【MTGレガシー】 安価構築「青単ダークデプス」&「青単テラー」 今年もまた「自分と同じ、初心者、復帰勢の方へ」
1.こんにちは。マジック・ザ・ギャザリング、レガシー環境で、初心者や復帰勢の方向けに記事を書いている六条屋と申します。前に同じ書き出しで記事を作ってから、また1年。年を取るごとに、時は速いね。本当に。
ぼく自身は子どもたちのことで忙殺されていたら、気がつくとあっさり12ヶ月が過ぎた印象。とくに土日祝のワンオペ具合がひどく、なかなか自分で遊ぶ機会を作れません。ふむーん。
その代償行動というべきか、去年ほど大量のデッキを作った年もありません。1月1日の「青黒ダークデプス」の記事をスタートに、常に何かのテストをしていた印象(現在進行形で試行錯誤を見られるから、“X”のほうにも遊びに来てや!)。
うちの記事のルールを改めて申し述べると、“自分と近い感覚の誰かのため”、毎月、数千円~の予算でカードを少しずつ集めれば完成する、比較的安価なレガシーデッキを開発・紹介しています。
ひるがえせば、数万円~の高額な再録禁止カードを用いたデッキは、基本的に用いることがありません。具体的には、デュアルランド↓です。
ただ、ちょっと反省。たとえば昨年の「青黒ダークデプス」は青黒2色で《Underground Sea》不要の形を心がけたのですが、他の各パーツが「充分に高価じゃねぇか!」というお叱りを受けましてな。
ふむり。どの範囲を以て“高価”と呼ぶべきかは各人の感覚によるため、意見の統一が難しい問題です。
ぼく自身は上のとおり、“数千円~のカードまでは自由に用いる(ただし、レガシーで戦う理由である《意志の力》は勘弁してくだせぇ!)”という基準を設け、それを提示しつつ記事を書いてきましたが、
それだからといって、この問題から目を背けるだけでは“フェア”とはいえないでしょう。では、どうする。昨年の「青黒ダークデプス」の姉妹機を新たに開発しました。今日のデッキは、こう!
2.より入手性に優れた、「青単(モノブルー)ダークデプス」。
姉機である「青黒ダークデプス」も記事の後、『モダンホライゾン3』からの新兵器《ネクロドミナンス》や《バロウゴイフ》などで極度なパワー化を志向するのですが、
妹機「青単ダークデプス」のほうでも、以前の試運転時から地味ながら重要な変化がありました。これです。
以前の記事を未読の方のため、基本コンボの解説を。
ある種のデッキにとっては妨害がほとんど不可能な必殺撃ですが、青い「デプス」は緑ほど土地の扱いが得意ではなく、素直に特殊土地を積み増すだけではデッキ内の土地総数が多くなりすぎ、ゲーム中に使いきれません。
そこで、“土地でありながら土地ではない”、両面土地などで擬似的に土地総数を圧縮していきます。現在の「青単」では、純粋な土地は20枚にまで削減!
特に《朦朧への没入》は表面の呪文も万能バウンスと、おまけとはいえない効果。緊急時や、最後の押し込みに役立ちます。
「青黒」が《ネクロドミナンス》などで爆発的なカードアドバンテージを担保し、コンボでの強襲を狙うデッキなら、
妹の「青単」のほうは、フル装備の《不毛の大地》《もみ消し》とでテンポアドバンテージを奪い、絶え間ない空戦を仕掛けるデッキ。場合によっては、対戦相手の土地基盤をズタズタにして“完封”です。
対戦相手の“時間”を奪いつつ、防ぐことができないタイミングで《マリット・レイジ》の刃圏へと追い込むのが理想。
「“青単ダークデプス”はクロックパーミッションとコンボ、両方の性質を併せ持つ♣」(定期的に言いたいだけ)
レガシーの醍醐味を一身に集めたデッキで、特に自分以外の“アンフェア”デッキを狩りやすい構造になっています。「青黒」よりはパーツも揃えやすいと思うのですが……《意志の力》《不毛の大地》、値上がり中の《もみ消し》など、すぐに買い集めるには、まだまだ高価だといわれれば、ぐうの音も出ません。
それなら、こんなアプローチはどうだい。今日は特別。本命の超安価デッキは、こう!
3.「青単テラー+」。
カードプールはレガシー準拠ですが、コモンとアンコモンのみで構成されたデッキで、1枚が数千円どころか、数十円のカードが中心。最高額カードはデッキ製作時点で200円前後の《目くらまし》のはず。
パウパーの「青単テラー」を原型にチューンを施したデッキで、ぼくは《目くらまし》などを余らせていたため、500円くらいの投資で完成させることができました。えっへん。
そのくせ、手前味噌ながら、値段からは想像がつかないレベルの強さを誇ります。
一見、レガシーの「デルバー」亜種のような顔をしていますが、必ず枚数損をする《意志の力》の代わりに《対抗呪文》を標準装備。1対1交換に長けており、その上で《蓄積した知識》と、調整によっては《綿密な分析》も駆使し、むちゃくちゃカジュアルに手札を増やしてくるため、途切れない連続攻撃と粘り強い継戦性が魅力。
この「青単テラー+」を作ったのは、ぼく自身のためではありません。真の使い手は、5才の長女ですね。
去年の1月1日に書いた小さな望みが叶って、長女がぼくのカードに興味をもち、いっしょに遊ぶようになったからです。多くの盤上遊戯の一つとして。
自分のデッキがほしい、という彼女の望みを叶えるため、算出した条件は以下の通り。
子どもの手でも気軽に扱えるほど、安価であること。シンプルな構造で、各カードの役割がはっきりして覚えやすいこと。そして……余計な手加減が不要なほど、強いこと、です。
細部の設計や勝負の行方は、先ほどの記事にて。ともあれ、レガシーは寛容です。最初の記事から一貫して、そう言い続けているように。
膨大なカードプールを活かし、“こういう遊び”ができるのもレガシーの懐の深さであると、ぼくは無邪気に信じるのですが。少なくとも長女は、互角のゲームを楽しんでくれたようです。
なぜ、レガシーで遊びたいのか。
デュアルランドは必ずしも要らなくても、“意志”はあったほうがいい……と、ぼくは考えます。
たとえば、大会にどんどん出場して、最初から高アベレージで勝ちたい、という“意志”ならば、ぼくが提供するデッキたちがふさわしいとはいえないかもしれません。瞬間的な勝負で、作者の自分が手にした場合、多くの相手を真っ二つに斬って落とせる自負はありますが、本質的には“そういうふう”に作ってないもの。
ぼく自身は、もっとも愛する《意志の力》と《暗黒の儀式》を使うためにレガシー、というプレイヤー。つまりは、もっとも自由に、自分の手に合う理想のデッキを追求する……その目的のために、レガシー。そういう“意志”を以て、この世界で遊んでいます。
このゲームの魅力の1つは、未知であること。ライブラリーのいちばん上にどんなカードが待っていて、次に何を引けるか、未来は誰にもわからない。それだから、誰にでもチャンスはあり、最後の一瞬まで油断できずに面白い(《渦まく知識》で未来に引くカードをセットすれば良いって? そ う だ な !)。
来年、この場でどんな報告ができるのか? わかりません。それこそ遠い未来すぎて、鬼が笑いますね。
未知の未来を楽しみに、ひとまずは筆を置きましょう。ぼくと読者のみなさん、お互いにとって善き1年が訪れたことを、祈ります。
いつか、どこかで、テーブルごしに出会う機会があれば嬉しいのですが。それぞれなりの美しさを極めたデッキを手に、まだ名前を知らない、新しい友人として。
それでは、また。最後になりましたが、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。