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初めてのアジア遠征

去年10月、僕のチームFCアウグスブルグは下部組織初のアジア遠征があった。韓国で行われる国際大会に出場した。参加したチームは韓国の競合チームに加えて、レアルソシエダ、エスパニョール、エバートン、柏レイソル など世界中から参加した。僕のチームメイトの大半が初めてのアジアだった。
仁川空港に着き、チームメイトはリオ(僕)がたくさんいると言っていた。
仁川中心部のホテルはとても綺麗で贅沢だった。まるでプロで遠征に来た待遇だ。

ドイツ在住の韓国人コーディネーターのクリスがアレンジをしてくれた。
初日の夜はチームメイトと街に出て、野外コンサートに出くわし、長旅で疲れてるのに皆踊りまくった。チームメイトは韓国人の女の子にちやほやされていい気になっている。
どこでもまるで有名人扱いだ。

一番楽しみにしていたのはレアルソシエダに所属する日本代表の久保建英の弟、久保瑛史と対戦することだ。
彼は日本のメディアでは兄を彷彿させる才能、優れたボールタッチと展開力などと評価が高い。
ヨーロッパのプロユースに所属する数少ない日本人同士、ましてや僕と同じポジション、ボランチだ。
実は僕だけでなく、チームメイトたちも僕と久保くんのマッチアップを楽しみにしているらしい。同じホテルに泊まっていたので夕食会場でコーディネーターのクリスが久保くんに挨拶に行こうと僕を誘った。
僕は久保建英選手の弟さんですよね?と話しかけた。
久保くんは口をいっぱいにしながら、僕の自己紹介に何度もうなずいて、握手を交わした。食事中だったからか久保くんの声は聞けなかった。
僕はハッとした。
もしかしたら、僕がしたように、彼はいつも”久保建英の弟”として話しかけられるのではないか。確かに彼の名前を僕は知らなかった。

レアルソシエダとの対決は、日韓W杯が行われたスタジアムの隣のサブグラウンドで行われる。
日本から父、ドイツから母も試合を見にくることになっている。
スペインの強豪のユースとの対戦は初めてだ。
結論は3−1で僕たちが勝利した。

久保くんはボールタッチが滑らかで、コミュニケーション能力、チームメイトへの指示出しや声かけを多くしていたのが印象的だ。
僕はしつこい守備と強いフィジカル相手のドリブルを何度も止めゴールにつなげた。
レアルソシエダ、しかも一年上のu18に勝てるとは正直想像していなかったのでドイツサッカーのレベルの高さを知った。
チームメイトたちは、久保くんよりリオの方が上手いよと行ってくれた。

試合後、クリスが韓国の伝統料理屋へチームを連れて行ってくれた。
伝統的な韓国料理の数々が運ばれた。
チームメイトの一人が店員さんに向かって、”こんなもの食えない、下げろ”と驚くほど大柄に言い放った。
僕はその失礼極まりない態度に耐えきれず、”黙って食えよ”と言った。
彼は”てめえなに言ってんだ。黙れ”と言い返してきた。
彼はウィングでプレーヤーとしてはチームで1、2位を争う実力だ。
しかし僕は彼の限界を感じた。
神様は彼に気づきの試練を与えるだろう。
それとも実力だけで這い上がっていける世界なのだろうか。


レアルソシエダユースの久保瑛史と僕
韓国伝統衣装を着せてもらい観光した。


仁川空港の近くのビーチにて
泊まっていたホテルの屋上で
もちろんバイオリンを持って。




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