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【MTG レガシー】 オリジナルデッキ「ボーラス・ストーム」=「シタデル・ハンマー」の産声 【初心者、復帰勢、自分と同じ親に向けて】

1.珍しく、こまりました。六条屋は“休みの日、いつもよりは凝った朝食をね”くらいのノリで、さらりんと記事を書くタイプなのですが、今回はテーマが決まりませんでな。気づいたら、今年があと1週間だと。メリークリスマス。

メリークリスマス(黒)

理由は、2つ。
まず、近ごろは休日のほぼ全部をワンオペ子育てに捧げており、実践の機会が全然無ぇ。いくらぼくが妄想だけで地平線まで走れる、ちょっと変わったタイプのデッキビルダーでも、実際のプレイからのフィードバックがなければ、既存のデッキの強化には限界があります。
そして、何より。つい先日、12月16日にレガシー禁止改定があったばかり。まだ、1週間程度で、環境への評価を自分の中で定めきれていないからです。

去ったか
『モダンホライゾン3』最強のカード……
あとでも書きますが
うちのデッキたちへの影響が
より大きいのはこの
高性能すぎるガラクタの退場

ま、考えすぎても良くないですな。環境変化の分析などはぼくの能力を越えており、役割でもないでしょう。ぼくにとってはデッキを作るのも記事を書くのも遊びの一環。
遊び場の色が変わるのなら、それにふさわしいデッキを用意するまでです。今日のデッキはこう!

2.さまざまなオリジナルデッキを作り続けてきましたが、今年の最後はこのコンボで締めくくることになりそうです。「ボーラス・ストーム」。または、要塞砲「シタデル・ハンマー」。この黒い伝説のアーティファクトを最大限に活かすための専用デッキです。《ボーラスの城塞》。

性能は凄いのに
100~300円!
ストーリー上でも
ビックリするくらいの安普請なのだが

《未来予知》と《チャネル》を掛け合わせたような、とんでもないパワーカードで、カードとテンポ、両方の意味で凄まじいアドバンテージを稼げる、文字通りの魔城。ライブラリートップにある軽量ドロー呪文やマナ加速呪文を撃ち続け、大ストームを稼ぎつつ、ライフ回復手段とフィニッシャーを兼ねた《苦悶の触手》によってゲームセットです。

《城塞》との組み合わせは
誰もが思いつく定番ですが
ライフ供給と詰めの手段とを兼ねており
本当に美しい
今回は追加のライフ供給用に
これも採用。軽く統率者戦の初期値くらいになれる
コンボを中断して
ターンを返さざるを得ないときの時間稼ぎ
後述の《引き裂かれし永劫、エムラクール》を
《城塞》経由で無理やり唱えるため、など

上手く決まれば、抵抗の隙を与えずにライブラリーを一気に掘り進められ、素晴らしく爽快なデッキです。ただし、課題もちらほら。まずは1つ目。「③黒黒黒」という《ボーラスの城塞》自体の重さをどうにかしなければなりません。
まあ、これは簡単。キーパーツが黒い“アーティファクト”なのだから、《暗黒の儀式》(+《水蓮の花びら》+《水晶鉱脈》)による早出しか、《実物提示教育》を用いればいい。

黒の切り札、スペードのエース
マナ収支は驚異の+2
重ね引けば、一瞬で6マナ達成
この土地はやや、珍しいチョイス
回してみると分かるのですが
このデッキ、ライフを現金化するぶん
定番の《古えの墳墓》だと軽く死が見えるのです
そのため《思考囲い》より《強迫》を
優先してるくらい
記事の性格上、カードの価格も重要だしな
どちらかといえば
こっちを利用するルートのほうが
要求される手札のハードルが低く、手軽です
ただし、《実物提示教育》は対戦相手からの
逆用が怖いため
状況次第での使い分けを

この「シタデル・ハンマー」は、
「“ストーム”と“ショーテル”、両方の性質を併せ持つ♣」(一度は言ってみたかっただけ)。
これらのおかげで、最速キルターン数は“1”。手札次第では初撃での《ボーラスの城塞》設置→超ストームによる即死攻撃も不可能ではありません。

ただし、安定キルターンとなると、話はまた変わってきます。2つ目の課題。デッキ内にキーカードの《ボーラスの城塞》が4枚しかなく、デッキとして安定させるためには、サーチカードが欲しい。
特にこのデッキだと、《ボーラスの城塞》影響下、コンボ中にライブラリートップをリフレッシュしつつ、少数のフィニッシャーを探す必要もあるため、この部分の質がデッキの完成度に直結します。理想は、もちろんこのカード。《吸血の教示者》。

絶 対 永 久 禁 止

デッキ構築上の手法として、ルール上は使用不可能でも、理想的なカードをいったん代入し、戦略上の限界値を探るという過程を経ることがあるのですが、さすがに《吸血の教示者》版は強かった! 笑っちゃうほどの取り回しやすさ。なんとかズルして、おれだけ使わせてもらえねぇかなぁ。

妄想全開で嘆いても仕方がないため、次善の近似値を探ります。おそらく、もっとも近い性能を示すカードは……《リム=ドゥールの櫃》(と、《対称な対応》)。

初出がアライアンスと古いカードだけあって
今の基準では分かりにくいテキストです
ライブラリートップから5枚を並び替える呪文で
特徴はライフ1点を支払うたび
はじめの束を下に送り、次の5枚を見られること
擬似的なサーチカードとして機能します
ちなみに原文
虫メガネ、くれよぅ!

インスタントながら青黒の2マナという重さは嬉しくなく、《リム=ドゥールの櫃》を2ターン目以降に使う前提だと、安定キルターンは3~4ターン目のちょうど中央くらいになりました。まあ、贅沢はいえません。
そのぶん《リム=ドゥールの櫃》のほうが《吸血の教示者》より勝る点も多く、《渦まく知識》との併用で、複数枚のキーカードと妨害とを同時に揃えるような芸当も可能。何より、このデッキではライブラリートップ5枚をもっとも都合のよい順番で固定化できるため、コンボ途中での連鎖停止の確率を大きく下げられます。

あと《対称な対応》はこれだが……さすがになぁ
サーチ妨害や切削呪文と合わせる?
何かと組み合わせる前提だと
肝心の軽さは台無しで、弱くなりすぎますね

そう、3つ目の課題が、“連鎖停止”というデッキ固有の弱点への対策です。《ボーラスの城塞》は強力なエンジンではありますが、ライブラリートップに土地カードが来たとき、そのターン中、すでに土地を置いていた場合、動作が急停止します。対象の無い打ち消し呪文も同様ですね。

止まらず緩まず、デッキを舞わせ続けるには、《渦まく知識》《思案》《定業》、3種のドロー呪文で何を引き、デッキトップに何を残すのか、フェッチランドを温存して、どのタイミングでシャッフルするか、などのプレイヤー側の習熟も重要になります。場合によれば、《意志の力》をライブラリートップに置いてライフで撃てるようにしたまま、あえてターンを返す決断も必要になるでしょう。

見た目よりは繊細なのです
努力を尽くしてなお
風が止まるときもある
そういう運命性も愛せるかどうか

また構築上の工夫は必須で、今回のリストでは純粋な土地の総数を10枚にまで抑えてあります。その代わりに両面土地をフル活用。特に《シルンディの幻視》4枚と、やや過激な調整。

《ボーラスの城塞》でめくったとき
もっとも強かったからです
しれっと6枚見るのは凄い
ただタップインが悠長なときもあり
2枚をフェッチランドにしてもいいのかも
こっちも試していましたが
7点ライフロスは
コンボ継続に支障が出るほど辛すぎた
あと、《城塞》設置直後だと
満足な量の手札が無いことも多くて

あとは、1枚差しの《有毒の蘇生》は《城塞》下だと、デッキ内でもっとも強力なジョーカーと化します。ドロー操作を戻してデッキトップのリフレッシュ、コンボ突入前に使った《リム=ドゥールの櫃》の再利用、撃ったばかりの《苦悶の触手》をライブラリートップに戻し、2連撃での強引な決着、などなど。

一見、地味だけどね

それから最後に、謎に1枚差された《引き裂かれし永劫、エムラクール》な。

女神よ?

環境に一定数存在する「ペインター」への全自動遅延装置、という意味合い以上に、《ボーラスの城塞》経由の「ストーム」コンボでは、にっちもさっちも打破できない戦局でも
「《実物提示教育》で叩きつける」
という「ショーテル」としてのストロングスタイルな勝ち筋を作るためのものです。サイドボードに《セラの使者》《残虐の執政官》も用意しておいたので、状況に合わせて好みの決戦兵器を投げつけてください(ここまでの流れ、台無しッ)。

3.ふぅ。このデッキは、12月16日のレガシー禁止改定に先駆けて、用意し始めていたものです。こうなる気がしてたもので。
《苛立たしいガラクタ》なぁ……。それぞれのカードには、自分のデッキのために購入したファンがおり、あまり悪し様には言いたくないのですが……ほっとしています。何しろ、うちのオリジナルデッキは3つくらいが機能不全に追い込まれて、存亡の危機、それとも構築を大きく歪まされていてな!(私怨)

今回の「シタデル・ハンマー」も例外ではなく、構想こそずっと持っていたものの、《苛立たしいガラクタ》(と、青黒リアニメイト対策の筆頭候補だった《墓掘りの檻》)が環境にあふれる間、とても完成させようという気持ちにはなりませんでした。他のだれかに紹介することもできないし。

マナコストを支払わず、
ライブラリーから呪文を唱える、
《ボーラスの城塞》にとって
上の2枚が天敵中の天敵だからだ!!!
ふーんす!!!

冒頭に書いたとおり、禁止改定の是非についてを論じることは、ぼくの能力を越えており、役割でもありません。ただ、なんらかの形でこの遊び場も、常に変化をする。何ヵ月も止まったかのように見えた潮目も、いずれは動く、とだけは言えるようです。善きにつれ、悪しきにつれ。
その拍子に死にかけたデッキが不意に甦ることもあり、生まれなかったはずのデッキがふと命を宿すこともある。まあ、ぼくのようなオリジナルデッキ屋にできることは、そんな世界の枠の中で、それぞれなりに美しく活きるデッキを作り育てることだけ。

オリジナルデッキ屋には、少々の苦労と引き換えに、とびきりの権利が与えられます。自分の呪文書=新しく生まれたデッキに、名を付ける特権。「ボーラス・ストーム」……ふむ。シンプルにそれでもいいのだが、“要塞の砲声”=「シタデル・ハンマー」という名はどうでしょうか???
ネットの海を越えて、このデッキが誰かの手に納まり、ふたたびこの名と砲声のこだまが作者の耳にまで届くかまでは……まだわかりませんが。

と……そんなことを「X」で書いていると、好みで採用している日本画イラスト↓の共通点から、有り難くも“頭痛ストーム”などという名前をもらってしまったんだけど……。

「どちらも
同じポーズで
頭が痛そう」
ほんまや!!?

“頭痛ストーム”のほうの名前で定着すると、さすがにイヤじゃ~~~??! 実際、コンボ継続のためにプレイヤーも同じポーズで頭を抱えるケースが多く、ナイスネーミングでもあるのですが。
未来は誰にもわからない。それだからこそ、この遊びは楽しい。この「シタデル・ハンマー」は特に、未確定の未来……次にめくれるライブラリーに、命運をゆだねるデッキです。それでは、また。メリークリスマス。それに、よいお年を。

来年は“蛇”の年ですね

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