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再録禁止カード不使用レガシー アーボーグ型ドゥームズデイ 対戦記その3/ゴブリン

1.ゴブリンの従僕。“ゴブリンラッキー”。僕は復帰勢で、このカードが公開されたときの界隈のざわめきを覚えています。

旧版が絶妙に腹立つ顔で好きだったな~

1マナクリーチャーにして、攻撃を通せば、マナコストを無視したゴブリン・カードの踏み倒し。今でも色あせない、夢のある効果です。初出はウルザズサーガ。とてつもないカードたちが同時収録されたせいで、当時のスタンダード環境で活躍した印象は薄いですが……。

世界の合言葉はMoMa

まさか、今になって“ラッキー”に殴られる羽目になるとは。
1戦目、こちらが先手。後手の対戦相手、1ターン目の動きが、魂の洞窟→ゴブリンの従僕。さっそく、吐血ッッッッ。手札の意志の力を使わせてくれません。

一人回しではイマイチ実感できなかったこと
このカード、猛烈に強い!(使われる側)

とても、まずいです。ゴブリンデッキについて……知識がありません。大昔のレガシーで「赤いコントロール」だと言われていた時代のリストか、Mtg  Arenaのヒストリックで暴れ回っていたリストくらいしか。
つまり読めるのは、ウルザズサーガ時代の名カード「ゴブリンの従僕」がスタート地点なら、ゴールはこいつだろうということだけ。
Jumpstart出身、ゴブリンデッキの長い歴史から見れば、最新鋭のカードと呼んでいいでしょう。「上流階級のゴブリン、マクサス」です!

着地した瞬間、ライブラリーの上から6枚ものカードをめくり、マナ総量5以下のゴブリンを全て場にばらまく凶悪カード。ゴブリンの従僕からこいつがゴブリンの大群を引き連れて現れ、殴り始めるターンまでにコンボを完遂しなければ……おしまいです。

隙、というには小さすぎる隙間は、ゴブリンの従僕が見た目ほどには早いカードではないこと。
ゴブリンの従僕には速攻がなく、手札のゴブリンを場に出せるのは、次のターンの攻撃が通ったあと。それに最近のカードのように、攻撃している状態で場に出す、なんて一文はついていません。たとえ、マクサスが速攻持ちのゴブリンを連れてきても、そのターンは棒立ちです。

こ わ い

つまり、ゴブリンの従僕の着地を許しても、あと2ターンもの猶予がある!
返しの2ターン目にマナ加速から最後の審判。組んだパイルはこうです。

予報 → タッサの神託者 → 水蓮の花びら → 秋の際 → 発掘

マナにも手札にも余裕はないため、1度、ターンを返し、リアニメイトルート完走を狙います。あちらの2ターン目にこちらを殺しきることはできないはずだし、クリーチャー主体の部族デッキである以上、妨害も難しいでしょう。

このアーボーグ型だと特に重要度が高いです
新々枠、通常版の再録を、なにとぞ

ところが、次のターンに飛び出してきたのが、これ。X=0。

デッキによっては、1枚でデッキ内の20枚とか無効にされる
激アドすぎひん?

……!? いや、こちらの手札には、魂の洞窟のせいでゴブリンの従僕に当てられなかった意志の力が残っています。対処して、問題はなし……と思ったところへ、さらに、
「虚空の杯、2枚目。X=0です」
今度はバケツ1杯分、吐血ッッッ。ターンが返ってきてもパイル完走のマナが足りず、自爆で負け。

サ ヨ ナ ラ

2.あとから考えれば、水蓮の花びらの代わりに沼を積んでおけば勝機が……? いえ、何かの理由でそれはできなかったように思います。問題はゴブリンデッキの構成を読めなかったこと。
“ラッキー”を見た瞬間、虚空の杯が現れる可能性に頭が回りませんでした。1マナクリーチャーと同居? なるほど、魂の洞窟があるから。たしかにマーフォークもメインやサイドに積んでるものな~。

種族「ロード」?

サイドボードから……入れるカードがありません。せいぜい、致命的な一押しと、残響する真実? 2発しか撃てない拳銃で小鬼の大軍勢を迎え撃つ気分です。妨害用の置物もあるだろうし、否定の力も入れるが……。

結論から先に言えば、0ー2です。その次は1ー2(お互いにゲームスピードが早いので、ほかの人が1マッチ終えるまでに何度も戦える)。攻防のあいだに、アメジストのとげまで通されて、悶絶。

スレイベンの守護者、サリアの元ネタ
そちらが有名すぎて、生きてないサリアとも

使い手ご本人は、高速コンボは苦手な部類とおっしゃったけど、いやいやいやいや!
この日出会った中で、いちばんおっかないと思ったデッキは間違いなくこのゴブリンデッキです。同じ方がURデルバーも持っていたので、あとで手合わせをお願いしたのですが、プレッシャーはさらに一段上に感じました。

なぜ??? 二重に読めない、というのが大きな理由かと思います。
Unfinityのカードまで組み込まれたデッキ構成も。

おおむね「ゴブリン・煮えたぎる歌」

そして、このカードもマクサスもそうですが、ゴブリンの特性としてのランダム性も。
このブレがダメージ量とゲーム展開を読み難くします。次の一撃を許していいのか? ターンを返しても生きる? いや、念のため、早めにしかけるべき?
総合的な戦闘力や安定性は、たしかにURデルバーに分があるかもしれません。しかし、やりづらさと爆発力は相当です。
意志の力や目くらましは魂の洞窟に阻まれて自衛のために使えず、効く対象が少なすぎて強迫もサイドボードに下げざるを得ないので、前方確認も満足にできません。

極めつけは、ゴブリンは今日出会ったデッキでは初の、ライフをガンガン攻めてくるアグロなデッキだということ。最後の審判に書かれた、最後の一文が重くのしかかります。
「あなたのライフを半分失う」

初出はウェザーライト
当時から、今の環境を予知していたのか? という恐ろしい一文です
これがなければ、本当に……バランスが壊れていました

最後の審判を早く撃つほど、自由に使えるマナは少なく、祈りながらターンを返すパイルを組まざるを得なくなります。それだからといって、コンボの始動そのものを遅らせると危険が増大していきます。
高速コンボか……。前に使っていた青黒スパイなら、もう少し上手く戦えるのか? スパイなら始動したターンで、必ずゲームを決めきれるから。あるカードが脳裏をよぎります。「ライオンの瞳のダイアモンド」……。

古代兵器

この再録禁止カードがあれば、最後の審判と同じターンに勝てるパイルのパターンが増え、ひょっとして、ひっくり返った勝敗があっただろうか。

いえ。
無いことを敗けの言い訳にするのは失礼だし、貧しいです! いずれは手に入れる決断をするかもしれませんが、今はデッキに入れないと決めたのだから、無いなりの戦い方をします。
2マッチを取られた時点で、決めました。新しく覚えたばかりのパイルを狙っていこうと。このパイルなら最後の審判のあと、ターンをパスせず、少ないマナですぐに始動できます。手札次第では、0マナからでも。

渦まく知識+水蓮の花びらパイルです。

レガシーを象徴するカード
初出はアイスエイジで意外と新しめ

3.たとえば、始動が0マナなら、こんなふうに組みます。前提として、渦まく知識とサイクリングカードが手札に1枚ずつ、使わずにライブラリーに戻すためのカードも手札に2枚が必要。

秋の際 → 水蓮の花びら → 水蓮の花びら → 水蓮の花びら → タッサの神託者

手順、1。手札のサイクリングカードで、ライブラリートップの秋の際を引く。ライブラリーは残り4枚。
手順、2。手順1で引いた秋の際でサイクリング。ライブラリー2枚目の水蓮の花びらも引く。ライブラリーは残り3枚。水蓮の花びら、水蓮の花びら、タッサの神託者。
手順、3。手順2で引いた水蓮の花びらを場に。そこから渦まく知識を唱え、3枚のライブラリーをすべて手札に。その代わり、手札の使わないカード2枚をライブラリーに戻す。ライブラリーは残り2枚。
手順、4。水蓮の花びら2枚を場に。青マナ2つに変えて、タッサの神託者を唱える。信心とライブラリーの枚数が2なので、パイル完走。

文章だとわかりにくくて、申し訳ない……

自分では思いつけません。ありがとうありがとう、Doomsday.wiki。

このパイルの長所は、始動条件の柔軟さです。ライブラリーを水蓮の花びら2枚とタッサの神託者1枚だけにし、渦まく知識で3枚まとめて引くのが、このパイル。
最後の審判の直後、青マナを1つ使えるなら、サイクリングカードが1枚と、余った手札2枚で始動が可能。渦まく知識を手札に持っている必要さえありません。(その場合、パイルの上から2枚目には水蓮の花びらの代わりに、渦まく知識を置く)。
手札とパイルで使うカードはそれぞれ入れ換えがきくため、意識すれば意外なほど狙えるタイミングは多いです。

欠点は、除去に弱いこと。

インスタントタイミングで……即死!

ライブラリーをきれいに0枚にできるパイルではないので、能力誘発に合わせてタッサの神託者に除去を撃たれると、信心0で敗北です。
余分な手札2枚という条件も難点で、消耗戦で使いやすいパイルではありません。
ただ、そういうタイミングではマナが潤沢になっているケースが多く、ほかの安全なパイルを組みやすいです。マナが窮屈なせいで使いきれない手札があり、そのぶん対戦相手も除去を構えていない序盤の強襲向けです。
特に、除去が減りやすいサイドボード後に効果的。ゴブリンのように除去の少ないデッキが相手のときも使いやすいパイルではないでしょうか?

そうと決まれば……練習です!

許可をとったあと、いきなり目の前であわただしくパイルの確認をはじめるドゥームズデイ使い(初心者マーク付き)。快く笑ってくれましたが、ひどい泥縄式だよな、本当に。まあ、練習試合の日ということで。

4.その後、何戦もくりかえし、劇的に勝てるようになったわけでもありませんが、打つ手が増えたぶん、気持ちは楽になりました。しかし、こちらが勝てた試合は、ラッキーパンチが当たったときという印象だったな~。

別の意味で、ラッキーなゴブリン

負け越し。しかし、ヒリつく、楽しい対戦でした。聞けば、お相手は「ゴブリンはコントロールデッキ」と呼ばれていた時代からこのデッキを握っていた使い手だそうです。なるほど。道理で。ゴブリンが活き活きと襲いかかってきたように感じたもの。

マジック・ザ・ギャザリングは、数学者が生み出した数字のゲームです。ランダム性を武器にするゴブリンたちでさえ例外ではなく、確率を計算すれば、その行動の幅を予測できないわけではありません。
しかし、それだけで説明しきれないものを感じるのは、ゲームをプレイしているのが人だからでしょう。
カードに魂はあるのか? デッキに霊性は宿る?
今の答えはイエス。特にゴブリンたちと戦ったあとは、一層、信じたくなりました。

プレイヤーなだけに

悔いは、1つ。ゴブリンデッキの詳細を、もっと聞いておけばよかったよな~。熟練の使い手に専用デッキの話を聞くほど面白いことはないですからね。
まだ、続きます。次の対戦相手は、URデルバー。

それでは、また

#MTG #MTGレガシー #レガシー #Doomsday

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