愛野信徒(あいのしんと)
日永麗さんの書いた記事のみをまとめるマガジンだ。 さぁ皆さん読みなさい、読んで購入しなさい、日永さんに一円でも多くお金を入れなさい、そして元気付けるコメントを書きなさい、そして最後にその命、神に返しなさい
#創作大賞2024 #ミステリー小説部門 ──行方不明だった姉、庭出助 翔子を救出し、病院へと搬送して、翌日。 僕はまた探偵事務所・コツコツへと足を運んだ。 高校時代にしていたアルバイトでたまったお金を大量に下ろして、封筒に詰めて。 「ごめんください、庭出助です」 「あ、鍵開いてますから。どうぞー」 玄関の扉をノックすると、経子の声がした。 声の通りに扉を引っ張ってみると、確かに鍵はかかっていなかった。 不用心じゃないだろうか……と思うが、骸骨探偵がいる以
#創作大賞2024 #ミステリー小説部門 「くっ……こうなったら、実力行使でも……逃げ切る……!」 水難法師は半ば観念したように、だが同時に覚悟を決めたような顔で、拳を構える。 ここからは、弱っちくなった怪異同士の醜いとまで言えるステゴロタイマン……と、いうのは既に聞き及んでいる。 しかし、弱体化させたとは言えどそれでも力的には互角、そんな状態でのステゴロタイマン。 骸骨探偵が確実に勝てる勝負なんてものじゃなく、相打ちの方が可能性は高いし、酷い時は骸骨探偵が負ける
#創作大賞2024 #ミステリー小説部門 服を乾かしきったところで再度着用……更に、骸骨探偵が『必ず必要になるもの』として買ってきたものを揃えて、僕らは張り込みを行っていた。 ある家──木津都でも、それ以外でも珍しくないであろう広さの土地。 庭とプールのついた、青い屋根と白く綺麗な壁が目立つ一軒家……少々珍しくとも、特異と言えるほどのものではない。 だが、真に特異なのはこの家に住まう人だ。 前の家主が雨の日に河川敷で足を滑らせて命を落とした、当然家も壊されて土地だ
#創作大賞2024 #ミステリー小説部門 骸骨探偵へ、急いで情報を共有しなければならない──と思い、僕はすぐにその場を後にした。 が、その直後に腹の虫がすさまじい音を立てた、それこそ漫画みたいな音で、人にも聞こえてしまうんじゃないかと言うほどの音。 ……腕時計を見ると、時刻は既に14時半過ぎを指していて、お昼ご飯を食べていなかった僕は腹ペコだった。 けれど、どこかでお食事というのも骸骨探偵を待たせることになるし、僕はコンビニへと寄り道することにした。 買い食い程度
#創作大賞2024 #ミステリー小説部門 「水難、法師……?」 スイナンホウシ。 少なくとも、僕の20年弱続いた人生の中では聞いたことのない言葉だった。 水難事故とか水難の相、とかの水難と、あの、お坊さんみたいな法師、ってヤツだろうか。 ……水の中で手招きしているハゲた人が頭の中に浮かんでくる。 「『水難法師』、字に起こすとこんなもので、海難法師の亜種さ」 「あ、ありがとうございます」 音玄はホワイトボードのようなものを彼女から受け取り、水難法師の字を書い
あらすじ 自殺、発狂死、ショック死……不可解な死亡事件が、ひと月で3桁にも上る呪われた街【木津都】。 街で原因不明の怪事件に悩まされる人々は、警察もお手上げで匙を投げてしまう怪事件の数々をこっそりと解決し、街の平和を訪ねるべく【探偵事務所・コツコツ】のドアを叩く。 顔を隠し、身を隠し、彼の肌を見た者はいないとされる、謎の探偵。 彼の名乗る名は【骸骨探偵】。 今日もまた、何も知らぬ依頼人が、何もかもを隠しながら、何もかもを暴いてしまう彼の探偵の下へ、足を運ぶ。 「さぁ
学校の空き教室、それは私たちの憩いの場である。 高校生になってからたまたま二年連続で同じクラスになった私たち三人組だけの、秘密基地に等しい場所だ。 他の生徒たちは私たち三人がいることを知ってか、ロクに寄り付きもしない。 「はぁ……親から叱られたり何しろかにしろって言われるのも、もううんざりだよ……二人が羨ましいなぁ」 「今日は一段と激しいね、アヤメ。今日はどうしたの? お茶でもこぼした?」 「いや、所作間違えたとかじゃないんだけど……こないだのテストの点数が下がっ