【MTG レガシー】 「アーボーグ型ドゥームズデイ」の誕生日 【初心者、復帰勢、自分と同じ親に向けて】
1.先日。X(Twitter)上で「アーボーグ型ドゥームズデイ」をあらためて紹介したところ、期待以上に多くの方にデッキを知ってもらうことができたようで、嬉しいかぎり。
褒め言葉には“率直に喜ぶ”。調子には“全力で乗る”。これがハッピーな人生のコツ(あと、嫌な出来事は? “無視する”ゥ!)。
そゆわけで、さっそく記事にしましょう。短い字数で伝えきれていないことも多すぎるし、な……。
まず、「アーボーグ型ドゥームズデイ」とは何か。いま試している最新のリストは、こう!
「アーボーグ型」は初心者や復帰勢のため、入手性を重視し、高価な「デュアルランド」を用いず、「基本土地」を中心に構築した「ドゥームズデイ」です。
《島》を最優先で並べていき、「黒黒黒」の《最後の審判》を撃つ瞬間に《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》を置いて、土地を真っ黒に染め上げるのが、このデッキ。そのため、銘は「アーボーグ型」。
正しい手順で土地を置けば、《不毛の大地》をはじめとした特殊土地対策を、ほぼ完全に無効化。ケアのために意識のリソースを割く必要が無く、プレイングを簡単にする狙いがあります。
上の記事で紹介しているリストなど、初期型では高額な再録禁止カードである《ライオンの瞳のダイアモンド》を不採用としており、今の型とは戦術や組めるパイルが異なる点に注意を。
導入の経緯はこちら↓ 脳年齢の衰えが厳しくて……。
《ライオンの瞳のダイアモンド》のおかげで、組めるパイル(《最後の審判》後、勝つために選りすぐる5枚のライブラリー)は他の「ドゥームズデイ」と同一。おまけとして、記事の最後で簡単なものを紹介します。
しかし「2色土地」をあえて使わないため、良くも悪くも「アーボーグ型」の使用感は一般の「ドゥームズデイ」とは異なり、独特の癖があります。得意なゲームレンジも変わってくるので、くれぐれも細部の調整には注意を。
今回は、やや地味ながら「アーボーグ型」の特徴で、無二の武器、同時に弱点でもある《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》の話をしましょうか。
2.今さらですが、僕自身はあまり偉そうなことを言えるほどのプレイヤーではありません。いや、謙遜抜きで。家庭持ちだとプレイ機会を作るだけでも大変だもの……。
それでも何とか、自分のデッキで戦えているのは優秀な教材があるおかげです。「Doomsday. wiki」。
英文のサイトでもあり、悪魔的に目まぐるしい現代の「レガシー」環境に更新が追いついていないことは否めません。それでも、“基本の全て”はここで学べます。とくに初心者の方は必見。ありがとう、「Doomsday. wiki」。
その「Doomsday.wiki」にこんな1文が書かれています。
「ドゥームズデイとは青単色のコントロールデッキである」
《最後の審判》の色拘束から惑わされがちになりますが、「ドゥームズデイ」は《渦まく知識》や《思案》によって手札を整える「青いコンボデッキ」です。
デッキの基本動作にとって本当に必要なのは、「青マナ」。「黒マナ」が必要になるのは、《最後の審判》を下す最終局面(と、その直前の手札破壊)だけです。
“あらゆる行動の起点となり、堅い拠点になる《島》を、まず戦場に。”
これが「アーボーグ型」の原則であり、それは上のような思想に則って定められています。
このデッキにとって最強のカードとは?
間違いなく《暗黒の儀式》です。1~2ターン目での超高速攻撃を可能とし、「レガシー」環境で通用する切れ味を《最後の審判》に付与する、文字通りの“切り札”。
しかし、この黒のエース、またはジョーカーを常に都合よく手札に引き込めるとは限らず、土地3枚、または土地2枚+《水蓮の花びら》で《最後の審判》を撃つケースが頻発します。
その際に《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》は、土地でありながら、強力なマナフィルターと化し、1枚は欲しいカード。
仮に《暗黒の儀式》があるときも、1ターン目は《島》から安全にスタートして《思案》や《親身の教示者》、2ターン目に《アーボーグ》で黒く染め、《思考囲い》+《最後の審判》での同時攻撃などの動作が可能になります。
ところが1枚は欲しい《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》は、2枚目以降にたちまち邪魔になる、厄介な矛盾をかかえたカードでもあります。下手に複数を重ね引くと、そのために敗れかねません。
パイル専用カードの《魂の洞窟》を除けば、唯一、《不毛の大地》が突き刺さる急所でもあります。「なにかを引けば勝てる」と《アーボーグ》1枚に頼ったキープは本当に危険! 僕個人に限れば、この手の甘えキープが最多の敗因かもしれません。浅薄!
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》の枚数については、このデッキを作ってから1年、試行錯誤してはいるのですが……。
“3枚だと手札に持て余し、2枚だと欲しい局面に来づらい”印象。おそらくデッキにとっての適正枚数が整数ではなく、2.5枚~2.6枚の間ではないかと考えています。
そのためもあって、「アーボーグ型」では小数点以下の数字を埋めてくれる青1マナのキャントリップ呪文の価値がとても高いです。
現在は《親身の教示者》と《陰謀団の儀式》を満載することで速度を追求した「ターボ型ドゥームズデイ」が主流派で、「アーボーグ型」もそちらの形に寄せていました。ただ、正直なところ、デッキの設計方針には《定業》のほうが合います。
また、1ターン目には堅い《島》から入って構えたい特性と、初手《Underground sea》からコンボに入れない欠点のため、同系「ドゥームズデイ」の中では遅く、《目くらまし》よりも1マナのソフトカウンターのほうが強く使えるという少し変わった個性を持ちます。
これらが何を意味するかというと……
“自分よりも優速のコンボデッキの初撃を斬って落とし、返す刀で勝つ”。
そんなコントロール寄りの戦い方を得意とする「コンボを狩るためのコンボデッキ」。これが本来目指した「アーボーグ型ドゥームズデイ」の完成形となります。
もちろん、なかなか理屈と理想どおりにはいかず、生まれて1年が経った今でも調整をくりかえしているワケですが……。
3.そうなんですよね。「アーボーグ型ドゥームズデイ」を考案し、初めての記事を投稿してから、この季節でちょうど1年。
1年しか経っていないのに、当時のリストを見返してみると、若いデッキだったんだな、と心から思います。
この構成でよく回してたな……というか無理やり、力業で回してたんだな。今のリストをさらに1年後に見たときにも、同じ感想を持つかもしれませんが。
長い付き合いのような気がしていましたが、まだ1年でしたか。「アーボーグ型ドゥームズデイ」の特性について、ここまでは言語化ができるようになりました。
記事の最後に、1年前は放つことができなかった《ライオンの瞳のダイアモンド》を用いたパイルの組み方をご紹介しておきます。
条件:《最後の審判》後に、青マナ1つがあること、手札に《渦まく知識》と不要のカード1枚があること
上から①《ライオンの瞳のダイアモンド》→②《通りの悪霊》→③《考慮》→④《秋の際》→⑤《タッサの神託者》の順にパイルを積む
手順1:青マナから手札の《渦まく知識》を唱え、①《ライオンの瞳のダイアモンド》②《通りの悪霊》③《考慮》を手札に。《渦まく知識》でライブラリーに戻すカードは、下に手札の不要カード、上に③《考慮》の順番
手順2:手札には①《ライオンの瞳のダイアモンド》②《通りの悪霊》
①《ライオンの瞳のダイアモンド》を唱え、戦場に
②《通りの悪霊》サイクリング。サイクリングの1枚ドローにスタックし、手札を全て捨てることで《ライオンの瞳のダイアモンド》起動。「青青青」マナに変換後、サイクリングを解決。③の《考慮》を引く
手順3:手札には③《考慮》1枚。「青青青」マナから《考慮》を唱え、手順1でライブラリーに置いた不要カードを墓地に、④《秋の際》を引く
手順4:《秋の際》サイクリング。ライブラリーに残った⑤《タッサの神託者》を引く。「青青」マナから《タッサの神託者》を唱える
これが基本形の1つです。たとえば「サイクリング」カードが手札にある場合、《渦まく知識》や《水蓮の花びら》をライブラリートップに積むことで代用することもでき、条件を変動させることができます。詳細やバリエーション・ルートは、前述の「Doomsday.wiki」で。
毎度ながら、文章で書くと、わかりづらくていけませんね。
プロキシで構わないので、実際にパイルを作って、動きを確かめてもらえればと思います。僕が日常的に愛用させてもらっている「Study Hall of M:TG」さんの1人回し用Webアプリケーション「MTG Tools」のリンクも張っておきますから、アプリ上でもぜひ。
↑初心者にとって《梅澤の十手》級に心強いアプリです。海外の有料アプリもあれこれ試しましたが、まちがいなく、こちらが世界最高。操作が超快適。イラストも紙のデッキに合わせられるので、没入感が違います。
さて。今日はこんなところでしょうか。あらためて、感謝を。
ようやく1歳になった「アーボーグ型ドゥームズデイ」を、最初からは考えられないほど多くの方に知ってもらうことができ、この機に誕生日の祝福をしてもらった気分です。
また、上に書いたような特性を理解して、このデッキに魅力を感じ、自分の愛機に選んでくれる人がいるとすれば、これに勝る喜びはありません。
僕自身は、多くの実践の機会に恵まれたプレイヤーではないですから。
そのかわり、遠い誰かが自分の手がけた作品を駆って、戦ってくれるなら。
それもまた、誉れであり、至高の誇りになると信じます。どうやら「デッキビルダー」とは、そういう願いと祈りを抱いた人種。いまだに端くれではありますが、1年の記事を通じ、その程度はわかってきた気がします。それでは、また。