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二兎を追うものは三兎を得る?!
StarnbergでのバイオリンマスタークラスでAna chumachenco先生に教えてもらったことで僕のバイオリンの音質は次の次元に行った。自分でもはっきりとその違いを体全体で感じた。それは意外にも簡単なことだった。
シークレットだと言われたけれど簡単に説明すると、床に寝転びながら、もしくは床に座って壁に背中をつけてバイオリン弾く。ただそれだけなのだが、こうすることで肩の力が抜けて、手で持ってるというより、まるでバイオリンが肩に勝手に乗っかっている感覚になれる。それによって、左手と右手が自由になり、音質に透明感が出てきた。力みが音質を堅くしていたことがわかった。それまでは長い時間弾くと必ず肩が痛くなったが、それがなくなった。ミュンヘンに戻っていつもの先生との最初にレッスンでスケールの最初の音を鳴らしただけで、先生はその違いに気づいた。全く違う音になったよと褒めてくれた。
授業後、先生は”バイオリンもサッカーも技を極めるという点では共通しているよ、だから今日、余分な力が抜けたということはサッカーでもその影響が出てくるよと17歳まで僕と同じくサッカーをやっていた”先生は言った。Ana chumachenco先生もメッシのようにバイオリンも弾きましょうと言っていたのはまさにこのことだ。
2週間以上あったイースター休みが明けて、久々にサッカー練習に行った。その日の僕のプレイは自分でも驚くほど軽やかで、足にボールが吸い付いているようで、何もかもが可能な感じがした。コーチは僕のプレイを見て、驚きの笑みを浮かべていた。僕も楽しくてニヤニヤしていた。バイオリンで体全身の力みが抜けたことでサッカーのプレイも変わったのだ。
”虻蜂取らず”
”二兎を追う者は一兎をも得ず”
という諺があるが果たして本当なのか。
もう少し僕はこの問いに対する旅を楽しみたい。