より「URデルバー」に効果的な《赤霊破》系が優先されている模様で、手札破壊にとっては追い風です。
立っている緑マナに油断は禁物ですが、黒いカードで火口を作るのは有効かと。

《黙示録、シェオルドレッド》2枚も。《カラカス》1枚が標準装備されていることもあり、対「URデルバー」ほど信頼性が高いわけではありません。しかし、《剣を鍬に》を全て抜くという楽を許さない目的で。《森の知恵》に猛烈なスーサイド要素を課すことができ、各種プレインズウォーカーへの牽制にも。
今の環境ではサイドボードにヘイトクリーチャーはそれほど採用されていないようです。《致命的な一押し》は様子を見ながら。
一方で《花の絨毯》《倦怠の宝珠》という対「URデルバー」対「イニシアチブ」カードが、ついでのように刺さります。《残響する真実》1枚はあったほうがよいかと。《否定の力》2枚も追加。これで7枚+α。

外したいカードはまず、速さを競うゲームにならないので、枚数で損をする《水蓮の花びら》4枚のうち2枚。土地が延びると効果が薄い《目くらまし》2枚。やや対象が狭い《狼狽の嵐》2枚も《否定の力》との入れ替え用に。それから、枚数調整として普段の動きに影響が少ない《秋の際》1枚。これで7枚です。
《致命的な一押し》も欲しいときは、《通りの悪霊》あたりとの交換を検討する形が良いかと思います。

対「4色コントロール」
In《強迫》2枚、《黙示録、シェオルドレッド》2枚、《残響する真実》1枚 《否定の力》2枚 (必要に応じ、《致命的な一押し》1枚)
Out《水蓮の花びら》2枚、《目くらまし》2枚、《秋の際》1枚 《狼狽の嵐》2枚 (《通りの悪霊》1枚)

非青コンボ「エルフ」

純粋なコンボというより、クリーチャービートとのハイブリッドという性格が強いですが、この項目で紹介。
クリーチャーの枚数分の緑マナを出せる土地《ガイアの揺藍の地》、クリーチャーが戦場に出るたびカードを1枚引けるようになるソーサリー《垣間見る自然》を組み合わせ、緑の部族「エルフ」を連鎖的に呼び寄せて相手を圧倒。緑という色で最強の部分を結晶化させたようなデッキです。


再録禁止カード
緑の古代兵器

クリーチャー1体を生け贄に、ライブラリーから直接、マナコストを踏み倒して緑の大怪獣を戦場に繰り出す《自然の秩序》が必殺技。まあ、おおむね、これです。

ゴール地点のひとつ
名誉エルフ1号

チェーンコンボに頼らなくても充分すぎるほどの展開力と戦闘力を備え、もともと「URデルバー」に有利、数で圧倒できるので容易に「イニシアチブ」も奪えるため、着々と勢力を伸ばしているデッキです。

・メインボードで警戒するカード
《アロサウルス飼い》4枚、《武勇の場の執政官》1枚、《緑の太陽の頂点》4枚、《自然の秩序》3枚
・サイドボードで警戒するカード
《思考囲い》4枚、《忍耐》2~3枚、時おり《耳の痛い静寂》1~3枚、時おり《精神壊しの罠》1~3枚

本来ならば、《意志の力》を持たないので《最後の審判》に干渉できず、速さで自分より劣る「エルフ」はそれほど相性が悪いタイプのデッキではありません。切り札の《自然の秩序》も軽々と打ち消せますから。しかし「Jumpstart」で手に入れた「エルフ」専用の超兵器が全ての不利を覆してきます。

再録されるまでは、もの凄い価格でしたね

《アロサウルス飼い》!!! 自分自身も打ち消されず、後続の緑の呪文全てを打ち消されなくする、ルール破壊級の1マナエルフ。え、クリーチャー以外の呪文も守れるん? どういう原理で? キミがアロサウルスを飼ってることと何の関係が??? ついでのように、起動型能力でエルフ全てを超強化できるので、フィニッシャーをも兼ねます。あんまりだぁ……。
こいつを経由して《自然の秩序》→名誉エルフ2号《武勇の場の執政官》→「汝、ソーサリーを禁じる」なんてマネをされたら、「Doomsday」は永久に口を閉ざして海に沈むしかなくなります。

打ち消し呪文にコントロール要素の多くを依存する「Doomsday」にとって、《アロサウルス飼い》はピンポイントでツラい1枚です。しかし冷静に考えれば、こちらがあちらに干渉できないのと同様に、メインボードではあちらもこちらに干渉できません。「シャドー」かな?

「エルフ」は土地とクリーチャーを並べるにつれ、等比数級的に攻撃性を増大させるデッキ。言い換えれば、爆発力を発揮する前に、土地を置く手番やクリーチャーを並べる「溜め」を必要とします。妨害要素の一切をかなぐり捨て、全力をもってデッキを掘り進めれば、1枚コンボの《最後の審判》のほうが速いはず。
ただし、相手にターンを返すと起爆を許すかもしれないので、できるだけその場で勝てる手札の条件を整えつつ。
メインボードでは除去を撃たれず、余った妨害カードも有効活用できるため「《渦まく知識》」ルートが最適でしょうか。

サイドボーディング後は、《思考囲い》《耳の痛い静寂》《精神壊しの罠》などの妨害要素、そして《忍耐》が投入されてきます。
ただし、それらを巡る攻防は「Doomsday」、特に「アーボーグ型」がもっとも得意とするフィールドです。何しろ《思考囲い》も《耳の痛い静寂》も《精神壊しの罠》も、色が緑ではないのですから。サイドカードの大半は《アロサウルス飼い》で守られていないので、簡単に打ち消せます。エルフたちに、スペル戦の専門家である「ドゥームズデイ」の本領を教えて差し上げましょう。
さらに、これらが入ってくるぶん、メインボードより速度は何段階も落ちるはず。いっそまっすぐに襲いかかられるほうが恐いかもしれません。
ただし、緑のピッチスペル+瞬速の《忍耐》は別格。打ち消せない《忍耐》に対抗するため、「イニシアチブ」対策を兼ねる、このカードを使います。

これらを踏まえれば、こちらが目指す展開はこの通り。
・「エルフ」がサイドインしてきた緑以外のカードをいなしつつ、危険域の手前を見極めて《最後の審判》 → 《アロサウルス飼い》に守られた《忍耐》は《緻密》でライブラリーに戻し、パイル完走

もちろん《アロサウルス飼い》のほうを除去し、《忍耐》には《意志の力》《否定の契約》を当てるのも有効です。こうした展開を実現するために欲しいカードは《緻密》2枚。《致命的な一押し》1枚。《残響する真実》1枚。これで4枚。
白が濃そうな相手なら《耳の痛い静寂》を弾き返せる《否定の力》2枚の追加も検討。

不要なカードは、使う場面がない《魂の洞窟》1枚。効果が薄い《目くらまし》2枚。枚数調整に《秋の際》1枚。これで計4枚。
《否定の力》を使いたいときは《狼狽の嵐》2枚と差し替え。

わかりやすい脅威は《アロサウルス飼い》ですが、それだけに囚われないように。《エルフの幻想家》《遺産のドルイド》などコンボのキーパーツを撃ち落とし、「エルフ」の速度を落とすことも考えるべし(意訳)とのことです。

対「エルフ」
In《緻密》2枚、《致命的な一押し》1枚、《残響する真実》1枚、状況に応じて《否定の力》2枚
Out《魂の洞窟》1枚、《目くらまし》2枚、《秋の際》1枚、《否定の力》採用時は《狼狽の嵐》2枚

墓地利用コンボ「赤黒リアニメイト」

青を使わないコンボデッキとしてクリーチャー主体の「エルフ」とは別に、スペル主体のこのデッキを紹介。最古にして、レガシー環境で最速級のコンボデッキ「リアニメイト」。《グリセルブランド》を筆頭に、1枚で勝ち切れる高コストのクリーチャー・カードを《納墓》《信仰無き物漁り》で墓地に落とし、《再活性》《動く死体》で釣り上げます。

1ターン目に戦場に出されたら?
好き放題されて
だいたいのデッキは、まあ、死にます

赤黒は速度に特化して、妨害カードは黒いピッチスペルの手札破壊《暴露》《悲嘆》が主力。《別館の大長》でコンボを守ってくることもあり、先手を取られれば、1ターン目の強襲を止めることがまったく不可能になることも。特に「イニシアチブ」には抵抗の術が少なく、彼らを狩りやすいデッキの1つが「リアニメイト」ではないでしょうか。

・メインボードで警戒するカード
《暴露》4枚、《悲嘆》2~4枚、《思考囲い》2枚
・サイドボードで警戒するカード
《別館の大長》2枚、時おり《ダウスィーの虚空歩き》2~3枚、時おり《エメリアの盾、イオナ》1枚、白タッチなら《沈黙》2枚

これまた使用者の好みが反映されやすく、様々な型が微妙に混じり合い、採用カードの種類と枚数を読みにくいです。とはいえ、確かなことが1つ。同じコンボデッキでも、速度は明確に「アーボーグ型」よりも「赤黒リアニメイト」のほうが上です。「Doomsday」にとって自分を凌ぐ速さのデッキは、レガシー環境でも数える程度なのですが……。

レースを挑むのは不利。しかし、速さ以外の面で劣るわけでありません。安定性、コントロール能力はこちらが上。「赤黒リアニメイト」の妨害枠《暴露》《悲嘆》は手札消費が激しく、息切れを起こしやすいです。
直近のリストでは《別館の大長》がサイドボードに下げられていることが多いのも追い風。《意志の力》《狼狽の嵐》をはじめとする打ち消し呪文の数々で初撃を凌ぎ、長いゲームに持ち込むのは、それほど難しくはないはず。

こちらから攻める立場ではなく、コントロールする側だということをしっかり自覚し、焦らずに戦うほうが良さそうです。
そして、Doomsday.wiki曰く、「リアニメイト」にとって「釣るのは易く、落とすのは難し」(意訳)。

「リアニメイト」のエンジンです

多くの「リアニメイト」は墓地からクリーチャーを甦らせる「釣竿」を12枚前後は装備しています。ところが、墓地にクリーチャーを落とせる《納墓》《信仰無き物漁り》は合わせて8枚。狙うなら「釣竿」側ではなく、より少数の「埋葬」側のカードを、というのがセオリー。
まあ、どれほど注意しても、メイン戦は噛み合い次第で軽々と食い破られます。しかし、サイドボーディング後は、責め立てるのがこちらに変わります。主役はこのカード。

目指すべきゲーム展開は、
・《意志の力》4枚+《否定の力》4枚で「赤黒リアニメイト」の初撃を叩き潰す → 増強した妨害カード群で展開をコントロール → 《敵対工作員》の着地、《最後の審判》での勝利

もし墓地対策の枠を取っていたら、投入してください。「Doomsday」では頻繁に、このカードのために1枚~2枚の枠を割きます。

キープ基準を拡大し、追加の勝ち筋にも匹敵する威力のカード。これを割るため、もしくは無視するために、「リアニメイト」は多くの時間と体力を浪費してくれます。たとえ青いタイプで、大型クリーチャーを手札から戦場に出せる《実物提示教育》を撃ってきたとしても、「3マナのソーサリー」を巡る攻防なら手慣れたもの。こちらに分があります。

ただし今の「アーボーグ型」では専用の墓地対策を外しています。その代わり、4枚の《否定の力》を投入。2枚の《強迫》を投入。1枚の《敵対工作員》を投入。以上、7枚。

このマッチアップと次のデッキ相手に
本当は2枚欲しいです
あー……自分だけサイドボードが20枚にならんかなぁ

《納墓》を封じられる《敵対工作員》が定着すれば、貴重な「埋葬」側のカードが半減して、さらに不均衡になり、狙い撃ちしやすくなるはず。

外したいカードは、《魂の洞窟》1枚、《否定の契約》1枚、速さで無理に競り合わないので《水蓮の花びら》2枚、打ち消し呪文でパイルを守る必要がないので「リアニメイト」ルート用の《発掘》《予報》《考慮》1枚ずつも外します。以上、7枚。

以前の記事で「Tin Fins」と対戦したときのことをより詳しく書いているので、興味がある方はご参照ください。

「Tin fins」は《グリセルブランド》特化型といえる
リアニメイトの派生系
1ターンキルも狙えるデッキです

そのときは《虚空の力線》2枚を積んでいて、代わりに《否定の力》が2枚だけでした。
「リアニメイト」を筆頭とする自分より速いコンボデッキに対し、《虚空の力線》という直接的な脅威を突きつけられない不安もありますが……その代わり、現在の構成だとサイドチェンジ後、打ち消し呪文が12枚、手札破壊が6枚になります。
この陣容を息継ぎなしで破るのも、ちょっと大変ではないかなと思います。そうして苦しまぎれに顔をあげた瞬間、こちらが襲いかかるイメージで。

対「赤黒リアニメイト」
In《否定の力》4枚、《強迫》2枚、《敵対工作員》1枚
Out《魂の洞窟》1枚、《否定の契約》1枚、《水蓮の花びら》2枚、《発掘》1枚、《予報》1枚、《考慮》1枚

長い記事にお付き合いいただき、ありがとうございます。まだご紹介したいデッキは数多くありますが、それは近々、追補編を書くつもり。今日のところは、次のデッキが最後で……この記事の本編です。
年末年始、Doomsday.wikiと睨めっこしつつ、ずっと考えていたことがこれです。「アーボーグ型ドゥームズデイ」で、本家「Doomsday」を倒すには、どうすればよいのか。

青系コンボデッキ「Doomsday」

スペル型高速コンボデッキの頂点の1つ「Doomsday」。キーパーツの省スペースさを活かし、大量の打ち消し呪文と手札破壊にバックアップされながら、早期のコンボ達成を狙うことができます。もちろん、レガシー環境の青いデッキの特権として《意志の力》《渦まく知識》《思案》を4枚ずつ標準装備。“「Doomsday」は青単色のコントロールデッキ(意訳)”と称されるほど、高いレベルでの防御力と安定性、問題解決能力をも備えています。
現在の主流は、環境の高速化に合わせ、《親身の教示者》3~4枚、《陰謀団の儀式》2~3枚を装備し、コンボの再現性と達成速度を重視した「ターボ型」と呼ばれるタイプ。

ドミナリア・リマスターで再録してほしかった
実際には「神秘の」でしたが
レガシー禁止やん! じゃあ、禁止解除して!(ワガママ)

・メインボードで警戒するカード
《意志の力》4枚、《目くらまし》1~3枚(稀に0枚)、《強迫》+《思考囲い》4枚、稀に《悲嘆》1~2枚、稀に《誤った指図》1枚
・サイドボードで警戒するカード
《否定の力》4枚、《強迫》1~2枚、《黙示録、シェオルドレッド》2~3枚、《敵対工作員》0~1枚、時おり《狼狽の嵐》1~2枚

「アーボーグ型ドゥームズデイ」にとって、作った瞬間から意識せざるを得なかったことが、同系「Doomsday」戦でした。「アーボーグ型ドゥームズデイ」は初心者や復帰勢にも揃えやすく扱いやすい「“易しい”Doomsday」を目指しています。それだからといって、単なる廉価版、劣化版にしたくない、というのは当初から考え続けてきたこと。

環境上位のデッキたちと同等、いえ、それ以上に、同系対決ほど「アーボーグ型」の真価を問われる相手はいません。鏡合わせの難敵「Doomsday」に勝つために……彼我のリストの違いを探り、その点を突いていきたいと思います。

《最後の審判》《タッサの神託者》《意志の力》《渦まく知識》……デッキの基本的な構造は同一なので、省略。《Underground sea》を用いないマナベースはまるで異なるとはいえ、この対決で大きな意味を持つ要素ではないので、これも省略。主流の「ターボ型」にあって、「アーボーグ型」には無い要素だけを抜き出してみます。
参考資料は、MTG Goldfishに掲載されていた大会入賞リスト。《目くらまし》を全て抜き、《誤った指図》《悲嘆》を採用した少し特徴的なリストです。しかし、今の環境を象徴するサンプルとして最適だったので、比較に使わせてもらいます。わかりやすさを考えて今後は「ターボ型」と呼びます。

・《親身の教示者》4枚、《陰謀団の儀式》3枚、《ライオンの瞳のダイアモンド》1枚、《悲嘆》1枚、《誤った指図》1枚

違うのは、この10枚。こうしてみると「ターボ型」は完全な前傾型です。《親身の教示者》を5~8枚目の《最後の審判》、《陰謀団の儀式》を5~7枚目の《暗黒の儀式》として高速コンボのパーツと見なせば、きれいに8:7枚。2枚コンボの基本に忠実な構成です。妨害も、手札を余計に失うかわりに、0マナで撃てるものを優先。《意志の力》の有無などの差はあれど、前述の「リアニメイト」とよく似た構造だとわかります。

5枚目の《意志の力》
《否定の力》は自分の手番に代替コストで撃てず
コンボを守れないので
あと、上手く刺さると最高に気持ちイイ

さて、「アーボーグ型」も「ターボ型」と同じ60枚構成のはず(突然、宇宙電波を受信し、80枚の「ヨーリオン型ドゥームズデイ」に改造しない限りは)。

240枚の「バベル型ドゥームズデイ」もあるぞ!

今度は「ターボ型」には無く、「アーボーグ型」にだけ採用されている10枚の要素を抜き出してみます。

・《定業》2枚、《予報》1枚、《発掘》1枚、《水蓮の花びら》1枚、《目くらまし》2枚、《狼狽の嵐》2枚、《否定の契約》1枚

理屈はわかっていたつもりでも、改めて驚きました。同じ系列のデッキのはずなのに、「ターボ型」と「アーボーグ型」では勝利までの道筋がまったく異なります。
「ターボ型」はコンボ寄り。マナ加速と教示者を活用することで、きわめて早い手番でのコンボ成立を目指すのが「ターボ型」のプラン。速さにおいて「アーボーグ型」は決して勝てません。互角の状態でレースをしてはならないということです。《ライオンの瞳のダイアモンド》の有無も響きます。マナが窮屈な状態で「《渦まく知識》」パイルを組んだとき、選べるルートが少ないからです。
その代わり、「アーボーグ型」はコントロール寄り。手札を失うカードが少なく、妨害を挟みつつ、キャントリップでパーツを揃えていく方針になります。そのための妨害の手厚さは「アーボーグ型」が上。
「ターボ型」のメインボードでの妨害枠は、10枚。「アーボーグ型」は《否定の契約》を除いても、12枚。特にこのカード2枚分のスロットの有無は大きいと思います。

「イニシアチブ」の隆盛などを念頭に置いて《呪文貫き》を採用することがあっても、「アーボーグ型」では基本的に《狼狽の嵐》を優先します。今は対「イニシアチブ」には専用サイドを用意しているので、なおのこと。
メインボードから《狼狽の嵐》を無理なく採用できるのが「アーボーグ型」の利点で、これを活かさない手はありません。
念のために解説すると、《狼狽の嵐》はインスタントかソーサリー呪文を、コントローラーが1マナ支払わないと打ち消す呪文。誘発型能力「ストーム」を持つので、そのターンに唱えられた呪文回数分のコピーが一斉にスタックへと襲いかかります。
これに狙われた《最後の審判》は、ほぼ間違いなく消え去る運命に。《狼狽の嵐》は手札破壊を巡る攻防でも有用。今回のサンプルに使ったリストだけでなく、多くの「ターボ型」のメインボードには1マナのソフトカウンターの枠が無く、せいぜい少数の《目くらまし》だけなのですから。

採用枚数が減っているカードで
1枚のリストも多いです
「URデルバー」など苦手なデッキに効果が薄いのが理由

《意志の力》も、より手札が減りにくく、青いカードの総数が多い「アーボーグ型」のほうが強く使えるはず。対「リアニメイト」と構図が同じです。速さで劣るからといって、全てで負けているわけではありません。こちらは攻める立場ではなく、コントロールする側だと考え、むやみに焦らないほうが良さそうです。
まして「Doomsday」というデッキは「リアニメイト」と違い、教示者やキャントリップを経由せず、先手1ターン目にコンボ達成を狙うことが難しい……そのことは、身をもって嫌というほど承知しています。
たとえ、速さに特化した「ターボ型」相手でも、手番は高い確率で巡ってくる。《島》1つさえあれば、コントロールは充分に可能です。

教示者といえば、このマッチアップでは《予報》が重要なカードになりそうです。

消耗戦に持ち込んでから手札を増やしたいときはもちろん、相手の《親身の教示者》解決のあと、ライブラリートップの《最後の審判》を指名し、墓地に叩き落とすために。
「ターボ型」は《親身の教示者》を無益に失って、手札は-1枚。こちらは2枚を引いて、+1枚。2マナながら《Ancestral Recall》と同等の威力と化します。
相手のパイル進行中、最後の1枚を引ききる瞬間にスタックをしかければ、ぎりぎりの局面で逆転も狙えるかもしれません。

メインボードはこんなところでしょうか。コンボ同士の戦いである以上、手札の噛み合いと運の要素がどこまでも付いてきます。何もできずに負けることもあれば、意外とあっさり勝てることもあるはず。
それでもプランの有無は大きな違いです。「速さでは不利、妨害では有利」という情報を知らず、がむしゃらにまっすぐ戦うよりは優れた結果を得やすいはず。
より悩ましいのは、サイドボーディングのほう。方針は決まっています。「クリーチャーで攻める」

サイドボーディング後は「ターボ型」も《最後の審判》に対して手厚い備えをしてくるはず。具体的には、《否定の力》4枚、《強迫》1~2枚、ときには《狼狽の嵐》1~2枚です。そこで、2枚の《黙示録、シェオルドレッド》、1枚の《敵対工作員》を中心にゲームを組み立てます。
「ターボ型」のサイドボードで、戦場に出た黒いクリーチャーに対処できる手立てはごく少数、もしくは、皆無だからです。《思考囲い》以外では捨てさせられず、《意志の力》以外では打ち消すことが難しく、いったん戦場に出せれば、大きく有利。もちろん《暗黒の儀式》と合わせ、キープ基準として、早期の着地も視野に。

相手の《最後の審判》に合わせれば
ライブラリーの全てのカードが追放され
即死です

ただし、それは相手も同じこと。「URデルバー」にも「イニシアチブ」にも有効とは言えない《敵対工作員》の採用枚数こそ減少傾向ですが、《黙示録、シェオルドレッド》を3枚積んでいるリストもあり、間違いなく切り札として繰り出してきます。彼女を必ず除去したい、というのが《致命的な一押し》採用の大きな理由です。

狙うのはこんな展開。
A.《最後の審判》《黙示録、シェオルドレッド》《敵対工作員》のいずれかでキープ → 相手より数で勝る妨害で守りつつ、《暗黒の儀式》と合わせ、早期の決着

B.序盤から手札破壊とソフトカウンターを組み合わせ、ゲーム展開を遅らせる。特に妨害できるカードの種類の多さを活かし、《最後の審判》を無力化 → 手札交換を繰り返し、消耗させてから、こちらの《最後の審判》を通す

C.プランB.と同様に、ゲーム展開を遅らせつつ、《暗黒の儀式》や《魂の洞窟》を経由し、《黙示録、シェオルドレッド》《敵対工作員》着地 → 相手の《黙示録、シェオルドレッド》は除去、もしくは着地を許さずに対処 → コントロールを最後まで継続し、勝利

相手の《黙示録、シェオルドレッド》だけを除去し、自分の側には定着させる、というのが理想です。ムシがいい話だよな~、と思いつつ、コントロール能力の高さ、妨害の物量差という優位を活かす方法を考えていくと、このような形になりました。
実際のところ、「アーボーグ型」と「ターボ型」では、サイドボードの構成は大きく変わりません。《致命的な一押し》など、細かな採用枚数と種類の差はあっても、メインボードでの立ち位置の違いをひっくり返すほどでは無いということです。

この展開を実現するために欲しいカードは、まず《黙示録、シェオルドレッド》2枚、《敵対工作員》1枚。相手の《シェオルドレッド》を狙撃する《致命的な一押し》1枚。「ターボ型」が序盤に放ってくる《最後の審判》への解答として《否定の力》4枚、呪文の応酬を有利に進めるための《強迫》2枚。以上、10枚。

外したいカードはまず、クリーチャーと手札破壊を巡る駆け引きに使えない《否定の契約》1枚。速さで「ターボ型」と張り合わないので《水蓮の花びら》3枚。《最後の審判》に対し、より効果が高い《否定の力》と入れ替えるために《目くらまし》2枚。枚数調整として「サイクリング」カードの《秋の際》2枚、《通りの悪霊》1枚、《考慮》1枚。以上、10枚。

クリーチャーによる脅威の押しつけと高い妨害能力を両立する代償に、《最後の審判》後、パイルを組み立てる能力をぎりぎりまで落としてあります。というより、相手の《否定の力》や《強迫》などで警戒レベルが跳ね上がる《最後の審判》は見せ札の側面が強く、本命はクリーチャーで仕留めることです。

「ターボ型」が教示者を残したままにするかはわかりませんが、消耗戦で威力を発揮し、いざというとき最後の罠にも使える《予報》は外しません。必須パーツが少ない「リアニメイト」ルート以外のパイルを満足に組めなくなるので、《発掘》も念のために残します。
《魂の洞窟》を残すのはパイル用というより、これを経由すれば《シェオル》さま、《敵対工作員》にまったく対処されなくなる可能性が大きいからです。

対「Doomsday」
In 《黙示録、シェオルドレッド》2枚、《敵対工作員》1枚、《致命的な一押し》1枚、《否定の力》4枚、《強迫》2枚
Out《否定の契約》1枚、《水蓮の花びら》3枚、《目くらまし》2枚、《秋の際》2枚、《通りの悪霊》1枚、《考慮》1枚

“現時点での”自分なりの答えは、このようになります。

おつかれさまでした。

4.今回も長くなりました。最後までお付き合いいただき、心からの感謝を申し上げます。Doomsday. wikiと同じほど、みなさんがこの記事の支えになっています。
前述したとおり、サイドボードは水物です。明日には画期的な新発見が見つかり、この記事で挙げた例、全ては役に立たなくなるかもしれません。毛が生えた初心者の、手前勝手な考えが合っているとも、毛頭思いません。まだ答え合わせを済ませていないことだらけで。

しかし、こうして記事にするため、仮想敵たちのデッキリストを読み込み、解説を探し、変化も比較し、自分のデッキで打ち倒すための手立てを考えるのは、なかなか面白い作業でした。わかったつもりで、知らなかったことだらけで。
自分の楽しみのために、もう少し続けてみたい遊びなので、ここで紹介しきれなかったデッキについて、追補版も書くつもりです。それでは、また。

いちばん肝心なことを
言い忘れていました
あけまして、おめでとうございます。

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