絆光記感想 ~言葉を紡ぐすべての人への応援歌~
こんにちか~、ぱるみです。
今回はイルミネの新イベントコミュ、「絆光記」が今の自分にすごく深く刺さる内容だったので、感想記事を書いていこうと思います。
なお、私はまだ「くもりガラスの銀曜日」や、「ヒカリと夜の音楽、またはクロノスタシス」などを読んでいない""敗者""なので、先輩コミュァーさんのような深〜い考察は書けません。ただ、今回のコミュで「自分の思いをはっきりと言葉で出力する」ことの大切さを学んだような気がします。
ということでいろいろなコミュに関連付けてのいわゆる考察ではなく、自分なりの感想をここに綴っていこうと思います。
拙文ではありますが、読んでいただけたら嬉しいです。
またこの記事は、もちろん「絆光記」のネタバレを多く含みます!
まだ読んでいない方!良ければなにも前情報を入れないままのフラットな状態で読んでみてください。そしてぜひぜひあなたの感想も聞かせてください!!
各話感想
オープニング:停電
突然停電した事務所内をめぐるがスマホの光を使って明るく照らすシーン。
「探検みたいじゃない?」とユーモアで2人の心まで明るくしようとしている姿、めぐるのいつでも明るく!の精神がこれでもかと伝わってきました。
そんな明るい雰囲気の中、最後にめぐるのスマホの電池が切れるの、少しぞわっとしませんでした?
この一連の流れがめぐるの輝き、そして暗い影の部分の物語がこれから始まるということのメタファーとなっていました。シャニマスにしては比較的分かりやすくて、この時点ですごく期待を持って物語に入り込んでいけましたね。
まためぐるのスマホが切れるの、(まるで瑠璃乃みたいに?)めぐるが自分のスタミナを削って無理して明るく振る舞っていることを表してるんじゃないかとも勘ぐってしまいました。もちろんイルミネの中では無理なんてしていないと思いますが、この後の田舎の学生との接し方を見てるとそういう演出のように思える。めぐるって時々利他的すぎる時があると思うんですよね。考えすぎかも。
そしてこんな恐ろしすぎる文書が出てきます。
まあこの文章書いた人のこと、この後めちゃくちゃ好きになるんですけどね…
第1話:カーテンのリアリズム
リアリズム、現実主義な人たちは何に困っているのかが、イルミネにはカーテンに仕切られて分からない。みたいな意味でしょうか。
まずは真乃が宗教勧誘を受けるところから始まります。許せません。
真乃のそばに近寄るなああーッ!(真乃Pのディアボロ)
そして灯織も道端で人助けしたのに、それがかえって相手を不機嫌にさせてしまいます。
まためぐるは、めぐるに憧れてずっとめぐるのことを目標にしてきたアイドルが引退するということを本人から伝えられます。
引退といえばやっぱり5thライブを思い出してしまう…
この「共演したアイドル」がこの後マネージャーとして活躍しているように、アイドルを辞めることが不幸とは限らない、また少しずつ変わらなければ永遠に同じように輝き続けることはできないというメッセージ、確かにIf I_wings.に通じるものを感じます。
というようにイルミネの直面する「イルミネが明るすぎて『持たざる者』が苦しんでしまう」という問題にそれぞれ3人が違う形でぶつかっていきます。
そのあとの3人の通話で、
真乃は「困っている人を助けたかったのに、何に困っているかが分からなかったこと」、
灯織は「困っている人を助けたのに、それはその人にとっては不必要だったこと」、
めぐるは「何が辛いのか分かっているはずなのに、かける言葉が見つからなかったこと」
と一人ひとり違った反省しています。
それぞれできなかったことが違くても、対話を通して解決策を見出すところに、3人で補完し合うイルミネらしさがよく表れてますよね。
あと、こういうシャニマスに出てくる悪役モブってどこかで悪役になり切れていないですよね。特に今回は何も悪くないイルミネに突っかかっているのに完全な悪としては描かれていない。
そういう人間臭さが本当に今回は良い意味で苦しめられる。
イルミネのアンチを公式でそんなリアルに描くの辛いよ…!
だって「イルミネは明るすぎる」とか言われてもどうしようもないですもんね。
だから本編やサポカでも「難しい……」って単語が多用されていたんじゃないかと思っています。
第2~4話:ナラティブⅡ~Ⅳ
ナラティブとは物語の筋書きや内容を説明していくのではなく、語り手の視点で自由に描く物語のことらしいです。同じ物語でも視点が違うと誰が悪で誰が正義か変わる、確かにぴったりだな。
Ⅱからってことは第1話もナラティブだよってことなんでしょうか。
3話ではイルミネが漁港の近くの学校のワークショップに参加します。
そしてその現地レポ(ルポルタージュ)をするルポライターについても彼自身の視点で語られます。ライター仲間から、このまま自分勝手な記事を書き続けてても何も変わらないと詰められてました。
うーん、残酷。私はまだ酒を飲んだことないぐらい若いしそんなこと思ったことないですけど、大人になればなるほど社会に適応していって、自由じゃなくなるのってなんか矛盾しているようだし、寂しいですよね。
そしてあの漁港の学校の学生、これでもかというぐらいイルミネに直接愚痴を吐いていて、珍しくしっかり悪として描かれていましたよね。
ただめぐるは、そんな「反抗期」の女の子も見逃しません。普通だったら無視したり、強く言い返したりしてしまうと思いますが、追いかけっこを通じてなんと仲良くなってしまったんです! コミュ力高っ! 最後には握手会絶対行くとまで言わせていましたね。恐ろしいアイドルだ…
「反抗」ではなく「絆光」で解決するところ、チエルアルコでのめぐるの孤独、それ故に誰とでも仲良くなりたい、どんな子でも助けたいという信念が感じられてマジやばい。
ここで言葉について灯織が言及します。最初の一件からずっと探してきた言葉のヒントを、ここで少しずつ見つけ始めます。
第5話:そういう世界
順調に映画の宣伝のお仕事をするイルミネ。そのプロモーションのおかげもあって興収1位になりますが、映画自体の下馬評はあまり良くありませんでした。
出ました! シャニマスのお家芸、「やけにリアルなSNS」。
真乃がスマホ見てトレンドとかを気にしているの少し意外に感じましたね。でも、確かに他人の目を一番気にしているのは真乃かもしれないと考えたら納得。
宗教勧誘されたときにも言っていたように、そういったSNSの負の感情がよく分からないからそれを知りたくて見ているんでしょうか。
プロモーションの仕事やSNSでの争いを「そういう世界」と割り切ってしまえば簡単ですが、イルミネはそうはしません。これも「難しい」という単語を繰り返している理由なのかも。
第6話:汎光
タイトルの「絆光」に対して、汎用的な光と書いて「汎光」、どちらもイルミネの輝きを表しています。
イルミネの3人や、ファンからしてみれば「絆光」に見えるものも「持たざる者」から見ればただの「汎光」でしかない。後者の方が「反抗」心に溢れた言葉だと思います。
そしてプロデューサーが昔、例のルポライターの文に救われて彼を直接記事を書いてもらえるよう指名したということも明かされます。
ここで泣きました。
自分の本心を偽らず書いた言葉が、誰かの心に深く刺さり、助けになる。
今の私はこれにすごく共感できました。
最近は他人のために、誰かを喜ばせようと思って特にSNSではずっと言葉を偽ることが癖のようになっていたとも思います。
でもそんな言葉は「自由」ではない、そんなことで喜ばせてもその喜びは空虚だと言ってくれた気がして、とても励まされました。
ここまでの話が全てここに詰まってますよね。
言葉をテーマにしてるからこそ、こういった美しい言葉たちでまとめてくれて、それによって言葉の持つ力が実感を持って伝わってきて、もうなんというか最高!!!!!!!!!!!
余談ですが、最近読んだ「嫌われる勇気」という本のなかに「自分は他者の期待を満たすために生きているのではない」という言葉がありました。
話が逸れてしまうので詳しく説明はしませんが、この自己啓発本のテーマであるアドラー心理学の考え方と同じようなことをこのコミュで伝えられた気がして、こんなのただのアイドルゲームのコミュじゃねえよ!ってなりました。
シャニマスは自己啓発までできてしまうのか―――
エンディング:前書き
そして物語は解決パートに入っていきます。
めぐるに憧れたアイドルは無事マネージャーとしての道を見つけ、ルポライターさんもひねくれた性格は相変わらずですが、ライターとして前向きに進み始めました。
ここのカタルシスが半端なく気持ちよかった…!!!
まだ言葉を探している中でも、たくさんの人を救うことができる、ここからも完璧な言葉でなくても誰かを助けることができるんだと元気づけられました。
そして最後の終わり方! 「白書の文書」の続きを書くのはあなたです! と言わんばかりの余白を残した終わり方。それに背中を押されて思わずこうやって感想を綴っています。
総評
この直近1年間のイベコミュの中でも、個人的にかなり好きなコミュでした!
「はこぶものたち」や「YOUR/MY Love letter」のようにモブがとても生き生きとしていて、それがイルミネの問題をよりリアルに映し出していました。
主題が、確かに信号機ユニットなら絶対にいつかぶつかるであろう壁なんですよね。着眼点が鋭い。
王道であるがゆえに眩しすぎて、「持たざる者」も含めた全員に好かれるのは「難しい」。そこに「それでも自分の言葉を貫く」という解決策をルポライターの例を通して伝えてくれたことにとても勇気づけられました。
ルポライターの言葉がPを救ったように、このコミュも、他者に無理に合わせず自分の信念を偽らずに発信してもいいと、読者(言葉を紡ぐ人)を救う「応援歌」になっていると感じました。
このnoteというサイトもそうですが、誰もが気軽に言葉を発信できる現代に向けたメッセージに溢れるコミュで、とても温かいコミュだったと感じます。
「私たちは、光について語らなければならない。」
あなたも自分自身の想いと本気で向き合って言葉にすれば、誰かを救うことだってできるかも??
それでは!